概要
「エリみほ」とは、大洗女子学園戦車道チーム隊長である西住みほと、黒森峰女学園戦車道チーム副隊長である逸見エリカのカップリングである。
元々、西住まほが率いる黒森峰の戦車道部隊で副隊長を務めていたみほが、一身上の都合で隊を離れ転校。後任としてチームメイトでもあったエリカが副隊長の職を引き継ぎ、他校で戦車道チームを指揮することになったみほと対峙することになる――という複雑な関係。
少々めんどくさい間柄であることが描き手の創作意欲を刺激するのか、『ガルパン』のCPでもかなりの大手。
アニメでの絡みは少ないのだが、ドラマCDや小説版、コミック版では過去に何かがあったのだろうと匂わせる描写が多々あり、浅からぬ因縁を強く感じさせる。
同学年であり、元副隊長と現副隊長。おまけに『MCあくしず』のインタビューによれば、憧れの隊長と完璧な連携を取れるみほの存在は、かつてのエリカにとって羨望の的であったという。憶測に過ぎないが、本編で目につくエリカのみほに対する当たりの強さにも、相応の理由があるのだとすれば納得がいく。
本編開始より時を遡った第62回戦車道全国高校生大会にて、まほが隊長を務めていた黒森峰の戦車道チームは、北の強豪・プラウダ高校と決勝戦を争う。1年生にして副隊長に任じられたみほはフラッグ車を指揮しており、戦車道の名門流派を受け継ぐ姉妹を要とした黒森峰は大会10連覇に手の届くところまで来ていたはずだった。
天候は雨、崖際を進む黒森峰はプラウダと正面から対峙する。しかし黒森峰の戦車1輌が滑落し、水没の危機に見舞われているのを目の当たりにしたみほは、車輌から飛び出し単身で乗員の救助に向かう。指揮を失い挙動を誤ったフラッグ車は撃破されてしまい、そのことで師でもある母から強く叱責されたみほは、心に影を落としたまま戦車道を離れ大洗へと転校していった。空席となった黒森峰の副隊長を任されることになったのが、同大会にも参加していたエリカである。
以上の経緯を踏まえてエリカのみほに対するキツい態度を見ると、嫌っているようにも思えるのだが、彼女はみほが黒森峰を逃げるように去ったことこそ責めても、全国大会でチームメイトを助けに行った判断そのものについては一言も咎めてはいない。
上述したインタビューにおいても、試合中の行動については 「勝敗はともかく」 「過ぎたことを愚痴っても仕方がない」 と軽く流している。
エリみほに魅せられた者たちからすると、アニメや劇場版で、ライバル校も含め殆どの幹部級のキャラクターがみほに対して好意的であるのにもかかわらず、エリカが唯一人キツくあたり続けるところに、何かを感じ取ってしまうのかもしれない。
両名とも、大洗と黒森峰の次期隊長ということもあり、百合CPである以前に、純粋なライバル関係にあたるともいえる。「最終章」ではエリカが黒森峰の隊長になって対等な立場になったかと思いきや、みほの方は桃の推薦の為に副隊長になってしまっており、今後の2人の動向が注目される。
身長は1cm違い (エリカ159cm、みほ158cm)。
アニメにて
アニメ本編でのみほとエリカの関わりは多くない、というか非常に少ない。なぜこのCPが見出されることになったのか不思議なくらい、まともに絡んでいないのである(お姉ちゃんの存在が非常に大きいことも影響しているのだろうが)。
本編で二人が最初に顔を合わせたのは、戦車喫茶にて偶然鉢合わせたときのこと。
エリカは出会うや否や、
「副隊長? ……あぁ、元、でしたね」
と、言葉を漏らす。嫌味を込めてそう言ったのか、今の自分がそうであることを忘れて思わず「副隊長」と呼んでしまったのかは不明であり、邪推を働かせてしまう場面である。
その後も特に会話らしい会話もなく、せいぜい一言か二言を交わすのみ。
みほに対して一貫して冷淡な態度を見せていたエリカだが、TVシリーズ最終話で西住姉妹が一騎打ちを演じると、まほの援護に向かおうと必死の形相で焦りを表に出すあたり、人格はどうあれみほの戦車乗りとしての実力を高く評価していたと思われる。
アニメ以外でのエリみほ
ドラマCD
ドラマCDは本編の穴埋めであったり、後日談であったりする場合が多い。
みほとエリカが会話をするのはドラマCDの第三弾にあたる『あんこうチーム訪問します!』である。第63回大会の後、あんこうチームのそれぞれが各ライバル校を訪れるという内容になっており、みほは古巣である黒森峰を訪れる。
そこでエリカと対面した際、
「エリ……逸見さん」
と呼びなおす場面があり、過去には名前で呼んでいたことを匂わせる。
みほにとって他者を名前呼びすることは、「友達みたい」と本人が言ったように大きな意味を持っているらしいことが窺える。一方で当のエリカは前述した通り、「副隊長」とへりくだった呼び方をしているため、(そのエリカの言の真意も含めて)謎を深める結果にもなっている。
ただし、ブックレットに記載されているみほの報告書には「エリカさん」と書き記されているため、少なくともこの時点からは、友好な関係を築けるようになったと思われる。
ライバルとしての立ち位置は確かであり、練習試合をする約束等をちゃっかりと取り付けていた。
ドリームタンクマッチ
PS4で発売された「ドリームタンクマッチ」は劇場版より後の時系列に位置しており、主に争奪戦モードにおいて二人の絡みがある。ちなみに車長と乗員の組み合わせで発生するコンビネーションも勿論用意されている。
大洗を選んで黒森峰が対戦相手になった場合は、試合前の挨拶で相変わらずみほに厳しいエリカの態度に対して、麻子に「西住さんのことが気になるんじゃないのか」と言われてエリカがツンデレのテンプレートみたいな台詞を吐いて否定する一幕が見られる。
一方、黒森峰を選んで大洗が対戦相手になった場合は、勝利すると打倒大洗の為にエリカが誰よりも遅くまで特訓していたという事実が小梅から暴露される。
また、限定版の映像特典である「戦車裁判」では、みほを贔屓し過ぎているという容疑で裁判に掛けられたまほをみほ・エリカ・小梅の3人で弁護するというエピソードも。解決後、まほに心配を掛けないようにちゃんとしなさいとエリカがみほに忠告している。
ドラマCDや劇場版より後の時系列の為、みほが終始「エリカさん」と呼ぶ一方でエリカの方は相変わらずみほに対してそっけない。しかし負けられない相手として誰よりも意識している点や、未だに戦車から降りると頼りなさそうなみほを案じていると取れる台詞もあり、エリカのみほに対する一言では言い表せない心境が垣間見える。
コミック版
コミック版ではエリカがヘリで大洗を訪れ、みほを糾弾しにくるという一場面がある。
また、アニメ版では少なかった黒森峰の描写が追加されており、エリカは戦車道を止めたはずのみほが大洗で再び戦車道をしているのを知って 「私がどんな気持ちだったか!」 と怒りを顕にする。
みほが黒森峰を去ったことは仕方のないことと納得していたが、戦車道をやめたと思っていた元副隊長がいきなり敵チームを率い、なんとか建て直した黒森峰戦車道チームに皹をいれるのだから、エリカの怒りはごもっともと言えるかもしれない。
小説版
小説版では昨年のプラウダとの決勝戦で川に落ちた車輌にエリカが乗車していたという、他の媒体と大きく異なる設定が盛り込まれ、みほが戦車道をやめてしまった原因は自分にあるのだという負い目に苛まれていたエリカの姿が描かれる。決勝戦の後で抱えていたものを吐露し、泣き崩れていたところをみほに抱かれる場面も。
小説版エリカのみほに対する 「戦車道を止めないでくれてよかった」 という台詞はもしかすると、他の媒体で活躍しているエリカたちがずっと言いたかった言葉なのかもしれない。
その他
- 『ガールズ&パンツァー』のスピンオフ漫画作品である『もっとらぶらぶ作戦です!』ではエリカとみほが(色々とありながら)手を繋いで街中を(実質的に)デートするエピソードがあったりする。
- 外伝漫画『リボンの武者』では、対大学選抜戦を経て、より遠くに感じたみほの背中に追いつくべく、気持ちを新たにするエリカの姿が見られる。ドラマCD同様、こちらではわだかまりなく、真っ当なライバルとして向かい合おうとしているようだ。それでも若干根に持つところがあるのか、過去を思い出すエリカはやや不機嫌そうな顔をしていたのだが……。
- アンソロジーでも割合絡みが多く、『side:黒森峰』はエリみほが気になる方々には一読の価値あり。
呼び方について
ドラマCDで「エリ・・・逸見さん」と呼んで以後、みほは総集編やガルパン博のナレーション、ドリームタンクマッチ等で一貫して「エリカさん」と呼んでいる。
一方エリカは本編での「元副隊長」にはじまり、「大洗の隊長さん」「あなた」「あの子」と、頑なにみほのことを名前で呼んでいない。漫画作品ではみほと呼ぶこともあるが、実を言うとこれまでにアニメやドラマCD、ゲームやアプリ等の声付の媒体でエリカが「みほ」と名前で呼んだことは一度もない。
また、意外かもしれないが自分が助けたことを感謝している小梅のことをみほは「赤星さん」と呼んでおり、実は転校する前は小梅よりもエリカの方がみほと近い距離間にあったのでは?とも推測できる。
なお、本編での嫌味な態度からエリカのみほに対する二人称は「あんた」とイメージされやすいが、こう呼んでいるのは2014年の『もっとらぶらぶ作戦です!』の2巻くらいで、本編・ドラマCD・スピンオフ各作品では基本的に「あなた」で統一されている。
関連イラスト
関連タグ
西住まほ……三角関係要員の筆頭。みほと一緒になってエリカを翻弄することも多い。
秋山優花里……黒森峰の副官エリカに対する大洗の参謀。公式におけるみほの相方。
赤星小梅……滑落した戦車の乗員だった生徒。エリみほの橋渡しになったりもする。
声優ネタ
ドキドキ!プリキュア……相田マナと四葉ありす(マナあり、PANZERコンビも参照)