「EYE HAVE YOU!」
概要
CV:藤原啓治
非公式の武器商人・ドレビンの一人であり、彼は893人目のドレビンである。本名は不明。
正確には武器洗浄人を名乗っており、ID銃のID認証チップを偽造チップに取り替えるなどで、銃をSOPシステムから逃れた「裸の銃」にして(これがドレビンという名前の由来になっている)、主に小規模PMCや民兵などに向けて販売している。武器の売買が仕事である為に、常にあらゆる戦場を回っており、戦場で武器を回収する役割の人間も選んで個人的に契約を結んでいる。
自称はアームズテックセキュリティの社員であり、そのコネを用いてIDチップの入手や記録の改竄を行っていると説明している。その職業柄か武器や兵器は勿論、デジタルシステムに関しても詳しい。
性格は飄々とした掴みどころのない人物であり、危機的な状況も嬉々として楽しむなど、快楽主義者な面もある。ぶっちゃけ中の人の演技力もあって、終始胡散臭さの漂う人物である。
普段は、オクトカムにより外装偽装可能なストライカー装甲車を乗り回しており、運転自体は上手いのだがとても荒い。この装甲車でオールド・スネークを助けに来た事もある。
加えてよく炭酸飲料を飲んでおり、アルコール類は一切口にはしない(車内に小型の自販機を置く程の徹底ぶりである)。その理由は、体内のナノマシンによってアルコール類はすぐに分解されてしまい、酔う事ができないからである。一方で、彼の体内のナノマシンは軍用ではないらしく、その為に『愛国者達』というワードも口にできるなど、言語規制はかけられていない。
他にも手品が得意であり、何かにつけて手品を披露しながら説明などを行う癖がある。
自分の両目を指差してから、相手を指差して「EYE HAVE YOU!(あなたを見ている)」と言うのが彼のキャッチコピーであり、装甲車の車体にも「EYE HAVE YOU」と書かれている。
また、「リトル・グレイ」という名前の猿を飼っており、ドレビンショップでも売り子的な役割で登場する。コーラをおっさんのように飲んだりスネークのタバコを吸いたがったりと、何かと行動が目立ちすぎる猿であり(流石にタバコは主人から止められた)、終盤では最終決戦に向かうスネークへの応援のつもりなのか、コーラを渡す描写もあった。ドレビンとは長い付き合いであるらしく、主人の行動を習ったり、主人の意図を察して行動をしたりと息が合ったコンビではある。
作中では、様々な戦場を渡り歩くスネークの事を「戦争の火種」として、戦場での武器回収人として利用する事も含めて、武器や装備などの取引を持ち掛ける。また、武器商人でありながら「顧客第一」と称して、取引以外でも度々スネークを助けに現れる(スネーク達の方は当初は信用はしていなかったが、あくまでビジネス上の関係として付き合っていく事となる)。
一方で、何故かBB部隊の過去の経歴の詳細を把握しており、各キャラクターを撃破するとその出生が彼によって説明されるなど、色々と謎や怪しい部分もやはり多い。また、序盤に彼がID銃の認証用として注射したナノマシンに新型の「FOXDIE」が混入されていた疑惑もある(本人は否定していたが)。
ゲーム上の役割は所謂ショップ担当であり、本作のID銃は彼の洗浄を受けなければ使用する事はできない。他にも銃は勿論、様々な装備や弾薬等も本作では彼のショップで購入する事ができ(従来通り、戦場で拾う事もできる)、既に入手済みの銃などは自動的にドレビンポイント(彼のショップで買い物をする際に使うポイント)に還元される。ドレビンショップでのこれらの売買は、オタコンが開発したメタルギアMK-Ⅱを介して、ゲーム上ではいつでもプレイヤーの任意のタイミングで行う事ができる。
ドレビンの名前の由来は、裸の銃を持つ男のフランク・ドレビン。
以下ネタバレ注意
その正体は、『愛国者達』の下部組織の一員である。
元々ドレビンという集団は、『愛国者達』の運営する『戦争経済』をさらに活性化させて回す為に作られた存在であり、彼がID銃の洗浄等ができるのもこの為である。スネーク達を度々助けていたのも、リキッド打倒を目指す彼等をサポートするように『愛国者達』に指示されていたから。
幼い頃に両親を戦争で亡くした戦争孤児であり、後に反政府武装組織に誘拐されて少年兵となる。
さらにその後は『愛国者達』に拾われて、彼等に武器やその売買に関するあらゆるノウハウを叩き込まれて現在の武器洗浄人となった(他のドレビン達も似たような境遇の者達であるらしい)。
しかし本心では、『愛国者達』の支配から解放されて自由に生きる事を夢見ており、スネーク達と接する内に、やがて彼等なら本当に『愛国者達』を倒せるのではと希望を抱いた模様。その為に内心では『愛国者達』の任務ではなく、自分の意思で彼等をバックアップしていた。
最終決戦でも戦艦ミズーリに直接乗り込んできて、突入用のカタパルトの用意や武器・装備等の提供を行う。そしてスネーク達の戦いの結末と、『愛国者達』の終焉を最後まで見届けた。
事件収束後は、メリルとジョニー佐々木の結婚式に飛び入りで参加する。車体を結婚式仕様の純白にした装甲車で現れ、大量のフラワーシャワーと白いハト達で盛大に2人を祝福した。
その後は、オタコンに自分の正体やメリルが率いる部隊である「ラットパトロール・チーム01」の実態、『愛国者達』の思惑を明かした上で、遂に自分達が『愛国者達』の支配から解放された事を改めて喜ぶ。さらに世界中に散らばるドレビン達を全て集めて、新たな会社組織「ドレビンズ」を結成しており、今後は誰の言いなりにもならずに、真っ当な道を生きていくという夢を持っている事を、『愛国者達』の消滅に伴ってナノマシンの効果が無くなった事で酒に酔いながら、オタコンに熱く語っていた(装甲車のキャッチコピーの文字も、「EYE HAVE YOU」から「DREBINS WE HAVE YOURS(ドレビンズはあなたの為の商品を揃えます)」に変わっている)。
作中では、何かと裏がありそうな胡散臭い言動をし、実際に裏があってスネーク達を騙していた人物ではあったものの、最後の最後までスネーク達の味方という立場は一貫しており、最終的にはオタコン達とも親しい関係性を築くなど、非常に美味しい立ち位置のキャラクターだった。
また、彼が注射した新型の「FOXDIE」のおかげで、結果的にスネークの身体に巣くっていた変異型の「FOXDIE」は駆逐される事となり、スネークは自ら命を絶たずに済んだなど、ある意味スネークの運命を変えた命の恩人とも言えるキャラであり、シリーズ中で「FOXDIE」を良い方向性に活かせた唯一のキャラであるとも言える(勿論、彼自身には何の自覚もないが)。
余談
ドレビン役の声優の藤原啓治氏は、前作MGS3ではシギントを演じていた。同じく黒人のキャラであり、武器や兵器の専門家であるなど共通点も多いが(厳密にはシギントの本職は電子機器)、シギントは実は『愛国者達』の創設メンバーの一人であり、つまりはドレビンを縛っていたシステムを作り出した張本人なのである。
加えてシギントは、3の時点で機械によって人間社会の管理・運営を行うという構想を既に持っており、後にそれを可能にするA.Iを実際に開発した人物なのに対して、ドレビンは「システムは所詮システムに過ぎない」と全てを機械に委ねる事には否定的であり、自分自身の意思で生きていく事を望んでいたなど、本質的には両者はあらゆる意味で真逆と言っていい人物同士である。
彼の装甲車の車内をよく見ると、「囚われた宇宙人」の名前でよく知られる例のあの写真が飾ってある。お気付きの方もいるだろうが、あの宇宙人の名前は「リトル・グレイ」と呼ばれている。
劇中でスネークとナオミがリトル・グレイの腕を持ち上げている場面があるが、明らかにあの写真のオマージュと言えるだろう(実際に、フラッシュバックではあの写真が表示される)。
もしかしたらドレビンもUMA愛好家なのかもしれない。