孔子鳥
こうしちょう
1億2500万年くらい前の東アジアに生息していた鳥。
化石は中国・遼寧省(中国東北部の辺り)で発見されているが、北朝鮮の鴨緑江・新義州市の建設現場で足の化石が見つかっている事から朝鮮半島の辺りにも生息していた可能性がある。当初は「朝鮮始祖鳥」と命名されたが、2009年に中国の研究家・高克勤によって孔子鳥であったという結果が出された(董枝明『アジアの恐竜』288頁)。
この化石は90年に発見され、1993年に発表されたが、以降は切手のデザインになる程度で当の研究はろくに進展せず、実に20年近い歳月を要した。
孔子鳥という名前は学名のConfuciusornis(コンフキウソルニス)を直訳したもので、「論語」で有名な儒学者の「孔子」に因んで命名された。
孔子はヨーロッパで哲学者扱いされており、尊称「孔夫子」(confus)をギリシャの哲人風な「CONFUCIUS」にして広まっており、その名前にオルニス(鳥)を付けて、コンフキウソルニス・サンクトゥス(聖コンフシウスの鳥)というわけ。
大きさは30センチくらいで、スズメより少し大きい程度。
この時代の原始的な鳥類はほとんどがくちばしに歯を持っていたが、早々に歯のないくちばしを導入した稀有なやつ。
また尾羽が短く、飛行能力もなかなか優秀だったようで、一見すると現代の鳥とほぼ変わらないような格好だった。しかし現代の鳥には繋がらない絶滅したグループと位置付けられている。
歯がないとはいっても頭や腰の骨は始祖鳥とよく似ており、翼には鋭い鉤爪のついた3本指がある等、肉食恐竜の面影も残している。
一応、現代の鳥も3本指であり、痕跡程程だがツメも残っている。だが見比べてみればいかに色濃く残っているかがわかるだろう。
なお孔子鳥には尾羽が2本猫じゃらしのように伸びたものとそうでないものがおり、伸びてる方がオスだろうという見方は以前からあった。しかしそれが本当にオスだったようだという研究発表は2013年と割と最近。
少し考えりゃわかるんじゃないの?と言いたくなるだろうが、何せ化石しかない絶滅種なのでこういう仮説も裏付けをとるのは大変なのだ。
孔子鳥は羽毛の化石から色素のあとが見つかっており、鹿のような茶色地に白い斑点模様があったらしい。保存状態のよさがなし得た奇跡である。
またシノサウロプテリクスも尻尾の部分が茶色い毛だったことが知られている。