通常、「国道」と聞くと
- 広い道路
- 片面1車線(対面通行)もあるが、基本的に交通の要所で、交通量が少なくない
といった立派なイメージがあるが、酷道とはそんな国道のイメージを根底からひっくり返す存在である。
酷い状態の例
第1段階:幅が狭過ぎて行き違いができない。一方通行が存在。ここまでなら割とよくある。
第2段階:険しい峠道で道幅が狭く坂の勾配が急過ぎたりカーブが続いたりして素人にはお勧めできない。さらに、交差する道路も車両をまわすスペースもない。四輪車で進入すると引き返すことができないので対向車が来たらアウトである。
第3段階:断崖絶壁にはりついてる道なのにガードレールがない。「落ちたら死ぬ」(国道157号・温見峠)とか看板すら怖い。
第4段階:険しい山道の上、あまりに通行が少ないため自然に帰りかけており、けもの道状態(国道289号の八十里越区間)。四輪車はもちろん二輪車での通行もできず、鉈片手に藪を切り開きながら踏破するしかない。自動車通行不能の国道としては、階段(国道339号・龍飛岬近く)とかアーケード(国道170号旧道や国道324号)なんてのもあるが、前者は普通に歩いて通行できるし、後者は時間帯によっては車での走行も可能。
第5段階:災害で廃道化しており、トンネルは崩壊、盛り土や橋が流出しているので歩いてすら通行が困難(国道291号・清水峠)。清水峠に関してはかつては馬車が通れる程度の立派な車道があり、歴史的経緯から「再」指定したのだが……。しなかった方がよかったのかも知れない。
存在する理由
酷道と言われる道路は北海道を除く全国に存在する(北海道では道路整備の進展で1990年代に消滅)が、ひどい国道が放置されているのは理由がある。
- 計画上は存在したものの、林道などを取り込んでいるだけで実際に国道は敷設されていない、いわゆる点線国道(国道152号、国道193号、国道291号、国道309号)
- 明治時代開通した道で整備が追いついていない(国道291号、国道327号)
- 悪路に対するバイパスが存在するもののそれが自動車専用道路のため国道指定がはずせず放置された(国道25号の名阪国道旧道、国道166号、国道286号など)
- 並行する別の国道および県道等が存在するため放置(国道193号、国道425号など)
- もともと山奥であり利用率も低く整備も困難であり整備される順位が低い(国道265号、国道388号)
- 別の工事で水没するため整備する意味がない(国道418号の廃道区間)
- 都市部を通っており道幅の拡張が困難(国道324号の浜町アーケードや銕橋、国道170号のアーケード、)
国道以外の場合の呼ばれ方
- 屠道 - 都道の場合。これも読んで字のごとく。
- 兎道 - 同じく都道の場合。「ウサギが通るような道なんじゃねーの?」くらいの意味。
- 獰道 - 道道の場合。「獰猛な道」の意味。
- 腐道 - 府道の場合。クサレ道の意味。
- 険道 - 県道の場合。「険しい道」「危険な道」というくらいの意味。
- 死道 - 市道の場合。読んで字のごとく。
- 懲道 - 町道の場合。「懲役(懲罰)を受けるが如き道」くらいの意味。
- 損道 - 村道の場合。「走ると車壊したりして損する道」くらいの意味。
三大酷道
- 国道418号(福井県大野市~長野県飯田市、整備区間も多いものの事実上の廃道区間が存在、国道157号の重複区間には落ちたら死ぬ看板も存在)
- 国道425号(三重県尾鷲市~和歌山県御坊市、ほぼ全区間が離合困難かつ落石崩落あり)
- 国道439号(徳島県徳島市~高知県四万十市、長くて未整備な峠が複数存在し、コケや落ち葉でスリップしやすい)
を指してこう呼ばれることがある。それぞれの酷さはぐーぐる先生等に聞いてもらいたい。
広域地図でだけみたら短絡ルートにも見えたり、古いカーナビなどでは最短ルートで指定されたりするが騙されてはいけない。
注意事項
都市型酷道を除く一般的な酷道は通行者がなかなか居ない(ただしいたらいたで行き違いできなかったりするので四輪車での進入はお勧めできない)のはもちろん、走行に適さない危険な路面状況だったり携帯の電波も入らないところであることが少なくない。通行の際は最悪の状況を見越して通行すること。特に夜の酷道は遭難のリスクが非常に高まる。