概要
古代エジプト語では「ウァージェイト」といい、日本語では「ヴァジェト」とも表記する。名前は「緑色の者」「パピルスの色をした者」を意味する。「パピルスの色(ウァージュ)」は青、緑を指しており、これはコブラの色でもある。
コブラの頭を持つ女性、女性の頭を持つコブラ、またコブラそのものの姿で描かれる。
王の象徴である「ウラエウス」を頭につけた女性としても描写された。
上エジプトの守護女神ネクベトと対なる下エジプトの守護神で、王冠にあしらわれるウラエウスは元は彼女を図案化したもの。
信仰
下エジプトの都市イメトには彼女を祀る大きな神殿があり、ホルスとミンと共に信仰されていた。
太陽神ラーの守護者と見なされるようになると、太陽の持つ光と炎を特徴として獲得し、その視線により敵対者に炎を送る者と考えられ「炎の貴婦人」の異名で呼ばれた。
バステトと習合した「ウアジェト・バステト」は、バステトの古い形である雌獅子頭で造形され、軍神として信仰を集めた。セクメトとも習合した。
神聖動物はもちろんコブラだが、まれにライオン、マングース、トガリネズミ、カワウソ。
後者の3匹は似たようなデザインで表現されるため、とても紛らわしい。
余談
昭和時代の『世界妖怪図鑑』に記述されていた「ワジト」という妖怪は、鷲(ワシ)の翼を持つコブラであることからダジャレによる創作であると思われていたが、漫画家唐沢なをき氏が『怪』誌に掲載した漫画で同定し何気に合っていることを報告した。