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ガソリンカーの編集履歴

2018-09-15 03:44:30 バージョン

ガソリンカー

がそりんかー

一般にガソリンエンジンを動力源としている気動車をさす。

ガソリンエンジンを動力源とする車両のことであり、意味としては自動車鉄道車両ともに該当するが、鉄道車両を指すことが多い。

ここでは、日本において大正時代から太平洋戦争開戦前に掛けて製造された鉄道車両のガソリンカーについて述べる。


構造

気動車のエンジンがガソリンエンジンになっているだけで大きな違いはない。

変速機は海外では電気式が多く使われていたが、国内は自動車のマニュアルトランスミッションに準じた構造の機械式が主流であった。(電気式も存在したが、国内の線路では重量過多になりがちで、多くはなかった)

ちなみに確認した限りでは液体式のガソリンカーは存在していなかったようである。


普及した理由

ガソリンエンジンがディーゼルエンジンより先に発展し、自動車用として流通するほど技術が確立していたためである。

特にガソリンエンジンはディーゼルエンジンと比較すると重量あたりの出力に優れていたうえ、当時の技術では鉄道車両に載せられる大きさと出力を両立させたディーゼルエンジンは量産されていなかった。

軽便鉄道では、ガソリンエンジンを載せた自動車の足回りを鉄道車両のそれと差し替えたうえで認可を得れば運行できたため、各地で少なからぬ数が制作された。


他方、この頃日本ではディーゼルエンジンはまだまだ馴染みの薄いもので、後述する経済性などを鑑みると日本全国が熱望するエンジンであったにも関わらず、特に燃料噴射ポンプと噴射弁の工作が難しかったことや、冶金技術が充分ではなく小型軽量のエンジンを製作できなかったため戦前ではかなりマイナーなエンジンであった。


陸軍が筆頭となって重工・自動車メーカー各社が共同で統制型発動機なる「実用的な車両用ディーゼルエンジン(一応自動車用が主体ではある)」の開発に乗り出したのは1930~40年代。すぐ後にアレをおっ始めたためこの成果が鉄道車両に活かされる事はなく、燃料不足の時局下ガソリンカーは休車となるか木炭ガスを燃やす「代燃車」に改造されつつも、戦後ディーゼルカーが普及するまで活躍した。

衰退した理由

ディーゼルカーの方が経済的

ディーゼルエンジンのほうが圧縮比が高く取れる分熱効率が高いため、燃費がよい。そのため、消費する燃料が減るので運行コストが下げられる。


また、ガソリンよりも安価な灯油や軽油、或いはそれらが混じった精製が不十分で低質な燃料でも運転できるため、ガソリンと比較すると同じ量あたりの燃料費も安くなる。

事故の際に火災の危険性が高い

ガソリンは気化しやすい上に引火点が低いため、何かのきっかけで引火しやすく火災につながる危険性が高い。

昭和15年に大阪府で起こった鉄道省西成線列車脱線火災事故では260名近い死傷者(うち190名近くは死者)を出す大惨事となった。これがきっかけとなり、日本ではガソリンカーは新造されなくなり、戦後も中小私鉄などで細々と生き残っていたガソリンカーも昭和30年代までに姿を消した。


判例の中のガソリンカー

1939年(昭和14年)に三重県の軽便鉄道「中勢鉄道」で脱線事故が発生した。

この事故では、列車の遅れを回復するため速度超過の状態で車両をカーブに侵入させ転覆せしめたとして、運転士が刑法に定めるところの「汽車転覆罪」に当たると起訴されたのに対し、弁護人は「汽車転覆罪を定めた刑法126条には『汽車又ハ電車』の文言があるもののガソリンカーはこれに含まれていない」

と無罪を主張、両者とも譲らず大審院(最高裁判所)まで争われた。

結局、大審院では「確かにガソリンカーは『汽車転覆罪』を定めた文章には該当しないが、(鉄道事故を防ぐという)法律の趣旨を鑑みればガソリンカーは汽車と判断し得る」と言った旨の判決が下され、運転士は有罪となった。

このような曖昧で広い法律の解釈は司法の分野では通常では許されない(つまり行われない)事であるため、少し珍しい判例であるそうな。


関連タグ

鉄道 気動車 朝倉軌道


外部リンク

西成線列車脱線火災事故 - Wikipedia

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