概要
人間としての名誉、権利・自由を認められず、他人の所有物として取り扱われ、所有者の全的支配に服し、譲渡・売買の対象とされた。奴隷を許容する社会制度を特に奴隷制という。
近代になって人権意識の向上や、社会制度の発達により、奴隷制度の廃止の機運が高まり、現在では世界人権宣言で禁止されている。しかし、現代でも発展途上国では奴隷同然の劣悪な環境での労働が当たり前の国は多く、先進国でも裏社会などで過酷な扱いを受ける者は少なくない。
歴史
「奴隷の歴史は人類の歴史」と言っても過言ではないぐらい古い。
「戦争で勝った側が負けた側の捕虜や民を奴隷として隷属させる」ことは太古の昔から当たり前のことであったので、人間同士の戦争と奴隷とは切っても切れない関係にあるとも言える。
少なくとも、古代ギリシャや古代中国殷王朝、日本でも弥生時代には既に奴隷(あるいは、それに類する身分)が既に存在していたとされている。
奴隷身分の者の境遇は(現代も含めて)いつの時代も悲惨なものが大半であったが、古代ローマのように、高等教育を修めた上で、教師や医師、会計士など、今でいうところのエリート職を奴隷が担っていた時代もあった。
当然、こうした「使える」奴隷は高価で取引され、こき使って早死にされては大損するため、奴隷でありながら丁重に扱われる者も少なくなかったとされる(もっとも、無学な奴隷の扱いは他の時代や国と同様に悲惨なものだったが)。
また、稼いだ金で自分自身を買い上げたりすることで自由な身となることもあり、そうした身分の者は「解放奴隷」と呼ばれた。
その後も奴隷は最下層の身分とされながらも、その時代その時代の社会の礎(というか人柱)になり続け、時にはマムルークのように、精強なエリート軍人の集団として、やがては国(マムルーク朝)を築いて事実上の支配階層として一時代を作り上げるまでになった例も存在する。
しかし、時代が下るにつれて奴隷の扱いはどんどん悪くなり、16世紀から19世紀にかけての「奴隷貿易」は、現代における「奴隷」のイメージを確立してしまったと言っても過言ではない。
前述の通り、現在では奴隷は国際的な取り決めで禁止されているが、発展途上国や紛争地域を中心に、事実上の奴隷取引である人身売買は後を絶たず、「奴隷」という言葉は廃れても、事実上の「奴隷的身分」は世界のあちこちで未だ数多く存在しているのが現状である。
とりわけ、現在のイスラム過激派に代表されるイスラム系テロリストはイスラムの教義を自分たちに都合よく解釈し、誘拐した女性を性奴隷化したり、他人に売り払うなどの蛮行を繰り返しているとされる。
一応付け加えておくと、イスラム教では奴隷の売買や所有を悪行と定義していない(開祖であるムハンマドも奴隷を所有していたとされる)が、奴隷の扱いや福祉その他に関しての取り決めもきちんと定められており、ざっくりと言えば「奴隷を酷く扱うな」とされている。
このことからも、上記のイスラム過激派連中がいかにイスラムの教義を自分たちに都合よく解釈しているかがわかる。
創作における扱い
特に、性的な意味で奴隷化された女性にスポットが当たることが多い(R-18なのでここでは詳述できない)。