山姥
やまうば
女性の姿をした山の妖怪。多くの日本の民間伝承に登場する。
概要
「やまんば」や「鬼婆」とも言う。北は東北から南は九州まで広く伝承が分布する妖怪。
一般的なイメージとしては、背が高く髪は長く眼光の鋭い女怪。
ルーツは山の神やそれに仕える巫女であり、時代が下るにつれ零落し妖怪化したのだろうと言われている。
「姥」とつくから老婆の妖怪か、と言うと必ずしもそうでは無く、妙齢の女性の姿をした山姥の伝承もある。もっと外見が若いと「山女」や「山姫」と呼ばれる。
山の神は材木や獲物、水といった恵みをもたらすと同時に、ひとたび怒れば土砂災害や洪水といった自然災害を呼ぶ。したがって、山の神に連なる山姥の性格も多岐にわたる。
鬼のように人間を食料としか見做さない凶悪な山姥(例:『牛方と山姥』、『食わず女房』、『三枚のお札』、『天道さんと金の鎖』)も居れば、反対に人間に恩寵を齎す福の神のような山姥も居る(例:『ちょうふく山のやまんば』、『糠福米福』)。その両方の場合もある(参照)。
また、山姥は多産かつ難産であるとする伝承や、山姥の死骸や排泄物が薬や金銀錦などの貴重な宝物に変じたというオオゲツヒメやウケモチといった食物の女神を思わせる伝承からも、山姥がかつて山の恵みを司った神だった名残が伺える。