アスカロンとは、聖ゲオルギオスの剣である。
概説
聖人列伝『黄金伝説』に登場する聖ゲオルギオスの持つ剣。
元は彼を拉致し、しかし精悍な青年へと成長した彼に心奪われた魔女・カリブから与えられたもの。
曰く――
一つ目巨人が匠の技で鍛え上げ、どんな硬い火打石でも鋼でさえあろうと断ち切り、剣を帯びる限り如何なる裏切りにも、魔法にも、暴力にもさらされることはない。
……という。
魔女はこのアスカロンのほか、どんな武器をも弾き返す鎧「リディアの純鋼」、必勝の加護を持つ駿馬「ベイヤード」も与えている。
形状については言及されておらず、正確な大きさや装飾は分かっていない。
ただ「フォーション剣」――、つまりファルシオンであるとは触れられているため、片刃で厚みがあることは想像が付く。また別の記述では「普通の剣よりも長く、そしてかなり重い」ともされており、大剣クラスの業物であるような印象も受ける。
聖ゲオルギオスはこの剣で巨大なドラゴンを退治し、エジプト王の娘を救出している。
ちなみに「リディアの純鋼」はこのドラゴン退治において、ドラゴン猛攻と毒のブレスにやられて砕けてしまった。
創作での扱い
聖人の振るった剣であるため、『アーサー王伝説』の名剣エクスカリバーよりも明確に聖剣であることが特記出来る。加えて剣の加護も、如何にも聖剣らしい特性を有する。
何より北欧神話の魔剣グラムと同じくドラゴンスレイヤーとしての特性を持つ。
……しかしこれだけの性能を持ちながら、日本においては聖ゲオルギオスの伝説そのものがマイナーであるため、エクスカリバーやグラム(派生系の「バルムンク」)と比べて、どうしてもインパクトが薄い。