概要
FGM-148 Javelin(ジャベリン)とは、アメリカ合衆国で開発された対戦車ミサイルである。
対戦車兵器ではあるが装甲車両だけでなく建築物にも使用可能であり、歩兵携行型でありながら低空のヘリコプターすら撃墜する能力を持つため、正確には多目的誘導兵器に分類される。
「M47 Dragon」の後続として開発され、実戦ではイラク戦争で初使用された。
赤外線シーカーと内蔵コンピュータによって発射前に目標を補足。
この時、戦車の弱点である車両上部を狙うトップアタックモードと、目標に直撃させるダイレクトアタックモードを事前に選択可能。
低温のガスで撃ち出したのちにロケットモータへと点火するコールドローンチ式の為、発射時のバックブラストは抑えられ、発射後はミサイルそのものが自律誘導兵器となるため、室内からでも発射可能。
有効射程は2,500mとされている。
サーマルサイトやコンピュータ等の内蔵されたCLUとミサイルの収められたキャニスタであるLTA、冷却用ガスとバッテリーの内蔵されたBCUの3つに分かれており、LTAとBCUを交換する事でCLUは再利用可能。
また、LTAを取り付けずとも使用できることから、CLUを高性能なサーマルサイトとして使用可能で、LTAが持ち出せなくともCLUとBCUのみで監視に使用している事も。
2021年にレイセオン社が行ったテストではFGM-148のCLUにFIM-92のミサイルキャニスタを搭載し、防空システムとリンクして追跡を行い、UAV撃墜に成功しており、一つのCLUを多目的に使うだけでなく、サーマルサイト等の高性能な目を持つMANPADSとしても、兵士の目では捉えられない目標を攻撃する能力持つ可能性が出てきた。
ちなみにイラク戦争においてアメリカ陸軍は何でもかんでもジャベリンで吹き飛ばすという使い方をし過ぎて財務省に怒られてしまい、可能な限りLAWやSMAWを使用するように方針を変更している。(ミサイルが高価であることからシミュレータの訓練をパスした限られた人員でさえ実弾訓練はなかなかできない)
一方ウクライナ侵攻ではウクライナ軍が供与を受けたジャベリンを撃ちまくっており、アメリカでもこの量を撃てていないのでは、と言われるほどの数を短期間に撃っている。そのためロシア軍の戦車喪失は激しく、一部では「もはや戦車はただの的」とすら言われる事態にまでなっている。(ウクライナ側は防戦であり周到に用意した待ち伏せあり、ロシア軍側も対人センサを搭載した戦車は少なく、随伴歩兵が無いまま都市部に向かうといった運用に拙い面があるというウクライナ側が優位という条件もあり、これが戦場が別の地形となったり攻防側が入れ替わるとなるとまた条件が変わるため、これを持って戦車は時代遅れとするのは間違いである)
ただし、ジャベリンはあくまでも歩兵が携行する対戦車兵器としては非常に優秀な兵器という範疇に過ぎず、ジャベリンの最大射程距離は十分戦車や攻撃ヘリも対応可能。ウクライナ軍がロシア軍が一時撤退した地方で十分叩ききれなかったのも機甲戦力が不足しているためである。
聖ジャベリン
カナダ人のクリスチャン・ボリス氏がウクライナを支援するためにデザインしたキャラクター。グッズの売り上げはウクライナの戦災孤児への支援に寄付される。
フィクション作品におけるジャベリン
CoDシリーズ
現在戦をメインとしたMWシリーズで登場。
ゲームシステム上トップアタックモードで固定されており、サーマルサイトも使用できない。
キャンペーンにおいては車両等の特定の目標にしか使えないが、視界が遮られていてもロックオン可能となっている。
マルチプレイ等では融通が利くようになっており、航空機等へは誘導弾として飛翔し、地形をロックして発射した場合はその場所へと降下するように降ってくる。
欠点としては視界が通っていなければならないので建物等の影に隠れた目標に向けてもその遮蔽物へとロックしてしまう、ロックしなければ撃てない、発射後に一度真上に飛んでいくので地形によっては自爆したり高架等に遮られてしまう事がある、と少々使い勝手が悪いが、対地攻撃兵器としては撃ちっぱなしが可能という強みがある。
ジャベリンだけの欠点ではないが、対航空機ではフレアによって欺瞞され逸らされてしまう。
MGS4
ダイレクトアタックモードのみとなっているが、今作ではゲームシステムからミサイルの撃ちっぱなしが廃止されて視点操作がミサイルの操作となっており、視界の中心に捉え続けなければならないというSACLOCのような誘導方法となっている。
そのため、操作次第ではトップアタックや遮蔽物を避けるといった事も可能となっている。
バトルフィールドシリーズ
4のマルチプレイモードにおいては通常の使用ではダイレクトアタックモードで撃ちっぱなしは不可能となっているが、偵察兵による照準レーザー照射の支援を受けているとトップアタックモードの撃ちっぱなしへと変化する。
ただし照準時には射線が通っていて目視可能でなければならず、発射後は偵察兵は命中までレーザー照射をし続けなければならない。