概要
電信柱。送電線や電話線を架線するための柱。日本人にとっては郷愁を感じさせる存在で、都市部の街並みを表現するファクターとしてしばしば用いられる。
古くは木製だったが、現在ではほぼ全て鉄筋コンクリート製に置き換えられている。たまに鉄製やプラスチック製の電柱もある。
宮沢賢治の童話「月夜のでんしんばしら」では、月夜の晩に「ドッテテ、ドッテテ、ドッテテド」と歌いながらいっせいに行進する。
近現代の日本を舞台にした作品では、月夜をバックに電柱の頂点にスタイリッシュに立ったり座ったりするビジュアルがお約束になっている。
災害と電柱
電柱は強風や地震に弱く、倒壊した場合は路面をふさいでしまう。強風や地震で倒れた電柱が沿道の建築物や自動車などを壊したり、逆に電柱が倒れた建物の下敷きになったり、火災に巻き込まれたりすることもある。大雪で倒れたり雪崩に巻き込まれたりすることもあり、送電の多くを電柱に頼っている日本では大規模な災害のたびに停電が引き起こされている。
2019年の台風15号では千葉県内で2000本以上の電柱が倒壊し、30万戸以上が停電。また2016年4月14日で発生した熊本地震では244本の電柱が倒壊、4091本が傾斜し最大で約477万戸に停電が発生した。
ロンドンやパリや香港では無電柱化がほぼ100%、台北では9割を超え、ソウルもおよそ半分が無電柱化されているが、日本は最も無電柱化の進んでいる東京23区でもわずか8%(2017年)と進展は遅い。
なお標準的な電柱は長さが約8m、全長の6分の1を地中に埋設して設置され、設置間隔は30mが目安。国土交通省の省令では風速40mまで耐えられるというのが基準になっている(このため、最大瞬間風速40mを超えると電柱が倒れ停電が起こることが多い)。