概要
労働による収入の一種。給与。企業・団体などに雇われている労働者が、労働の報酬として雇い主から受け取る金銭のことである。
日本の労働基準法では通貨払いの原則(第24条)というものがあり、必ず日本円でなくてはならない。ペリカのような金券や、米ドルや韓国ウォンのような外貨で払うのは違法である。
労働の対価として最もポピュラーかつ重要なものであり、多くの労働者の生きる糧でもある。
給料形態について
正社員の求人票に書かれている給与についてざっくり説明すると。
- 基本給(a)
最低支給額。月々これくらいは必ず払いますよ。というお金。
いわゆるベース。会社にとっての最低人件費。これを上げてしまうと業績が悪化したからといって雇用主側が勝手に下げる事が出来ない(労働者の権利として法令で定められている)。このため、特に経営が不安定になりやすい中小企業では基本給を抑えようとする傾向が強く、フルタイム勤務で月10万円未満など基本給が最低賃金を割り込んでいることがありえる(諸手当込みで最低賃金をクリアしていれば違法ではない)。
労働組合のある会社は、経営側と火花を散らす交渉が年に一回、毎年春に待ち受けている(春闘)。
- 諸手当(b)
各種スキルや交通費など上乗せされて支払われるお金。
注意してほしいのはこれら諸手当はボーナスの支給基準の計算に含まれない事。
累積の残業代はこちらに区分される。
- 固定残業代(c)
いわゆるみなし残業代。
月々これくらいは残業するから先に支払っておきますね。
こういうこと。規定時間に満たなくともこの賃金は支払われる。勿論規定時間を超過した場合は別途残業代が支払われるぞ(一応法律ではそう規定されている)。
法令では1日8時間。1週間で40時間を超える残業は禁止されているが、一時的に超過する場合のみ36協定というものを労働組合側と締結している。
ちなみにベンチャー企業などの需細企業は基本給を上げる代わりに、ある程度雇用主側の都合で昇給、減給が可能なこちらを昇給するという荒技を使っている所もある。こちらもボーナスの支給基準の計算には入らない。
以上が求人票に書いてある給与の項目の見方。
ただし就労経験が無い子供や学生がよく勘違いしがちなことであるが、給料は求人票や求人雑誌に提示されている金額そのままの額を貰えるわけではない…ので要注意。
業種や企業によって違いがあるため一概には言えないが、会社から支給される給料の総額(=額面給与(総支給額))から、各種税金やら保険料やら年金やらで給料が支払われる前からすでにいくらかの額が天引きされており(=控除)、その天引き額を除いたお金が「稼いだ金(=手取り(差引支給額))」として支給されるのである。
控除および手取りの額は額面給与の額や会社によって異なるが、一般的な会社の月給ならば「手取り=額面給与の75%~80%程度」と考えておけばだいたいあっている。
なお、控除の詳細は給与支給と同時、あるいはその前後にもらえる「給与明細書」に記載されるが、明細書におかしな名目での控除(「その他」などと控除目的をぼかして書いていたり、「会社勤務感謝金」などといったヘンテコな名目の控除)がある場合、あるいは逆に不自然なまでに控除の名目が少ない(税金や年金の控除の記載が無い場合は要注意。本来会社がやるべき納税や年金納付といった社会的な義務行為を行っていない危険性がある)場合、あるいは、そもそもの手取りが上記に挙げた「手取り=額面給与の75%~80%程度」を大きく下回る額にしかならなかったり、最悪給与明細書そのものを発行してくれない場合などはブラック企業の可能性があるので注意しよう。
これ以外でも、給料が給料日になっても支給されず、遅れて支給される場合(遅配)や、懲戒などの処分を受けたわけでもないのにいきなり給料が減額されていた場合(減給)は、上記と同様にブラック企業である可能性があるほか、そうでなくとも倒産などの良くない事態の前触れであることが多い。
むろん、給料が全く支給されない(不支給)のは論外。
労働者を理由も無くタダ働きさせる行為はれっきとした犯罪です。
昨今の給料問題
近年の日本の大企業では、内部留保を厚くして会社役員への報酬や株主への配当を重視する傾向が強まり、企業の利益にかかわらず、労働者の給料は減少傾向にある。
この傾向は労働者側への利益の還元を軽視する(=労働者を大事にしない)行為であり、「労働者側がいくら働いても給料が上がらない(もしくは下がる一方)」という状態を生み出し労働意欲を削ぐ大きな要因となるため問題視されている。