概要
論語は、孔子と弟子たちとの問答を、孔子の死後に、孔子の門人の門人が論撰して編成したもので、十巻二十篇からなっている。
東アジア社会では、『論語』が国家と民族を超えた共通の古典としての役割を担ってきた伝統があり、「宇宙第一の書」あるいは「人類の語では賞賛しきれないほどりっぱな書物だ」といわれている。
清朝に中国へ渡り、キリスト教を広めようとして拒否された宣教師は、「東洋人がキリスト教を持たない」にも拘らず、ある種の倫理を持っているのに興味を持ち、孔子の教えを発見、持ち帰って一応広めた。フランス革命にその影響が見られるが、ほかヨーロッパで今でも「ST confucius(聖なる孔夫子 のラテン語風)」と言う呼称が使われる。
日本では、応神天皇の時代(西暦4世紀)に百済の王仁博士が『論語』『千字文』を献上したことが歴史に見え、これは日本人が文字に接した最初である。
王朝時代には、『孝経』と共に大学の学生の必修科目となり、鎌倉室町の時代においても読者は絶えず、徳川時代には、少し学問した人で『論語』を読まない人はないという有様で、外国の文献ではあっても日本人にとっては古典中の古典である。
論語という書名の意味については二千年来の問題となっており結論が出ていないが、論とは対話そのものの意味であり、語とは聞き手に対して一人で話した言葉の意味と考えられ、論語とは、孔子による対話と語録とであるということであろう。