解説
あしたのジョーの登場人物。
主人公・矢吹丈と少年院で運命的な出会いを果たし、永遠のライバルとなる。
因縁の出会い
元々は13連続KO勝ちを果たしたボクシングのウェルター級のプロ選手だったが、観客を殴ってしまったために特等少年院(架空の施設)に入れられる。そこで少年院からの脱走を試み、院内で飼育されていたブタを暴れさせたジョーと西の前に立ちはだかり、暴走する豚の群れ諸共、力石は難なくこれを鎮圧してみせる。
続く慰問会での対決でも牛を殴るというすごすぎる特訓の末にリング上でジョーの2度目の粉砕を試みるがクロスカウンターでWKOと相成ってしまった。
再戦
出所後、ジョーをライバルと認め、4階級下(6~11Kg下)のフェザー級でプロ入りするや否や全日本新人王の座を獲得。それより更に2階級下(3~5Kg下)のバンタム級でデビューしたジョーとリング上で再戦するために、力石は10kg以上も体重を絞るという無理な減量をする。
原作の連載、アニメ本放送を見ていない世代のイメージする力石は、痛ましい幽鬼の様な姿だが、原作やアニメを頭から見て貰えばわかるように本来の力石は別人のような恰幅の良い青年である。
しかし減量の過酷さから遂に力石は施錠された地下室をドアを破って飛び出し、水を求めてジム内を徘徊する。ところが、この事態を予測していた白木葉子の指示で全ての蛇口は針金で封印されていた。
放心する力石の前に葉子が現れ、「貴方にも人間らしい弱さがあって私は嬉しい」と告げ、これ以上の減量を思いとどまる様に説得する。そして力石の身体を労わって水道の冷たい水の代わりにコップ一杯の白湯が渡される。
ところが…
「気障な言い方ですが、お嬢さんのお陰で決心が固まりました…!」
減量の辛さで挫けていた力石の気力は、葉子の言葉で逆に元通りになり、彼女の前で白湯を床に溢してしまう。
力士の決心を目の当たりにした葉子は、もう試合を止められないと観念する。
そして遂に日本バンタム級8回戦、プロのリングでジョーとの対戦が実現。
その試合でジョーにKO勝ちした後、ジョーに握手を求められた力石はそれに応じようとして倒れ、それから間もなく息を引き取る。
死因
死因はジョーの放ったテンプル(側頭部)への一撃とダウンの際、後頭部をロープに強打したことによる頭部へのダメージと診断された。
よく誤解されるが、厳しい減量は直接の死因ではない(死期を早めた一因ではあるようだが)。
実は作画担当のちばてつやはボクシングの重量制に疎く、初めて力石を出した際に巨漢に書きすぎてしまった(ちばが「力石はあくまで少年院編のライバルなんだろう」と思い込んでいたこともある)ということがあり、ジョーと力石を対戦させるというストーリーの都合上、無理にでも体重を合わせる必要性が生じてしまい、いわば、辻褄合わせのために力石は過酷な減量を強いられる結果となってしまったのである。
一応、力石を絞るのではなく、ジョーを太らせる、モリモリにするという手もあるにはあったのだが、ふっくらしたジョーが痩せた力石と戦っても絵にならないという理由で断念したという。このことはトリビアの泉でも紹介された。
ちなみに同番組で力石の当初の階級であるウェルター級からジョーの階級であるバンタム級まで減量は可能かとプロのトレーナーに問い合わせた所「絶対無理です!そんなことしたら死んでしまいますよ!」という回答が来たという。
無駄な脂肪を燃焼させる一般的なダイエットとは違い、元々ボクサー体型で体脂肪率が低い状態から10kg以上も減量しろというのだから当然の回答である。
また『あしたのジョー』がアニメ化の話が出た際、力石は主人公のジョーよりも人気が高く、アニメスタッフや担当編集者から「死なせないほうがいいのでは?」という意見が出たほどだが、ちば氏は「折角ここまで辻褄合わせでやって来たのに台無しになってしまうじゃないか!」と断固として讓らなかった。
その人気ぶりから連載当時、講談社主催で実際に彼の葬儀が営まれた。
その後
その死はジョーにとっても非常に大きな出来事であり、ジョーはショックから相手の頭を殴ることが出来ない欠陥ボクサーになってしまった。ジョーはカーロス・リベラとの対戦からそのトラウマを乗り越えることが出来たが、力石の存在は常にジョーの中で最も大きな位置を占めていた。
金竜飛戦では金のハングリーさに最初は圧倒されていたジョーが力石のことを思い返して逆転に成功している。
配役
仲村秀生(TVアニメ)
細川俊之(アニメ劇場版)
堀秀行(ボクシングマニア)
伊勢谷友介(2011年の実写版)