曖昧さ回避
概要
北天の神「北帝」に仕える「北極四聖」の一人。残りのメンバーは天猷、黒煞、そして玄武である。ただし後世の道教において「北極四聖の一角としての玄武」は、この玄武から分岐した玄天上帝の事としてイメージされる(後述の『上清霊宝大法』でも「北極佑聖真武霊応真君玄天上帝」と呼ばれる)。
玄武および四神同様に星神の側面を持ち、北斗七星の破軍星(おおぐま座η)の神とされる。
北帝信仰の道教経典『太上元始天尊説北帝伏魔神咒妙経』卷第四「聚四捍厄品」に記された「天蓬天蓬」ではじまる「天蓬神咒」に関する神である。
北宋末の王契真の『上清霊宝大法』では「北極天蓬都元帥真君蒼天上帝」と表記されて、同書で「北極天猷副元帥真君丹天上帝」と呼ばれる天猷は副官的ポジション。
四角柱のような棒に天蓬元帥の長い称号を記した「天蓬尺」という設置式の魔除けの法器がある。
図像表現
姿は一面四臂や三面六臂または八臂の武人や鬼神の姿で表現され、四臂タイプでは例えば、一対の手で日輪と月輪を掲げ、もう一対で剣を持ち、もう一方の手で手印を結ぶというパターンがある。
このほかの持物のバリエーションとして斧や矛、手持ちの鐘「撼帝鍾」、印璽などがある。後述の猪八戒からの影響で熊手に似た馬鍬風の農具を持つ例もある。
猪八戒との習合
北帝神は後に四御の一柱である北極紫微大帝の事とされ、『太上三洞神咒』5巻の「四部咒」の解説に反映されている。
『西遊記』でもこの解釈が採用され、北極紫微大帝に仕える官職として「天蓬元帥」が言及され、この神が地上に生まれ変わったのが猪八戒となっている。
『西遊記』は道教信仰そのものに影響を与え、孫悟空も斉天大聖として信仰対象となっているが、猪八戒も信仰対象となるだけでなく「天蓬元帥の神像」が猪八戒の姿で造型される例も存在している。
『西遊記』で釈迦如来から猪八戒が将来に成る地位として「浄壇使者」が予言されているが、こちらも猪八戒系の天蓬元帥信仰で参照される。台湾等では「豬哥神」ともいう。
関連タグ
資料用に道教の天蓬元帥の画像をgoogle等で探す場合は「天蓬元帥廟」とするか簡体字表記(天蓬元帅)で検索すると見つけやすい。
繁体字表記(天蓬元帥)は日本の漢字と似ているためか、『最遊記』の天蓬が多くヒットする。