概要
二作品が公開されたアニメ映画『劇場版マクロスF』は、アニメ『マクロスF』とはちょっと違うお話なのだが、その映画版を題材にした本作『シェリル ~キス・イン・ザ・ギャラクシー~』は劇場版ともかなり違う独自の内容になっている。
『少女フレンド』の別冊『別フレ』で2010年から2011年まで全5話が掲載され、シナリオ自体は全3巻だが、後日談や番外編を描いた4巻目まで単行本が出ている(『イツワリノウタヒメ』の段階で描かれた前半と『サヨナラノツバサ』の設定が追加された後半以降では若干展開に矛盾があるようにも思える場面もある)。作者は小山鹿梨子、原案協力に河森正治氏がクレジットされている。
タイトルからわかる通り主人公は原作ヒロインのシェリル・ノームで、彼女の早乙女アルト(原作主人公)に向ける恋、そしてライバルにして仲間であるランカ・リーへの愛が中心に描かれている。そのためか、単行本を開いていきなり全裸のシェリルとアルトがフルカラーで抱き合ってました、なんてことも珍しくない。
本作の黒幕は劇場版ともTV版とも異なるキャラである。
映画との主な違い
全部といっても過言ではないが、特に重要な点のみ纏める。
- シェリル及びナナセはTV版同様に美星学園の生徒になっている。
- 劇場版における戦闘シーンはほぼ全部カットされており、SMSをシェリルが雇うことは無く、シェリルは逮捕もされず、バジュラ本星へのフロンティア侵攻も行われない。
- 以外にもアニメ本編では無かったナナセがギターを弾く描写がある。
- ブレラがシェリルの護衛などではなくほぼ完全な敵(終盤で改心するのは同じ)。
- ブレラが指からレーザーを撃てる。鉄腕アトムかお前は。
- グレイスは映画版以上の完全な善人で、シェリルを庇い立てしたためギャラクシー政府により処刑される。
- TV版同様にランカがバジュラに取り込まれ、フロンティアを蹂躙する。(終盤の流れはほぼTV版のグレイスのやらかしをオリジナルラスボスがやっているようなものであり、三島は裏切らない)
- オリジナルラスボスによりギャラクシーは市民ごと滅ぼされる。
- アルトのコールサインがファイナル・ミッションでは「ヴァルキュリア1」になる。
- TV版最終回におけるラストシューティングはアルトではなくブレラが行う。従って映画版のような特攻も行わず、最後まで五体満足で生存している(最終巻で記憶喪失になるが、これも快復した)
- 映画版ラストのあれに近いシーンはブレラも協力する。
- 4巻掲載のエピローグで無事にアルトとシェリルが再会できた。
- 明言はされていないが、ある人物の出自にTV版及び映画版の設定を根底から揺るがしかねない事実が追加されている。
- このことに関しては概ね原作ファンからも黙認されており、一部の読者からは安堵の声も挙がっている。