概要
初出は『真・女神転生Ⅱ』。種族は「地母神」(「女神」に属する場合もある)。
なお、『真・女神転生』の最終ダンジョン・カテドラルに登場する魔王アスタロトがロウ・ニュートラルルートにおいて撃破された際の台詞で既にイシュタルの存在自体は言及している。
真Ⅱ作中におけるイシュタルは魔界のベリアー回廊入口にて交戦することになる魔王アスタロトが主人公に敗れた際に言い残す「美しきゆたかな実りの女神イシュタルの姿を取りもどして…」というメッセージ内で初めて名前が登場する。
その後、アスタロトを仲魔にした状態でビナーの街中心部の神殿へ行くことでイベントが発生し、地母神イシュタルと魔神アシュターに分離させることが可能になる。
この際にイシュタルからかつて唯一神に自由を奪われた上にアシュターと合体させられてアスタロトの姿へ貶められたことが語られ、彼女の復活と共にビナーの海に力が戻り新たな悪魔が産まれるようになる。
なお、このイベントがアシュターとイシュタルの合体解禁条件である。
『偽典・女神転生』では聖王バールと共にシナリオ中で重要な役割を担う悪魔として登場、物語序盤にムールムール率いるバエル配下の悪魔たちに身体を引き裂かれ、死体の各部位を奪われた橘由宇香がイシュタルの転生体とされる。
作中で本格的にイシュタルの名が登場するのは主人公・葛城史人が銀座に本拠を置く「イシュタル教団」をまとめる角生親子との対談のシーンであり、由宇香が一度死亡したことで急速に覚醒し始めたイシュタルを復活させるために東京中に散ったバエル配下の悪魔たちを撃破して由宇香の肉体を取り戻すことが葛城史人の使命であると語られる。
また、渋谷に攻め込んだモラクスとの攻防戦後に降臨するガブリエルとの会話では偽典世界におけるイシュタルの詳細が語られている。かつてイシュタルはバビロニアを支配していたが生贄と流血を貪欲に求めたがゆえに唯一神の攻撃を受けて敗れ去り、魂の淫なる部分はアスタルテとして地獄へ落とされ、残った母なる心はすべての女性や聖母マリアへ引き継がれたとされる。また、イシュタルはバールの妻でもあり、己に捧げられる数多の生贄と何度も転生・犠牲となるバールの血を浴びて永遠の不老不死を得ていたが、今生のバエルは由宇香(イシュタルの愛の部分)の肉体を八つ裂きにして人間の血で汚して恐怖と憎悪を取りつかせ、その状態で生き永らえさせることで上述の自らが生贄となる「血の儀式」の繋がりを断ち切ろうとしたのだという。そして、主人公はイシュタルの為に龍神を討った狩人神が転生した存在であり、バエルと同じくかつて女神に捧げられた古き魂として深い因縁を抱えているのである。
『真・女神転生DEEP STRANGE JOURNEY』では追加ダンジョン“嘆きの胎”第二圏を支配する悪魔であり、メム・アレフによって幽閉された女神として登場。
作中のイシュタルは人間への愛情深い存在として描かれ、第二圏最深部へいきなり踏み込んできた主人公に対して愛おしそうに話しかけたり、“実り”に秘められた危険性を言外に警告して諦めさせようとしたり等の言動を取って人間である主人公を戦いから遠ざけようとする言動を取るが、諦める様子を見せない主人公の態度を見るや「強情なニンゲンは心を折るのが一番」と称して戦いを挑むという手荒な面を持つ。
その一方で戦闘後はイシュタルに勝る力を持つ主人公に対して純粋な喜びの表情を見せ、快く己の力を与えるという母性的な性格も強調されている。
『真・女神転生Ⅴ』では地母神種族の悪魔として登場。
作中ではダアト:千代田区で繰り広げられたベテルと混沌の悪魔の全面戦争において≪魔王城≫への門があるトウキョウ駅前を守備している。
女神を卑しい存在と見下し、かつて己を貶めた創造主に対して激しい憎悪を抱いており、「すべての貶められた存在の代わりに創造主の存在をすべて消し去る」ことを目的にあらゆる敵対者を迎え撃つ者として描かれている。
今作のイシュタルは千代田区一帯に設置された七基の装置から無尽蔵にマガツヒの供給を得る“7つの装身具”によって盤石の戦闘態勢を確立しており、ベテル側も攻めあぐねる混沌の悪魔たちの主力である。しかし、この装置の存在を知るとある悪魔が主人公と手を組んだことで戦いの趨勢は大きく変わっていくことになる。
なお、装置が全基稼働状態のイシュタルに戦いを挑むと、プレスターンアイコン8個(理論上は最大16回行動)の状態になる。
外見
曲がった角を持つ金髪の女性の姿をしている。
『女神転生シリーズ』の悪魔には珍しく、複数の作品に登場していながらデザインの違いがほとんどない。
子供向けということで大抵の悪魔のデザインが変更された『真・女神転生デビルチルドレン』においても、(さすがに露出は減ったが)ほぼ同じ姿であった。