概要
BSDは、カリフォルニア大学バークレー校のCSRGによって開発されたOSである。1970年台はAT&Tベル研究所はソースコードを配布しており、各地の大学で拡張などが行われていた。1975年秋、ケン・トンプソンが母校であるバークレーに客員教授として赴任すると同時にバークレーの大学院にビル・ジョイとチャック・ヘイリーが入学する。ビル・ジョイとチャック・ヘイリーはUNIXに興味を抱き、研究を始めた。
二人はUNIXの改良にとりかかり、1977年に1BSDがリリースされた。続いて1979年にリリースされた2BSDでは、ビル・ジョイが開発したテキストエディタのViとC chellが含まれていた。
訴訟と最後の直系
1992年、BSDの台頭に危惧したAT&TはCSRGに対して訴訟を起こした。当時最新版であった4.3BSD Net/2は配布が停止され、開発にもブレーキが掛かることとなった。
この裁判では、4.3BSD Net/2にAT&T由来のソースコードを使用していたが、同時にAT&Tが販売するUNIX System VにもBSD由来のソースコードをライセンスに違反するにも関わらず使用していたことが発覚した。後の和解においてAT&Tのライセンスに抵触しない4.4BSD-Liteが開発され、各種BSDも4.4BSD-Liteを元に書き直されることとなった。
なお、1995年の4.4BSD-Lite2を最後にバークレー校CSRGによる開発は終了した。
BSDの子孫たち
現在開発が続けられているNetBSD/FreeBSD/OpenBSD/DragonflyBSDなどはBSDの子孫と呼ばれている。各々の活動方針は異なり、自由なソフトウェアに徹するもの、様々なプロセッサへの移植性を考慮したものなどがある。また、サーバー用途では、LinuxとともにBSDが使われている。
MacintoshのOSであるOSXも、BSDの流れをくむOSのひとつであり、BSDの子孫としては最も広く使われているものである。
ライセンス
BSDのライセンスはBSDライセンスと呼ばれ、非常に制限が緩いのが特徴。
ライセンスで定められているのは以下の内容。これさえ守れば再配布も再利用も自由で、GPLライセンスと違ってソースコードを非公開にしてもよい。
- 著作権と免責条項を記述すること。使用は自己責任で、著作権の表示を消してはいけない。
- 派生するプログラムやソフトウェアの広告にオリジナルの作者の名前を入れること。(宣伝条項)
ただし後者のいわゆる宣伝条項は諸事情で削除され、現在は宣伝条項のない修正BSDライセンスの方が広く使われている。
関連イラスト
BSDの子孫たち
関連タグ
コンピューター パソコン ノートパソコン タブレットPC タブレット スマートフォン
OS テレビ-デジタル放送対応した世代のテレビにも当たり前の様に搭載されている。(詳しくはテレビに搭載されている電子説明書を参照のこと)
Solaris - UNIXの一つ。基本的にSystem V系であるが、BSDからもソースを取り込んでいる。
UNIX - BSDの元となったOS。
FreeBSD - BSDの子孫の一つ。サーバーやパソコンで使われるオープンソースBSDとしては最もメジャーなものである。
NetBSD - BSDの子孫の一つ。近代的なオープンソースBSDとしては最も古く、対応アーキテクチャーが最も多いため組み込みシステムでよく使われる。
OSX - BSDの子孫の一つ(旧称MacOSX)。商用のクライアントOSであり、独自拡張部分が非常に多いがBSDユーザーランド部分はFreeBSDと密接な関係がある。
OpenBSD - BSDの子孫の一つで、NetBSDをベースとしている。
DragonflyBSD - BSDの子孫の一つでFreeBSDをベースとしている。
Linux - BSDの子孫たちのライバル。