概要
アメリカのピックアップトラックを起源に持つSUVや、はしご形(ラダー)フレームを持つ本格的なオフロードカー(クロスカントリー車、クロカン車)に対し、通常のモノコック車体の乗用車をベースにクロカン車風に仕立てたハッチバック車のこと。
近年になってからジャンルとして確立してきた分野で、サイズや規格の幅も広く他の自動車タイプと比べても曖昧さの多い概念である。
この記事ではクロスオーバーSUVをクロスオーバー車と呼び、本来のSUVやクロカン車と区別することとする。
クロスオーバー車は、元来は銃猟やキャンプなどのアウトドア向け仕様のSUVやオフロード専門仕様であるクロカン車から発展的に派生したジャンルではない。
本来のSUVが浸透しておらず、近年は輸入車も含めた純粋なクロカン車も見かけなくなってきている日本においては、各メーカーや販売店が付加価値をつけるためにクロカン車に似せたこのタイプを「SUV」と銘打って売り込んだ事もあってか、あたかも「SUVの一種」であるかのような間違った認識が広がってしまっている。
特徴
基本的にクロスオーバー車には、本来のSUVやクロカン車のような悪路での走破性は期待できない。日本では生産コストや後部座席の足元空間確保の優先などからFF車が多く、雪道や舗装された急坂などでは脆弱な車種も多い。
セダンやクーペと比べると高速走行や強風時での安定性、滑らかな旋回性、車内への騒音や揺れの遮断性などが劣り、ミニバンやステーションワゴンと比べると人員・荷物の搭載量などが劣る。
その一方でドア口や頭上空間が高めになり、かさばる荷物が載せやすいなどのメリットがある。同様の利点があるミニバンよりも内装の豪華さなどが演出しやすく、セダンやクーペ程までとはいかない毛の生えた程度だがオンロードでのスポーツ走行性能も組み込みやすいということで、近年は各メーカーがこぞってこのジャンルの車を手がけている。
もっとも、従来のSUVやクロカン車とは全く別物である事を啓蒙して頂きたいところではある。
このクラスの車種の中には、優秀な4WDシステムなどを装備して雪道や荒れた路面での走りやすさを評価されているモデルもあるにはあるが、現在では少数派となっている。