解説
この言葉は東アジアでの用法と、ヨーロッパでの“Baron” “Freiherr”の訳語としての用法があり、意味が異なる。事情は爵位の項目に詳しい。
なお、女性でも“Baroness”という形で男爵になることが可能である。
東アジアでの男爵
公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵の五つの爵位(五爵)の第5位にあたる。
戦前の日本では地下家の一部、石高1万石以上の大藩家老、親元となる華族より分家した者、国家に勲功のあった者などに与えられた。また血族世襲の僧職・神職が男爵となった例も少なくない。例として出雲大社宮司家の千家家・北島家や日前・国懸神宮宮司家の紀家などがある。また更に、南朝の功臣の子孫や、明治初めに廃仏毀釈の風潮の中還俗した公家出身の僧侶、巨大財閥家の当主(岩崎弥太郎や三井高棟など)も男爵に叙されている。
分家や新規叙爵の例が最も多く、日本でもポピュラーな爵位と言えよう。
著名なジャガイモの品種「男爵いも」は、日本の男爵川田龍吉氏によって栽培普及されたことからその名がついた。
ヨーロッパでの男爵
ヨーロッパの貴族を呼ぶ場合、BaronやFreiherrなどの訳語に充てられている。
Baronは元来は「兵士」くらいの意味の言葉であり、小領主を指す言葉となった。封建時代の男爵の領地は数百エーカーであり、日本で言うと数百石~1000石程度の領地とおおむね同じである。
他の爵位同様、中央集権化が進むと徐々に名誉称号となった。イギリスでは貴族院に議席を持つことができる最下級の爵位となった。