ノゼル・シルヴァ
のぜるしるゔぁ
「我々は魔法騎士…! 勝たなければ存在する意味は無い……」
人物
クローバー王国に存在する魔法騎士団のひとつ「銀翼の大鷲」の団長。
編んだ前髪の先に十字架を付けた特徴的な髪型をしている美青年。
アスタ達の半年間に渡るハート王国での修業後、基本的に風貌はそのままだが、ローブの形が鷲の羽を模した形となっている。
王族シルヴァ家の長男であり、ネブラ・シルヴァ、ソリド・シルヴァ、ノエル・シルヴァの兄にあたる。
王族としてのプライドが高く、魔力のコントロールが出来ないノエルを認めていなかったが、ノエルが黒の暴牛での任務やロイヤルナイツ選抜試験で合格した事もあってか、段々認めるようになっただけでなく、エルフの襲撃の際には王国へ向かう途中襲撃に遭っているハージの村を救う為に途中下車するアスタとユノに続き行こうとする彼女をお前は王族だからという理由で共に王国へ向かうように命じた。
前述したようにプライドは高いが、自他ともに厳しく魔法騎士として非常に誇り高い気概を持っており、クローバー王国では珍しく「上に立つ王族には国と民を守る責任がある」と言う正しい権力者としての価値観を抱いている。白夜の魔眼の罠にかけられ、国をしっかりと守り切れなかった時は、「情けないぞノゼル」と自分自身を強く戒めるように言い聞かせていた。
同じ王族であるフエゴレオン・ヴァーミリオンとは、幼少の頃から競い合ってきたライバルのような関係。そのため、ソリドがフエゴレオンを貶すような発言をした時は「戦いの場にいなかった我々はそれ以下だ。」と厳しく咎めた(冒頭に上述したセリフの続きでもある。)。そして、フエゴレオンの仇は必ず取ると心に誓った。
また、実力があれば例え平民や下民であっても素直に認める公正さも持ち合わせている。
(アスタとユノが受けた年の魔法騎士団入団試験でユノが実力を見せつけた時は、自分の団に入れようと手を挙げていたり、ロイヤルナイツに選ばれたアスタを「大事な戦力」と認めている。ノエルが多くの戦いや経験を経て強く成長していく姿を見てからは、対等に接するようになっている。アニメ版152話においても、ノエルとのやり取りで彼女が成長したと心から認める発言をしている。)
自身もアスタやユノと同じく、魔法帝の座を目指している。
その後、エルフと戦うノエルの成長ぶりを見て、母親と似ていた彼女を戦いに巻き込み、失いたくないからあえて遠ざけていた事を告白し今までの事を謝罪した(しかも、照れながら…)。
実は、ノゼルがノエルを突き放すような態度を取り続けたのも、尊敬し敬愛した母と似ているだけでなく、家族であり妹であるノエルを失いたくないと言う魔法騎士の前に兄として妹を守りたいと言う不器用な優しさと思いやりから来るものが一番の理由である。また、序盤のノエルは、潜在能力は高いが、現場に出ても戦力どころか自身の身を守る事すら覚束ない状態であり、そんな実力で反骨心だけで騎士団に所属するのは身も蓋もなく言えば、家名と母の名誉に泥を塗りまくっている状態であり、そんな妹に苛立ったり戦場から遠ざけたくなるのも無理はない。当然、客観的に見ればその時の振る舞いもとても好意的に受け取れるものではなかった。
珊瑚の孔雀の団長であるドロシーによると、ノゼルはノエルの事を心から愛しているとの事である。
ドロシーの魔法によるものもあるが、ノゼルはノエルを「我が可愛い妹よ。」と普段のノゼルからは考えられない口ぶりをしていた。(ノゼル自身も、図星かどうかは定かでないが、リアルタイムで悪寒を感じていた。)
活躍(エルフ動乱事件終結後)
エルフ動乱事件終結後は率先して現場に立ち、王国の復興に務めている。そんな中、アスタとゴーシュ・アドレイの妹・マリーがダムナティオ・キーラによって断罪され窮地に陥た際には、フエゴレオンと共にユリウスの命で魔法裁判所に乱入し、黒の暴牛にユリウスからの命令を伝えた。また、悪魔の調査に協力するため、ノエルにドロシーの下へ赴くよう伝えている。
アニメ版オリジナルストーリーの半年間の修行編において、デビル・パニッシャーなどの事件に接触し、中流以下の階級の庶民の光景・現状をその身で感じることが特に多かった。
蛇足にはなるが、デビル・パニッシャーが起こした事件に対しては魔法騎士団団長の中でも出番や活躍がかなりあった。
また、平界・恵外界にノエル達と調査・アスタ達の救出に赴いた際も、ノエルと行動を共にする場面も多くあった。
再登場は、スペード王国の漆黒の三極性によって金色の夜明け団長ウィリアムと黒の暴牛団長ヤミが拉致された直後に緊急で開かれた団長会議の時である。
会議が進む中で翠緑の蟷螂団長ジャックが会議を放棄して去ろうとしている所、彼がスペード王国に単身で乗り込もうとしている事を懸念し皮肉を交えながら止めていた。
その後乱入と言う形で参加してきた黒の暴牛副団長ナハトからクリフォトの樹に関する情報とナハトが悪魔憑きである事を知った。
更にユノがスペード王国旧王政派の王族である事を知った際は、王族出身ならば今まで見せたユノの魔力や才能も合点が行ったような形で納得していた。
以下、漫画版における話なので、コミックス・アニメ派は要注意!
そして、ヤミとヴァンジャンスを救い、クリフォトの樹が完成する事を食い止める精鋭部隊の一人として、スペード王国に乗り込む。
ナハトの影魔法でスペード王国城内に潜入し、ユノとランギルス・ヴォードと自身を含む3名で行動している所、漆黒の使徒に遭遇し自ら囮となって戦闘を開始する。
また、亡き母アシエ・シルヴァが当時メギキュラと契約したばかりのヴァニカ・ゾグラティスと交戦している現場のすぐ近くにいた事が判明する。その時、生まれて間もないノエルを抱きかかえて逃げようとした所をヴァニカに見つかり赤ちゃんだったノエルの泣き声を鬱陶しく感じた彼女に殺されかけるも、アシエ渾身の一撃によって窮地を脱していた。
シルヴァ家とメギキュラとの因縁、そして・・・更なるネタバレ注意
メギキュラが不完全ながらも現世に顕現、ノエル達のいる戦場を蹂躙していき、
アスタの救援と仲間達の奮起でクローバー王国側の戦況を辛うじて持ち直していく。
ノエルとメギキュラの戦闘が留まる事を知らずにヒートアップする中、
メギキュラがノエルにチェックメイトをかけそうになる瞬間に、
ノゼルは乱入する。
過去にノゼルは、アシエとメギキュラとの戦いを見届けていた事と呪いについて知っていたのもあり、
何とかしようと考え行動するも、一年に渡っても結局解決の糸口さえも見つけられないまま、アシエは他界する結果となってしまう。
これをきっかけにノゼルはメギキュラを倒し母の敵を討つと同時に家族を守り抜くと固く自分に誓った。
ソリドとネブラは順調に強くなっていくも、メギキュラには到底敵うレベルではなく、
ノエルに至っては母からの切なる願いもあってとは言え、戦場にすら出そうともしない措置を取ってまでして守った。
誰にも言えない秘密を抱えてなおも自らを研鑽していくも、ノゼル自身は誰にも打ち明ける事さえできない葛藤を抱えて生きていく事になる。
葛藤を乗り越えたかのようにメギキュラと巡り合い、それがまた叶った事を共に戦ってくれた仲間達に感謝の言葉を述べ、攻め立てていく。
メギキュラに凄まじい攻防の末に王手をかけるも、やはり最上位悪魔のメギキュラは易々と倒れず心臓だけになっても生きながらえているばかりか、ノゼルの猛攻を以てしても倒せなかった。
逆に詰みかけるも、最後の聖域を振り絞りメギキュラに止めを刺したのは、他でもないノエルだった。
ノゼルは昔ノエルに「何故お前(ノエル)を産むために、母上が死ななければならなかったのか」と言い放った事はあるが、本心では、
「私が殺した」
「何も出来なかった役立たず」
「また失う事を恐れず逃げた」
「守る自信も覚悟もない臆病者」
「今の私にオマエと関わる資格はない」
とノゼルは物語開始当初からしばらくノエルに酷な振る舞いをし続けていたのは冷酷さやプライドの高さからではなく、いずれメギキュラと巡り合い、その戦場や運命に母・アシエによく似たノエルを何があっても絶対に守り抜くと言う修羅の如き覚悟と執念から来るものだった。
メギキュラとの戦いの中でそして・・・
ノゼル 「閉じ籠め 遠ざけるのではなく」
「共に強くならねばならなかった」
ノエル 「諦めなかった」
「人間(ワタシ達)の勝ちよ‼‼ メギキュラ」
ノエルとノゼルの兄弟二人の何より強い覚悟と想いの強さを持ってメギキュラの心臓は完全に破壊。
メギキュラは遂に消滅する事になり、そして長年に渡るアシエとメギキュラの因縁に終止符を打った。
その中で今は亡き母、アシエの幻影が現れ、ノエルと共に抱きしめられてその成長と責務の全うを認められた。
アシエ 「二人とも… 本当に強くなったね」
ノゼルはこれまで誰にも見せなかった弱みや情念を初めて、一筋の涙として現した。
魔法
水銀魔法の使い手。水銀を雨のように降らして攻撃したり、槍の形に変形して操ることが出来る。水銀と言う金属の固さと液体の流動性を両立する性質上、ノゼルの持つ強大な魔力と緻密な魔法コントロールによって、変幻自在・攻防一体な立ち回りを可能にしている。
また、体に穴が空くほどの重傷を負っても、水銀で血止めをして身体機能を補う等の芸当もやっている。自身の魔法であるとは言え、水銀を自分の身体に入れて大丈夫なのかな?
金属の性質から光魔法にも、水銀を瞬時に押し固め、滑らかな形状にする事で容易に跳ね返せる等、特に優位に立ち回れる。実際、白夜の魔眼の党首であるリヒト(それも魔光魔法となってアスタとユノのコンビさえも驚愕せずにいられない魔力を発揮)と影の王宮で相対した時は、見事に圧倒している。
水銀自体が強い毒素を持っているため、生物がまともに喰らえば、何かしらの影響を及ぼすのは明らかである。
銀の雨
広範囲に水銀の雨を上空から降らせる。
銀の槍
水銀を槍の形にして放つ。
銀の弾
水銀を弾丸のように前方へ放つ。アニメ版オリジナルの技。
銀の剣
水銀を複数の剣に変形させ、相手に突き刺す。剣は相手を追尾する。アニメ版オリジナルの技。
銀の煌王槍(しろがねのせんおうそう)
鋭く伸びる槍を前方へ放つ。そのまま降り降ろすことも可能。アニメ版オリジナルの技。
刑戮の銀星(けいりくのぎんせい)
魔力で精製された大量の水銀で辺り一帯を揺り籠のように包み込む。その中では常に水銀で作られた武器が大量に飛んで来たり、盾等の防具を大量かつ正確なタイミングで形成する事すら可能にしている。使用には魔の精密なコントロールが必要。ノゼル曰く、「不可避の監獄」。