概要
世界各国の神話伝承に登場する幻獣や、魔神、悪魔などを世界妖怪と読み替えた図鑑形式の書物。
1960年代の怪獣ブームの後、水木しげるの『悪魔くん』の特撮ドラマ化、『ゲゲゲの鬼太郎』のアニメ化及び、少年誌で妖怪画が連載されたことによって、1960年代から1970年代に妖怪ブームが起ったといわれている。
そんな時代に立風書房・ジャガーバックスによって怪奇作家佐藤有文著の『いちばんくわしい日本妖怪図鑑』が発刊され、その続刊として1973年に発売されたのがこの書物なのである。
この書物が著された昭和時代当時、世界妖怪とされるものの情報は現在と比べると非常に少なかった。
手に入る資料としてギリシャ神話やエジプト神話、インド神話、児童向けの世界の民話集、各国の宗教を紹介した専門書、海外ホラー映画、そして佐藤と同業の作家たちが雑誌や類似本で創作した物語から情報が集められ、柳柊二、石原豪人、好美のぼる、斉藤和明らそうそうたる面々によるインパクト大な挿絵とともに児童向けの解説がなされた。
あくまでも専門書ではなく児童向けの娯楽本であるので、いくつもの妖怪が『日本妖怪図鑑』と同様、絵画作品や版画が数多く図版として使用され、佐藤によって創作された独特なネーミングの妖怪も紹介されていたのである。
しかし、このベストセラーになり重版された書物の影響力は多大であり、類似書も次々と刊行されたために、それらを読んで育った世代によって信じられた世界妖怪が、以降の特撮作品や漫画のキャラクター、ロールプレイングゲームのモンスターなどとして登場することになった(一部は水木しげるの著書にも逆輸入的に採用されている)。
現在ではネットの発達によって、研究者同士の情報交換や、海外の文献などの情報収集がかつてより容易になり、さらに研究結果の公開がなされるようになって、この書物に登場する世界妖怪が元ネタとして知られるようになっている。
このように専門資料としては問題大ありな書物であるが、独特で怪しい魅力は色あせておらず文化資料として再評価さえされ、2016年には復刊ドットコムで復刻された。
関連イラスト
※影なしドッグ・食人鬼ゴール
※牛鬼カルフ・馬頭魔人
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佐藤有文 斎藤守弘 いちばんくわしい日本妖怪図鑑 日本妖怪図鑑
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