概要
現在の日本と米国においては、一般的に後部のトランクルームが出っ張っているノッチバック型の4ドア乗用車を指す。
一般市販車だけでなくタクシーやパトカーなどでも主流となっており、大半の人が単にクルマと聞かれたら真っ先に思い浮かべるであろうスタンダードなボディタイプである。
英国ではサルーン、ドイツではリムジーネ、フランスではベルリーヌ(ベルリネット)、イタリアではベルリーナ(ベルリネッタ)もしくはクワトロポルテ(4つの扉)と呼ばれる。
自動車分野におけるセダンとサルーンは同じ意味であるが、日本においてサルーンはセダンの上級グレード名として用いられる事が多い。
原義的には4ドアの自動車全般を指していたが、現代においては先述のとおり専らノッチバック車に限られる。2ドア車はクーペ、荷室が出っ張っていないものはハッチバック車としてさらに細かい下位カテゴリーに分かれる。
セダンをベースに荷室を後ろに伸ばしてハッチバック化して発展したものは、ステーションワゴンと呼ばれる。
完全屋内型乗用車の形状としては最も古く、詳細は後述するが構造上の性能と機能面での優秀さからいわゆる高級車やスポーツカーとしての生産も多い。
現在の日本においては少子高齢化や生活様式の変化も相まって新車市場は縮小傾向にあるものの、富裕層や法人客、そして自動車好きの愛好者らの需要は依然と多い。
性能・機能上の特徴
メリット
・車高と重心が低く空気抵抗が少ないので、旋回時や高速走行時、強風時でもブレにくく走行安定性が高い。
・ボディの前後が出っ張っていて重量のバランスが取れており、ハンドリングや加減速のしやすも優れる。
・中型クラスまでなら小回りも効きやすい。
・機械式駐車場や低い高架下などもクリアしやすい。
・運転席が低い位置にある上にボンネットが長く鼻先がわかりやすいので、運転する上での死角が少ない。
・後部下部が出っ張っており後方の距離感がわかりやすいので、目視でのバックがしやすい。
・長いエンジンルームとトランクルームがクラッシャブルゾーンとして機能しやすく、衝突時の耐久性が強く安全性が高い。
・後部座席が安楽椅子に似たホールド型になりやすく、座り心地が良い。
・座席と荷室が独立しているのでマフラーを介したエンジンの騒音や路面の振動を拾いにくく、静粛性が高い。
・高速道路や長距離走行の運転・搭乗にも向いている。
・歴史的に高級車としてのイメージが強い。
デメリット
・5名以上の定員を増やせない。
・頭上空間が狭くなりがち。
・車内での移動がしづらい。
・後部座席の角度調整ができない又はあまりできない。
・車高が低いので、特に小柄でない人以外は乗り降りの際に頭上に注意を要する。
・ワゴンやミニバンなどの中大型ハッチバック車と比べると荷室空間が大きくなりづらい。
特にFR方式のセダンは、歴史的にも初期からあるスタイルであるだけでなく走行性能・快適性・安全性のバランスが良く取れているので、「乗用車として基本形かつ究極形のスタイル」である。そのため現在でも国内外メーカーの高級車や、旅客自動車であるタクシーの主流であり続けている。
またクーペと並んでスポーツカーとしても採用されやすく、こちらは長距離での快適性も生かしたグランツーリスモ仕様になる事が多い。
形状の種類
ノッチバックセダン
先頭部のボンネットと後部の独立したトランクルームの間に車室を持つ。現在のセダンとしてはもっとも車種の多い形状である。
セミノッチバックセダン
ノッチバックセダンのうち、後部が極端に短いタイプ。「セミノッチバックセダン」「2.5ボックスセダン」と呼ばれる。
ファストバックセダン
ルーフからトランクにかけてなだらかに傾斜したタイプ。
2ボックスセダン(ハッチバックセダン)
リアデッキを持たないハッチバック型タイプ。