学名はArchaeopteryx(アーケオプテリクス、ギリシア語で「太古の翼」の意)。
現在の鳥では消失してしまった歯・前肢の指骨・尾骨を持ち、胸骨などは未発達だった。反面脚は(ダチョウなどを除く)現生鳥類より発達しており、陸上をかなりの速さで走ることができたようである。
翼に関しては、三本の指があるものの、羽毛の付き方などが現生鳥類のものほぼ同じだった。しかし、現生鳥類では翼を動かすための大胸筋とそれを支えるための竜骨突起が発達しているが、始祖鳥には竜骨突起がない。また、肩関節の可動域が狭かったことが肩周辺の骨の付き方からわかっている。したがって、自らの力で羽撃いて飛翔するのは難しく、非常に高度な滑空飛行をしていたと考えられている。
他に、長い尻尾にも幅広の羽根がついており、これも飛行能力を高めていた。
化石は奇しくもチャールズ・ダーウィンが『種の起源』を発刊して2年後の1861年に発見され、ダーウィンの信奉者トマス・ヘンリ・ハクスリーはこの動物を爬虫類から鳥類への進化の証拠とした。
ダーウィン自身は増刷で「奇妙な鳥」と記述している。
かつて始祖鳥は全ての鳥類の始祖と考えられていた。しかしその後、より古い時代の地層から現生鳥類に近い動物の化石が見つかっており、始祖鳥は鳥類への進化の過程で取り残された「進化の袋小路」であったと考えられている。