概要
シャープのテレビ事業部が開発したパソコン。シャープは「パーソナルワークステーション」を称した。
「パソコンテレビ」X1の後継機で、国産のホビー色の強いマシンとしては異例とも言える高級機(本体369000円+モニタ129800円)。当時としては卓越したグラフィック性能を誇った。本体の斬新な「マンハッタンシェイプ」スタイルも通産省のグッドデザイン賞を受賞するなど評価が高い。
それまで同時代のアーケードゲーム基盤とパソコンの表現力の差は大きくアーケードからの移植は四苦八苦していたのだが、X68000はアーケードと同等かそれ以上の機能で、初代に同梱されていたSTG『グラディウス』(コナミ)のアーケード版の再現度は衝撃的なものであった。
またビジネスマシンとしても十分高機能であった。しかしこの方面ではシャープの社内的事情(X68000を企画したのはテレビ事業部であり、ビジネス機器を製造する部門が別に存在していた)から積極的な展開はなされなかった模様で、PC-9801の牙城を崩すには至らなかった。
やがて得意のグラフィック性能でもMacintoshに追い抜かれ、AT(DOS-V)機やWindowsの台頭で、ホビー用途でも表舞台からフェードアウトしていく。
それでも、市販ソフトが出なくなった後にも熱心なユーザーや専門誌「Oh!X」が残り、雑誌投稿、パソコン通信、即売会やソフトベンダーTAKERUなどを通じた活動は結構長く続いた。
この辺の事情は廉価ながら同じくホビー向け機種のMSXに近い。また両方のユーザーだった人も少なくないようだ。
2000年にはIOCS(BIOS)やOSの「Human68k」が公式に無償公開された。
市販ソフトの中にも無償公開されたものもあり、またオンラインのフリーソフトウェア、フリーゲームの数も多いため、ユーザーでなくても合法的にエミュレーター環境で遊べる貴重な環境になった。