概要
第1世代型の傑作機ドルカスを手掛けだ第3プラント「ムーニー・バレー」が製造したVR。USS(ユニット・スケルトン・システム)の採用に依り第2世代型アファームドに比肩する汎用性を獲得した。・・・が、そこに至る迄に技術者達が朝令暮改する要求性能に苦しめられた事実を忘れてはならない。
小型のVR『vokユニット』をコアユニットとして、武装ユニットをかぶせるようにした格好で、これによってVRの生産性が向上し、多種多様な要求に対応できるようになった。武装ユニットの種類は多岐にわたるが、なかでも支援攻撃VR「SAV-326-D/9 グリス・ボック(GRYS-VOK)」と呼ばれる、実弾兵器を満載した武装ユニットを装着したタイプが一番多かった。この武装ユニットはベルグドルで行っていた後方支援用途を置き換えるものである。
しかしながら、グリス・ボックはすべての武器が実弾であり、かつ多数の武器・弾薬を使用することから、弾単価の高さと、戦域が僻地の場合の輸送コストの増大(これはグリスやDNAに限った話では無い)が兵站を悩ませた。
これに対応するために光学兵器に特化した「SBV-328-B シュタイン・ボック(STEIN-VOK)」が開発され、MBV-707を上回る数をDNAが運用した為、「DNAの事実上のMBVはシュタイン・ボックだ」と揶揄される迄になった。・・・後述の暴露ツイートから考えると、ある意味当然の成り行きだが。
DNAとMV-03の共同開発の形で「MBV-331 ゲムズ・ボック(GMZ-VOK)」や「LBV-314 ディク・ディク(DK/dc)」等が産み出される。
後に開発元のMV-03がアダックスへと改め、火星戦線を開拓した際に当機体群のUSSがVOXシリーズに引き継がれた(※アダックス自体は火星戦線開拓の為MV-03が国際戦争公司と共同で立ち上げた開発プラント。VCa4年に火星に進出している。つまり、火星戦線の開拓が軌道に乗った後にムーニー・バレーの本社機能がアダックスに統合された形となる)。
だが、亙重郎氏が2016年にTwitter上で行った「スピングル・ボック」に関する一連のツイートから、今後の公式発表如何では、本系列のみならずVOX系列に関する歴史認識が覆される可能性が在る事に留意する必要が在る(VOXはアダックス内に火星進出以前から本系列と別ルートで存在していたらしい)。
※実際、シュタインの開発要求でDNAが出した条件は「建前半分、本音半分」の側面が伺える(シュタインの光学兵装はスピングル(M)のそれを簡略化再設計した物で、シュタインはスピングル(M)の実質的な後継機となる)。
また、2018年1月25日のツイートから、そもそもスピングル・ボックの件は「クロニクル20で書こうとしたらページが無くて載せられなかった」らしく、それが一連のツイートの遠因であった事が判明している。
コアVR「VOK」
コアVR「VOK」は第2世代型VRの制式発注前に先行開発していた試作MBVのスケルトン構造を基にして開発された物。このVOK自体が相応の機動力を備えた上で外殻ユニットを積載、運用するからこそ多様な要求性能に対応できる。
VCa3年の「サイクリック・ハープーン」作戦に参戦した「スピングル・ボック(M)」が実質MBVとして運用できる機体なのも、MBV-707の開発遅延から「新型アファームドに対抗できる機体を早く!」とのDNA将兵からの要請が日増しに高まっていた事によるが、外殻ユニットの設計とVOKユニットの性質も大きい。
VOKユニットは例えるならトレーラートラックのトラクターヘッドに当たる存在であり、ディク・ディクはこれをドラッグレーサー等の別用途に改修した物と考えると本系列の全体像が見えやすい(ここからも判る通り、ディク・ディクに外殻ユニットを再装備するのは現実的では無い。一部パーツやOSの再換装が必要なのだから)。
人型兵器として見た場合、VOKユニットは「バランスがおかしい(上半身に比して下半身が巨大で、腰から上が前方にズレている)」が、これは外殻ユニットを「被る様に背負う」事で1個の戦闘VRとして完成する様に設計されている為である。
外殻ユニット
VOKユニットに「(被せる様に)背負わせる」事で目的に応じた機体として運用する為のユニット。
本系列での「ユニット・スケルトンシステム(USS)」は、この外殻ユニットにほぼ集約されている。
構成としては「オーバーヘッドランチャー」と関連機器からなる上面ブロックと主力兵装(センターウェポン:CW)の積載台架を兼ねる肩部フレーム、バックパックからなるユニットに上腕ユニットを介し副兵装(ライトウェポン:RWとレフトウェポン:LW)となる武装ユニットを懸架する形となる。
これをVOKユニットに搭載する事で本系列は(ディク・ディクを除き)二人羽織を彷彿とさせる4本腕の特異な外観を有するに至っている。
上面ブロックと肩部フレームはそれ自体が換装可能な構造になっている事がグリス/シュタイン/ゲムズ各機種の比較から覗える。
ちなみに、グリス/シュタインの頭頂部のレーダーアンテナは「SAV/SBV準拠」の装備らしく、スピングル・ボックの場合、「SBV-321」表示が確定している雌型(F系)には装備されているが、雄型(M系)には(MBVナンバーの付与を要求していた事もあり)、ゲムズ・ボックやディク・ディク同様装備されていない可能性が有る。
副兵装を「腕」その物としているのは重量配分を分散する事で操安性の向上を図る意味も在る。
余談
メタ話になるが、オラトリオ・タングラムのゲーム開発時『ミサイルくん』の仮称で呼ばれていた後のグリス・ボックの名前を亙プロデューサーが考えていた際『すぴんぐるぼっく』なるフレーズが浮かび、それを採用しようとしたものの諸事情から断念(理由の一つに「英文略称の『SP』をスペシネフに使いたかった」事も有るようだが、むしろ商標上の問題が有った模様)。次に出て来た『ゲムズボック』から「ああ、だったら洒落てレイヨウ系で攻めるか」と言う事で現在の形になったらしい(「グリス・ボック」は4番目に出て来た名前だそうな)。
この辺りの経緯を反映させる形でツイート上での設定解説が成されたようだ。「グリスがゾロならスピングルはゾロアット」と亙プロデューサーが発言している辺りに、その立ち位置が見えて来る。
ゲーム版のグリス・ボックとシュタイン・ボックはテクスチャー配色が「面をギザギザに分ける」形で為されており、配色編集が可能なゲーム(ドリームキャスト版、アーケード版Ver.5.66、XBOX360版Ver.5.66)ではスプリッター迷彩的な配色に出来る。
プラモ化を望む声は多いが、2020年7月末時点でそれらしい動きは残念ながら「無い」。