解説
「機動警察パトレイバー」の主な舞台で、主人公たちが所属する部署。
正式な部署名は「警視庁警備部特科(特殊)車両二課」。
注)「機動警察パトレイバー」はメディアミックス作品の為、作中での描写、設定資料全集、ムック、雑誌によって設定の相違点が非常に多い事にご注意下さい。
国家的大規模事業「バビロンプロジェクト」により急激に普及した多足歩行式作業機械「レイバー」による犯罪に対抗するため警視庁警備部特科車両隊に創設された特機部隊(中隊)を、レイバー犯罪の多発・凶悪化に対応して特科車両隊から独立させた部署。特車二課創設により従来の特科車両隊は「特車一課」となっている。
現在は第一小隊、第二小隊の2個小隊により構成され、第一小隊隊長は南雲しのぶ警部補、第二小隊隊長は後藤喜一警部補である。
陸の孤島というべき東京湾岸の埋立地に所在し、島流しといった場末の雰囲気が漂う。
課長や事務部門は警視庁本庁にある。
レイバーの維持費等に膨大な予算を要する部署でもあるため「金食い虫」等と揶揄されており、警視庁内でも「島流し」と見られ、後藤隊長も「独立愚連隊」などと自嘲するほどであるが、第一小隊に関してはエリート部隊として位置付けられている。
一方、第二小隊のほうはというとその「活躍」ぶりから市民達からも評判があまりよろしくなく、劇中ではレイバー犯罪に巻き込まれた被害者ですら第一小隊ではなく第二小隊が駆けつけたと知るや、青ざめたり「もうダメだー!」と大騒ぎしたりする始末である。
ちなみに課長は福島隆浩警視、先代は祖父江守警視正。
福島課長は漫画版でしばしば登場している。
第三小隊(や第四小隊)は時折設立の話が挙がるが、トラブルが生じるなど何かしらの理由により編成がされる事は無く、ゲーム版といった外伝的作品以外では設立はされていない。
なお、実際の警視庁警備部特科車両隊は10隊ある機動隊のうち第十機動隊に相当する大隊である(大隊は課に相当する)。
大隊(大隊長は警視)は少なくとも4個中隊によって編成され、その中隊(中隊長は警部)は3個小隊によって編成される。
特車二課は11番目の機動隊にあたることになるが実働部隊は2個小隊しかなく、人員の大半を占める整備班を含めても中隊程度の規模であり、課として独立するにはあまりにも小さい組織である。
これは特車二課がレイバー部隊の運用及びレイバー犯罪への対応のノウハウの確立と蓄積のための実験部隊としての性格が強いため。
作中ではバビロンプロジェクト終了後に大隊規模への再編及び全国の県警でのレイバー隊の本格的な創設が予定されていた。
今後製作される(恐らくTV・新OVA準拠)と思われるREBOOT/EZYの世界線では、その後も一般的な重機としてレイバーが普及・存続し、警察用レイバーには、ピースメーカーやヴァリアントではなく改良を重ねたイングラムの新造機が継続して納入されている模様。
旧OVA・劇場版世界線のその後の流れでは世界的な経済不況によってレイバーシステム自体が衰退してしまったため、より15年後の『THE NEXT GENERATION -パトレイバー-』の時代(西暦2013年)では第一小隊は解隊され、第二小隊のみがレイバー隊の運用技術を後世に伝えるという名目でかろうじて残されている状態にある。
(メタなことを言えば、作品の予算不足と押井守の感情論に起因する)
課員
第二小隊
・後藤喜一:隊長
・泉野明:一号機フォワード(操縦担当)
・篠原遊馬:一号機バックアップ(指揮担当)
・太田功:二号機フォワード
・進士幹泰:二号機バックアップ
・山崎ひろみ:後方支援
・香貫花・クランシー:二号機バックアップ
・熊耳武緒:二号機バックアップ
第一小隊
・南雲しのぶ:隊長
・五味丘務:一号機フォワード
・結城:二号機フォワード
他
整備班
・榊清太郎:班長
・シバシゲオ:主任
・ブチ山
他多数
その他
・祖父江守:課長(初期OVA版)
・福島隆浩:課長(アニメ・漫画版)
職場としての特車二課
とにかく待遇が悪すぎることで知られている。
「島流し」と揶揄されるように都市部の遠く離れたセイタカアワダチソウが好き放題に生い茂った埋め立て地にぽつねんと立っており、周囲には本気で何もない。近くのコンビニですら時間がかかる。
また地下には埋め立て工事を行う際に使用された地下道が網目のように存在し、誰も知らない秘密の進入路があるなどいつ敵に攻め込まれてもおかしくはない等防衛面にも不安が残る。
いくら首都圏にレイバーが集中しているとはいえ、たった2つの小隊で日本中のレイバー犯罪に対応している為宿直勤務等日常茶飯事。もはやここで暮らしているといっても過言ではない。
加えて本庁から出る予算もイングラムの整備や装備運用に消える為居住環境は著しく悪く、たびたび改善を要求しているが、ほとんど変わっていない。
食堂も無いため、時間をかけてコンビニに行くか上海亭という中華料理店に出前を取るしか食料を確保する方法がない。しかもその上海亭も夜には野犬が出て危険と昼間しか出前してくれない始末。
そのため鶏小屋で鶏を飼って卵を確保し、トマト畑を耕し、海でハゼを釣って干物にするなど自給自足の生活を強いられる。中でもハゼは保存用に作った干物にハマる職員が続出したため整備班の高速艇で東京湾に漁に出たり、後藤隊長の策略で予算不足解消のために通販事業を秘密裏に展開して販売し財源も確保している。当然ながら漁業権の侵害と公務員の副業で立派な犯罪だが、背に腹は代えられないため二課内でこそ公然の秘密だが殆ど外部にはもれず、闇に葬られている。
また食事が原因で壊滅しかけたり、危機的状況に陥ったこともある。
さらには宿直室に大量のエロ本を持ちこむ整備員がいたため、榊班長を怒らせ発見されたエロ本全てが焚書され、後に「火の七日間」と呼ばれる綱紀粛正の嵐まで巻き起こった。
実写映画『TNGパトレイバー』ではもっと悲惨なことになっており、第一小隊が解散したことで特車二課の24時間常時待機を第二小隊6人で二つの班に分かれ、24時間勤務と8時間準待機を繰り返すというブラック企業も真っ青なシフトとなっている。
しかも二日間で許されている16時間も睡眠と出勤で取られる事から自由時間は実質1時間しかない。また準待機でも帰宅こそ認められているが非常事態にはすぐに出勤しなければならず、緊急時に備えて居場所を明らかにし、携帯電話の電源を切ることも許されない。
食事面も相変わらず自給自足品以外はコンビニと上海亭頼りだが、上海停の店長が中国の人になった為言葉が通じないことをいいことに楽して作れるメニューを勝手に作って持ってくるため好きなものを食べる自由すらない。
一応ガス抜きとして隔週の水曜日には大規模なバーベキュー大会が開かれており、そこでフランクフルトや焼きそばを作り、上海停の主人を呼んで子豚の丸焼きを作って食べている。
生活の大半を二課で過ごす関係上隊員の私物や暇つぶしグッズが大量に持ち込まれており、レトロアーケードゲームやバスケットゴールといったホビーや簡易プールや水着、日傘や水鉄砲といったアウトドア用品も置いてある。
幻のクーデターの時にヘルハウンドの攻撃でかつてあった二課の場所が壊滅したことで埋め立て地の別の場所に引っ越している。地下通路も相変わらず健在で、金に目がくらんだ整備員が開放したことで悲惨なことになった。
なお爆発オチで三回くらい木端微塵に吹き飛んだはずだが、なぜか次の回には直っている。
関連イラスト
第二小隊の「あっ軽い人々」
隊長さん達
整備班の方々(代表)