概要
2010年03月09日にニコニコ動画へ投稿された、小雨大豆と酔狂倶楽部制作【酔狂文庫:【ショートショート】ハートのA】内のショート動画「ハートのA」
誠実でドッ直球なネタバレ注意。
ハートのA
♥のJが『どう?そのアップルパイ。かなり自信作なんだけど』と隣の彼女に尋ねると…。
『甘い。くどい。リンゴが固い。だけどあなたの料理、私は好きよ。』と、♥のQは相変わらず直球で答えた。
はぁ~、まったく…
たまんねぇ~
というわけで、彼は彼女に首ったけなのでした。
♥のJにとっては、
初めての学校も、
新しいランドセルも、
その日から、彼は彼女に恋をして…
そして何もないまま高校2年に至るという体たらくなまま進級していた…。
このような関係に流れてしまった事に自ら『情けない。』とため息をつく♥のJ
しかしこれには些かながらの訳があった。
それは彼女(♥のQ)の父親(♥のK)である。厳格な彼女の父上はかなりの凝り性。それはそれは真摯(しんし)にある道を突き進み、その道を極めた方なのである。
略して《極道》
こうして自身の手の内を開かした彼は…
- 最も、だからといって彼女がどうこうという訳ではなく…
- いやそもそもそういった方だから、この竹を割ったような性格のお嬢様を…
と、正直に彼は認めた。
だがいい加減、彼も覚悟を決めた。
いつまでも、このままの関係が続くとは限らない。いや、このままの関係ではいけないと決意した。
本気で彼女の事を愛しているなら、僕だって、変わらなきゃいけないんだ。
その日、彼は♥のQのカバンにこっそりと手紙を忍ばせた。そこに一枚。
一途な思いを込めたカード(♥のA)を付け加えた。
手紙にはこう書かれていた。
これは君に対する僕の気持ちです。もしOKなら、このカードを受け取って欲しい。
でも、もしダメなら…その時はこのカードを突き返して下さい。
そして翌日。いつもの様に放課後。教室に残っていると彼女が彼の目の前に現れた。
目の前の女性は何も言わずに、真っ直ぐと男の目を見つめると一枚のカードを手渡した。
だけど、それは…
一途な思いに○(マル)が付け加えられたカード(♥の10)だった
思いが実った彼は神様、仏様にありがとうと感謝をした。いや何より思いを受けとめてくれた彼女にありがとうと、泣きそうになっていた。
♥のJ『ありがとう。ごめんね、情けなくて。』
♥のQ『全然。』
♥のQ『ええ、貴方より美味しいアップルパイを作る人が現れるまではね。』
♥のJ『頑張ります。』
ここまで進展するのに、彼女を少し待たせ過ぎたこの状況。彼の告白までまわりくどい事に文句を言うと…。
♥のJ『そんな事言ったて、君みたいな直球は僕には無理だよ。』
♥のQ『ちょっとくさすぎ。』
そんなお互い様な二人。更に対峙する女性へ彼は突っ込んだ問いかけをすると…
彼女は、対峙する男を自分に引き寄せて…
毛先が赤い黒髪で薄っすらと赤い顔で、目の前の人物に対して勝ち誇ったような表情を見せるクイーンと…
茶髪に真っ赤な顔と、真ん丸に開かれた眼で目の前の人物に負かされたような表情のジャック…
ほんと、僕の彼女は、
ストレートだな~。