イワシ
いわし
概要
漢字表記は「鰯」「鰛」「鰮」など。現代で「イワシ」と言えばマイワシ、ウルメイワシ(共にニシン科)、カタクチイワシ(カタクチイワシ科)の計3種を指す事が多い。もっとも、イワシ科やカタクチイワシ科以外の魚にも名前に「イワシ」とついた魚は多い。マイワシ、ウルメイワシと同じニシン科に含まれるニシンも古くは「カドイワシ」と呼ばれイワシの中に含まれていた。
各種とも日本を含む世界各地で漁獲され、海に隣接する領域を持つ殆どの文化において主要な蛋白源の一つ。傷みやすい魚なので、生食よりも干物各種・缶詰・つみれなどの加工品として流通する機会が多い。栄養面では、DHAやEPAなどの不飽和脂肪酸やCoQ10を豊富に含む。その一方でプリン体も多量に含み、高尿酸血症(痛風)の患者やその傾向にある者は摂取を控えるように言われることもある。
英語の「サーディン」は通常「イワシ」と訳されるが、ニシン科に属する他の魚種のいくつかも含む。またカタクチイワシ科の魚は「アンチョビ」と呼んで区別される。
語源
「さかなへん」に「よわい」と書いて「鰯」とするのは傷みやすい事から。魚類において食物連鎖の底辺に位置するからではない。「ゴマメ(カタクチイワシ)の歯軋り」というのもゴマメが(あまりにも傷みやすいので)食用にならないことからであって弱いからではない。ただし、当時より家畜の飼料や畑の肥料に用いられていた上、「煮干し」にして食用にも利用されていたので、決して「役立たず」ではなかった。
「さかなへん」に「よわい」と書いて「鰯」とするのは傷みやすい事から。魚類において食物連鎖の底辺に位置するからではない。
種類
マイワシは最も食用としてなじみの深い魚種。刺身、塩焼き、フライ、天ぷら、マリネ、煮付け等として広く賞味される。つみれ、かまぼこ、竹輪などにも加工される。養殖魚や家畜の飼料・肥料などにも利用されていたが、近年は乱獲がたたって漁獲量が最盛期の1割程度に落ち込んでしまい、食用以外の用途に供されることは少なくなっている。
カタクチイワシは最も漁獲量が多い魚種で、田作や缶詰(アンチョビ)などにされる。「シラス」や「タタミイワシ」は主にカタクチイワシの仔魚である。食用のほか、養殖魚の飼料や釣り餌になる主要な魚種である。農業用の肥料としても広く利用されているが漁獲量が落ち込んだことにより、かつてほどの利用量ではなくなっている。
ウルメイワシは3種の中で最も漁獲量が少なく、目刺し・丸干し等の干物に加工される率が高い。これは傷みやすいことと、マイワシより脂肪が少なく干物に適しているというのが理由として挙げられる。