概要
蛾や蝶の羽を始めとした全身についている粉。顕微鏡で見ると魚の鱗に似た形をしているためこう呼ばれ、蛾と蝶の仲間を総称して鱗翅目と呼ぶ原因となっている。
鱗粉は微細な凹凸を持ち、それにより羽ばたく際の空気抵抗を大きくしている。そのため、鱗粉が無いと飛ぶ力が大幅に減ってしまう。鱗粉は水をはじく性質を持ち、これにより体温の低下や窒息死を回避することもできる。
しかし、そんな鱗粉を持たない昆虫もいる。蛾の一種、オオスカシバとスカシバガである。
彼らは羽化すると羽を高速で動かし、羽の上の鱗粉を全て落として透明な羽になる。それでも一切飛ぶのには支障が出ない。不思議なものだ。
「毒鱗粉」は無い?
蝶や蛾などをモチーフとした創作物のイメージからしばしば勘違いされるが、ドクガ科をはじめとした有毒の鱗翅目は鱗粉に毒を持っているわけではなく、体毛の一部が毒針となっている(毒針毛。どくしんもう、と読む)。
ただし、毒性自体はなくとも花粉やホコリ同様にアレルギーの原因にはなり得るので、いずれにせよむやみやたらに接触するのは避けた方がいい。
昆虫に詳しい諸氏としては突っ込みたい向きもあろうが、あくまで創作は創作と割り切るのが良いだろう。
どちらにせよ、これらの有毒種が危険である事に変わりはなく、迂闊に近づいたり触れたりしない事、万一被害にあったなら早めに皮膚科のお世話になる事をおすすめする。