食材や調理済みの食品を缶に詰め、(たいていは)加熱殺菌してふたを閉じ、長期保存に耐えうるようにしたもの。
長期間の保存がきくので保存食や非常食に向いている。また加熱殺菌の副次効果として、食材に熱が通り味がよく染みるといういう利点がある。
歴史
缶詰開発のきっかけとなったのは、かのフランス皇帝ナポレオンであった。
ナポレオンの「兵士の行軍に携行できる、塩蔵や干物などに代わる新たな食材の保存方法を編み出したものに賞金を授ける」とのお触れに答え、瓶詰めを開発したのが、パリの菓子職人アペールである。
のちに容器は瓶から缶に替わったが、「容器に入れた食材を加熱殺菌し、熱いうちに封をする」というアペールのアイディアそのものは変化していない。
なお缶と切っても切り離せない「缶切り」が開発されたのは、缶詰が開発されてから数十年後のことであった。それまでは缶詰を開けるのにのみとたがねを使っていたり、銃で撃って開けたりしていたという。
缶詰のいろいろ
いま日本で売れている缶詰の9割近くは、飲み物の缶詰、すなわち缶飲料である。
残りの1割が食品である。
おもちゃや種を植えた培養土など、食品ではないものを詰めた缶詰もあるが、缶詰全体の市場から見れば少数派に過ぎない。
比喩的な使い方
- 仕事が忙しくてひとつの建物または部屋の中にこもりっきりになることを「缶詰めになる」と言うことがある。
- 人が混雑してぎゅうぎゅう詰めになることを日本では「すし詰め」というが、欧米では「缶詰めのイワシのよう」という。
関連タグ
シュールストレミング:缶詰としては例外的に、加熱処理をしないでふたをするため缶の中で発酵が進む。