概要
『eversion』とは、「裏返し」(動詞はevert)を意味し、
Zaratustra Production製作の2D横スクロールアクションゲームである。
Zee Teeという星のような花のようなミカンの皮のような姿のキャラクターが主人公。
ドット絵で構成されたレトロ風ゲーム。
フィールド上の特定の位置で「裏返し(EVERT)」ボタン(デフォルトではキーボードのXボタン)を押すことで、周りの敵や、世界観ががらっと変化する。生えている植物、ブロックの性質も変わり、それをうまく駆使して、宝石(GEM:ジェム)を集めるのがこのゲームの目的である。
フリー版で.zipに同梱されているreadmeファイルによれば、さらわれたお姫様を救うのがプレイヤーの使命とされており(princess is kidnapped / you must save princess)、王道コンセプトと言えるものの、
星のカービィ64のように、宝石を全て集めず(正確に言えば、「全て集めた『だけ』」でも駄目)にクリアすると、バッドエンドになる。ハッピーエンドであったとしても、エンディングが終わると、ゲームが自動的に閉じてしまう。
全くの初見状態ですんなりクリアすることは困難。
残機の概念が無く、敵に一度ぶつかっただけでミスになってしまうが、すぐにそのステージの最初または中間地点でやり直しになるためにデメリットが殆ど無く、宝石も一度取りさえすれば自動セーブされる。そのためアクションが苦手でも根気があればクリアは不可能ではないだろう。
!!ネタバレ注意!!
世界観の変化
初見では、ゲーム性は古典的でコンセプトも王道な王道アクションのように思える。
しかし、EVERT(裏返し)をすると…
- 敵キャラが変貌する。1段階目では笑顔で軽快に走り回っているが、段階が増えていくにつれて元気が無くなり、人相すらも変わって動かなくなってしまう。しかし、まだそれは序の口で、怖いのはそれからである。
- 下から叩くと宝石が出る、マリオで言うハテナブロックに該当するブロックには顔が付いており、1段階目ではこちらも笑顔である。ところが徐々に顔から生気が抜け、文字通りの屍に。
- 最初は普通だった木や花なども、段階が進むにつれ、おかしくなっていく。植物は段々と枯れていき、特に花の変貌が…。有料版では背景がしっかり描き込まれているが、当然こちらも廃れていく。
ほのぼのとした風景が、狂気の世界になるのはトラウマである。
また、ステージが始まる直前に真っ黒な画面に白文字で「READY!」と表示される。これはミスしてやり直す際にも毎回出てくる。レトロ(風)ゲーとしてはあるあるな演出だが、終盤になると意味深な別の言葉になったり、何も表示されなくなったりする。
プレイ後の心境の変化
最初の頃は全く何もおかしいところはないが、最後までプレイしてしまうと最初の世界観がどんなに安心するものかが実感できるだろう。
余談
eversion/evertは一般的な言葉とは言いがたいが、「(腸などを)外にめくり出す」という意味があることを思うと、ゲーム内容には良く合ったタイトルであり用語であると言えそうだ。
語源はラテン語でe-(外に)-vert(回わす)であり、語源的にはrevert「回帰/復帰/逆戻り」と対義である。invert/inversion「内に回わす/内転」という対義語もある。
eversionの発音には、「エヴァーション[ɪˈvəːʃən]」の他に「エヴァージョン[ɪˈvɚːʒən]」というものもある。
クトゥルフ神話との繋がり
また、eversionの.exeファイル起動時、専用ゲームエンジン"SHINY HAPPY GAME ENGINE"のロゴ表示後、タイトル画面表示前に、
“sounds — possibly musical — heard in the night from other worlds or realms of being. — H. P. Lovecraft”
(「音が──あるいはミュージカルが──、その夜、この世ならざる存在の世界または領域から聞こえた」)というラヴクラフトからの引用がある。
それは、このサイトによれば、このゲームが元来、H.P.ラヴクラフトの備忘録("H. P. Lovecraft's Commonplace Book")にインスピレーションを受けた2008年後期のTIGSourceコンペで制作されたものであるためだという。
この一文は、このサイトによれば、ラヴクラフトの備忘録の39番目に収録されている1919年の断想だということである。
同時に、この備忘録は、彼の文通相手で友人だったR.H.バーロウに、複写した綺麗なタイプ打ち原稿に替えて、1934年5月7日に贈呈されたものだという。
検索に際しての注意
アルファベット表記のタグでは良くあることだが、
タイトル画面および公式ジャケットではeversionと全て小文字だが、公式サイトの解説等の表記ではEversionと頭文字が大文字になっているために、両方のタグが混在しているが、
pixivの検索機能の仕様上は別のタグとして扱われるため、両方検出しようとすれば、部分一致検索にしなくてはならない。その場合、eversion/Eversion共に検出できるが、
同じ文字列の含まれる関係のない作品まで検出されてしまう。
同様に、記事ページ末の「pixivに投稿された作品」には、全て小文字のタグのものは表示されていない。
それにも関わらず、ピクシブ百科事典の仕様では、全て小文字のeversionという別項目を表記揺れとして立てることが出来ない。
有料版
有料版『Eversion Steam』が、Steam(PCゲーム配信専門サイト)で、$4¢99(日本円では¥498)で配信されている。
フリー版との違い
「公式サイトの解説ページ」によると
- 高解像度(640×480)、更に精細なグラフィック
- 新しく来た人向けに、ゲームを更にやりやすくするための小さな変更
- 達成度
- タイムアタックモード用のスコアボード
- タイムアタックモードでのカスタムレベル向け支援
- 三つ目の隠しエンディング!
関連タグ
洋風ゆめにっき トラウマ ホラー 狂気 衝撃のラスト フリーゲーム
がっこうぐらし! 最初は平和的だが、話が進むに連れて不気味な雰囲気になっていく点が共通している(アニメ版のopで特に顕著)。
関連リンク
いずれも現在リンク切れのためアーカイブ版。
フリー版のゲームは項目2つ目のページの「local mirror」からDL可能。公式サイト内のページなのでウイルスなどの心配は低いが、あくまで古いページのアーカイブであり絶対安全とは言い切れないので、自己責任で。
心配な場合は、最初から「steamで有料版購入」を行うのが最善。