概要
国道25号線のバイパスみたいなものであるが、最高速度は60km/hに制限されている。だが、それを護る車は存在せず特に大型トラックは速度超過で走ることが多い。一部区間は警察が折れたのか制限70km/hに緩和されている。
特に天理方には「高速道路ではありません!」という注意書きも散見されるが、近年導入された高速道路ナンバリングでは西名阪自動車道と共通するE25が採用されている。道路標識看板も緑看板。
途中、「Ωカーブ」と呼ばれる、その文字が示す通りのコースの強烈なカーブが存在する。勾配を超えるために迂回しているのだが、このカーブこそが名阪が高速道路とならない所以とまで言われるほどのもの(実際はそれだけではないが)。が、ここを猛スピードですっ飛ばす猛者も数多い。
天理側は西名阪自動車道と亀山側では東名阪自動車道と伊勢自動車道が接続している。なお、東名阪との接続は伊勢(伊勢自動車道)方面が関JCT、名古屋方面が起点の亀山ICであり、関~亀山間は両路が並走する形となっている。
名神高速道路や新名神高速道路より安い為か、トラックの通行量が多いので、慣れないドライバーは素直に名神(京滋バイパス含む)か新名神を使った方が早い。
特に京都都心部、大阪北摂、北河内、梅田、神戸以西に向かう際には所要時間的にもそちらの方が圧倒的に有利になるのでそちらの利用を推奨する。
天理周辺から針まで奈良交通の路線バスが、伊賀周辺から山添までは三重交通の路線バスが走る。2023年4月までは山添~針間にも路線があり両者の路線バスの接続が可能であったが、補助金の関係で同区間が廃止され分断された。また、奈良・伊賀と名古屋・東京を結ぶ昼夜の高速バスの走行ルートにもなっている。
通行規制
自動車専用道路なので、以下の車両と歩行者は通行禁止である。
ちなみに高速自動車国道と異なり最低速度50km/hが設定されていないため、フォークリフトやトラクターなどの小型特殊自動車は一応通れることになっている。しかしながら高速道路並みに飛ばす車が多い以上、スピードがあまり出ない小型特殊自動車で名阪国道を通るのは全くオススメできない。
道路周辺・出入り口
一応高速道路ではない自動車専用道路であり、有料高速道路でいうところのインターチェンジはそれらと比べて遥かに多い。また、道中で「サービスエリア」と呼ばれるものの規模はだいたい高速道路のパーキングエリアかそれ以下の規模である。
インターチェンジも加速車線が短く、進入に気を付ける必要のあるICが多発している。一部には改良されたICも存在する(針インターチェンジなど)。何れも料金所は存在しない(起終点の亀山・天理を除く)。
休憩施設等
名阪国道は初期より多くの道路休憩施設が存在するが、無料でありICごとに出入が容易であること、またサービスエリアの加減速車線もインターチェンジ同様短いことなどから道路外設備への逸走が進み、廃止されたサービスエリアも存在する。
各項目でも記しているが、名阪国道は道路公団が民営化したNEXCO各社ではなく国土交通省直轄の国道であるため、サービスエリアにおいてもNEXCO各社の子会社に移管されることは無かった。そのため旧道路休憩施設運営公社二社(J-Sapaとハロースクエア)の休憩施設が、この名阪国道上にのみ残されることになった(厳密には他に姫路バイパスの別所PAも存在したが、NEXCO西日本に移管されている、また名阪国道にハロースクエア経営のSAは存在しない)。
しかしJ-Sapaの解散に伴い、当時残されていた高峰SA下り・伊賀SA上りは何れも地元企業に移管されることとなった。伊賀SAの運営は、東名阪道などの近隣SA・PAを運営する株式会社安全の管理下にある。
ここでは起点側からの路線上あるいは路線とほぼ一体の近隣休憩施設を列記する。
亀山パーキングエリア/ハイウェイオアシス
NEXCO中日本が管理し、株式会社安全が運営。厳密には東名阪自動車道に入ってすぐ(あるいは最後)の休憩施設。県営公園「亀山サンシャインパーク」を併設しハイウェイオアシスが整えられている。亀山PAスマートインターチェンジを併設。
名阪関ドライブイン
関インターチェンジにほぼ併設の形で隣接している、三交興業が運営しているドライブイン。名阪国道上の設備では無いが、伊賀・上野のドライブイン同様事実上の休憩施設として機能している。
レストラン・フードコート・土産物屋やパン、弁当なども販売されている。この他同じくインターチェンジ付近にガソリンスタンドとコンビニ(ミニストップ)が併設している。
また三交興業の本社と、三重交通の関バスセンターが併設されている。名阪国道上を伊賀まで進む名古屋上野高速線が主な発着路線で、その他朝に京都まで、夕に津まで運行される三重京都高速線
1日1往復発着する。このバスは亀山JCTを経由して名阪国道と新名神を共に走行する珍しいバスでもある。他に横浜・池袋・大宮まで運行される夜行高速バスも運行されているが、新型コロナウイルス感染症の影響で2024年現在まで運休扱い。
伊賀ドライブイン
伊賀インターチェンジにほぼ併設の形で隣接している、地元の柿の葉寿司製造会社「あじみ屋」が運営しているドライブイン。下り側に設置されているが、どちらからでもアクセスは容易。
各種レストランの他ガラス工芸品や骨董品の販売施設もある。
名阪国道上の設備では無いが、関・上野のドライブイン同様事実上の休憩施設として機能している。伊賀SAとはかなりの至近距離にあるものの、両者とも併存している(下り側は道の駅として営業しているためなのか、ある程度施設の棲み分けがなされていることも理由の一つ)。
元々は同地にてレジャーランドとして開園したものの、バブル崩壊後の経営不振で撤退し、現会社がドライブインとしてリニューアル。現在まで運営されている。
伊賀サービスエリア
上り亀山方面は旧J-Sapa直営→株式会社安全が運営。下り天理方面はかつて伊賀町営で、現在は上りと同じく株式会社安全が運営。下りのみ道の駅として登録され「道の駅いが」として運営されている。上り側はフードコート、下り側はレストランが存在する。
電気自動車の急速充電器が設置されている。ガソリンスタンドも存在するが、休止中のため、ICを降りたすぐ先にある別のGSを利用する必要がある。他に土産物店やドッグランも併設するなど、名阪国道の道路上では最大級の休憩施設である。
上りは西名阪道天理PAからみて久々の道路上休憩施設となる。
名阪上野ドライブイン(廃止)
大内インターチェンジにほぼ併設の形で隣接している(下記伊賀上野パーキングエリアとの兼ね合いからか、上り寄りに設置されているが、どちらからでもアクセスは容易)、三交興業が運営していたドライブイン。上述した関ドライブインとは運営元が同じであった。
名阪国道上の設備では無いが、関・伊賀のドライブイン同様事実上の休憩施設として機能していた。2012年にリニューアルし「忍者ドライブイン」として、伊賀の忍者のイメージを全面に押し出した施設に改装した。レストランやフードコート、土産物店、テイクアウトの店などが設置。
ドライブインらしい設備として、建物の角にはその名も「おすみ」の名を持つ焼き鳥屋が存在し、昭和時代からの佇まいを唯一維持していた。
しかし、新名阪開通に伴う流量減少に加え、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う利用客減が響き、2022年3月末を以て惜しまれつつも営業を終了した。なお、「おすみ」は国道368号上に移転して営業を再開している。
伊賀上野パーキングエリア
正式名称は不明。名阪国道上では唯一パーキングエリアを名乗るが、これは道路上設備としては他のサービスエリアと異なり駐車場と電話・トイレしか存在しないためである(道路上には「P」としか表示されない)。また下り天理方面のみの設備である。
ただし、道路すぐ脇に直接アクセス可能な民間施設「サービスエリア伊賀上野」(一般道からも一応アクセス可能)が併設しており、自動販売機や小規模な食堂を利用できる。
「サービスエリア伊賀上野」の建物は老朽化が激しく、時が止まったかのように廃墟のごとく残されているが、屋外の自販機コーナーと、食堂「味のお福」のみ営業している。同店のどて焼きは、名阪国道の名物の一つとして数えられている。
五月橋サービスエリア(廃止)
五月橋インターチェンジに併設されていた、上り亀山方面のみのサービスエリアであった。テーマソングがあり、ドライバーたちに向けたメッセージなども駐車場上で読むことが出来た。レストランでは名物の「ドライバー定食」を代表としてボリュームある料理が食べられるなど、上野ドライブイン「おすみ」・伊賀上野PA「お福」と並ぶ、昭和的トラック野郎向け食事施設として名を馳せた。
しかし、施設の老朽化に加え、後述の針T・R・Sの開業などもあり利用客が減少。更に古く使いづらいインターチェンジを改修するに辺り、インターチェンジに併設する形となっていたことが災いしそのまま廃止された。旧J-Sapaが消滅する最後まで運営していた施設の一つで、遺構となったトイレ部にはかつてのJ-Sapaマスコット「サパくん」のイラストがひっそりと残されている。
道の駅「針T・R・S」
かつては株式会社三興が運営、現在はサントリー系のダイナックが運営。
加減速車線が短く危険だった針インターチェンジを改築するに辺り誕生した、県内でも有数の巨大な道の駅であり、無料の名阪国道からも自由に利用出来るため事実上の休憩施設としても機能している。施設内には土産物店やコンビニ・フードコート・レストランなどが一通り揃う他、道の駅らしく農産物の直売所もある。いちご狩りなども楽しめる他、温泉施設やその併設ホテルまで存在するなど、名阪国道に隣接する施設としては最大規模のものとなっている。
この他に交通情報や都祁エリアの観光案内の設備を併設しており、定点カメラで付近の名阪国道上のライブ映像も放映している。電気自動車の急速充電器が設置されている。ガソリンスタンドは、針インターチェンジ周辺に点在している。
針インターBSが併設されており、一般路線バスのいくつかと、高速バスが発着する。運営会社によってバス停名が異なる他、奈良交通同士でも高速バスのみ「大和高原都祁」の停留所名である。針バスストップ(国道針停留所)とは位置が異なる。
高峰サービスエリア
かつてはJ-Sapa直営の休憩施設で、伊賀SA上りと共にその消滅までネクスコ各社に移管されずに生き残った最後の施設である。現在は歌堟観光が運営。
天理方面最後のサービスエリアで、現在は下り天理方面のみ設置している。サービスエリアを名乗るものの、レストランの他はトイレと自販機・小規模な商店のみのこぢんまりとした設備で、ガソリンスタンドなどは存在しない。
このサービスエリアはかつて、あまりにも本線に対して困難な離合(加速車線・減速車線が存在しないT字進入路という体であり、ただでさえ高速ですっ飛ばす本線の車列に加わるのが相当困難かつ危険)で有名だった。
しかし、その危険性の高さから加減速車線の増設工事を行い、多少は改善されている(それでも一般的な高速道路と比べるとかなり不十分なことは否めない)。が、上り線においては改修が困難ということでそのまま廃止されてしまった。廃止にあたっては国交省が斡旋までしていたというから、相当なものである。
天理パーキングエリア
NEXCO西日本が管理、運営。厳密には西名阪自動車道に入ってすぐ(あるいは最後)の休憩施設で、事実上の境界となる天理本線料金所が併設されている。冬季の名阪国道は積雪などの影響があるため、チェーン装着所としても機能している。ショッピング施設の他、松屋が上下線ともに存在。
路線データ
BSは特記のあるものを除き奈良交通・三重交通の一般路線バスの停留所として機能(三重交通便は着席定員制)。
番号 | IC名 | 接続道路 | 備考 |
---|---|---|---|
東名阪自動車道名古屋方面 | |||
1 | 亀山IC | ||
34 | 関JCT/伊勢関IC | 伊勢自動車道 | 伊勢方面のみ分岐・接続出入口 |
2 | 関IC | 三重県道10号津関線 | |
3 | 久我IC | ||
4 | 向井IC | 加太駅最寄り | |
5 | 板屋IC | 国道25号(非名阪) | |
6 | 南在家IC | 三重県道668号関大山田線 | |
7 | 伊賀IC |
| |
伊賀SA | 天理方面は「道の駅いが」 | ||
8 | 上柘植IC |
| |
9 | 下柘植IC | 三重県道146号伊賀大山田線 | |
10 | 御代IC | 三重県道2号伊賀青山線 | |
11 | 壬生野IC | 三重県道49号甲南阿山伊賀線 | |
12 | 伊賀一之宮IC | BS廃止 | |
13 | 中瀬IC | 国道163号 | |
14 | 友生IC | 三重県道56号上野大山田線 | BS廃止 |
15 | 上野東IC | 国道422号 | 伊賀鉄道桑町駅最寄り |
16 | 上野IC | 国道368号 | |
17 | 大内IC/BS | 国道368号 | 名阪上野ドライブインは出入口すぐ |
伊賀上野PA/七本木BS | PAは下り(天理方面)のみ | ||
18 | 白樫IC/BS | 三重県道686号上野島ヶ原線 | |
19 | 治田IC | 三重県道687号治田山出線 | BS廃止 |
20 | 五月橋IC | 国道25号(非名阪) | SA・BS廃止 |
21 | 山添IC/BS | 奈良県道80号奈良名張線 |
|
22 | 神野口IC |
| BS廃止 |
切幡BS | 廃止 | ||
23 | 小倉IC |
| |
小倉BS | |||
24 | 針IC/針インターBS | 国道369号 | |
針BS | |||
25 | 一本松IC/BS | 国道25号(非名阪) | |
26 | 福住IC |
| |
福住BS | |||
高峰SA | 下り(天理方面)のみ/上りは廃止 | ||
27 | 五ヶ谷IC/BS | 奈良県道187号福住上三橋線 | 「Ωカーブ」上に存在 |
28 | 天理東IC/岩屋BS |
| |
29 | 天理IC | 国道169号 | |
西名阪自動車道大阪(松原)方面 |
「非名阪」
国道25号線のうち名阪国道でない並行道を指してこう呼ぶ。なお名阪区間のエリア外(御堂筋など)はその限りでない。
天理など奈良の市街地や伊賀市周辺のようにある程度の通行量があれば片側1車線(それでも、計2車線)が確保されているのだが、車通りの少ない区間では計1.5車線だとか、離合も不可能な箇所が多数存在する。
道中では3ケタ国道や県道相手に優先され、「止まれ」の地表標識があるなどその扱いは概ね酷い。また、三重県亀山市の加太・関周辺には地元のコンクリート・石材産業会社「イシバシ産業」の採石場があるのだが…重い石材を運ぶダンプカーが多く通る関係でアスファルトは禿げ、未舗装道のような有様である。
前述の通り、名阪国道が自動車専用道路でバイパス扱いのため、旧道に当たる部分も現在も国道25号に指定されていることから、このような道路が生まれた。二桁国道にもかかわらず市街地を除いて改良が殆ど為されていない原因としては、名阪国道がバイパスとしては異例の規模で、自動車であれば非名阪を経由する必要が全く無いためだと考えられる(ここ程酷く無いが、同様の事例としては国道18号の碓氷峠旧道がある)。また名阪国道が高速道路に昇格せずに一般国道として管理され続けているため、非名阪の改修義務が無いという面も関係しているとされる。
殆どはローカルエリアの生活道路であり、全線走破する奴は単なる酷道マニアである。名阪国道とは別の意味で危険な道と言えよう。
2019年頃から一部区間で改修が行われ、前述の舗装の荒れた区間で再舗装がなされたり、途中存在する踏切がクランク状となっていて大型車の通行が極めて難しかったのが、カーブの緩和などで通行しやすくなった。沿道にあった赤錆びた国道標識(通称:焼きおにぎり)も撤去されている。しかし相変わらず殆どの箇所は酷道状態のまま。
その筋の愛好者からは「名阪酷道」と呼ばれることもある。読みはもちろん「めいはんこくどう」である。
その他
又、恐怖の奈良ナンバーが走る道路の一つでもある。
因みに奈良駅から名古屋駅に行く際には京奈和自動車道を経由して新名神高速道路(2017.4開業区間)、第二京阪道路、京滋バイパス、新名神高速道路、東名阪自動車道、伊勢湾岸自動車道を使った方が早い。
俗にいう、東の新4号バイパス(或は保土ヶ谷バイパス)、西の名阪国道とも言われている。
建設当時、終点側の天理では開通日の1966年に天理教の「教祖80年祭(教祖・中山みきの逝去より数え年で80年目)」が行われる予定であった。
これに間に合わせるための大雑把な目標として「1,000日で完成させる」と工事の事務担当者が発言した所、それを真に受けた建設大臣の河野一郎が「よし、なら1,000日で完成させろ」と命令の形で発布してしまい、その結果本当にその日から1,000日以内という急ピッチで全線開通に漕ぎ着けたのだと言う。この道路が当初「千日道路」などとあだ名された所以である。
名阪国道が所々無茶なルート設定をしてあったりするのもその時の名残と言われ、これが有料高速化を阻む理由ともされる。