概要
頭部を狙撃する行為。特にFPS・TPSなどにおいて用いられる語。ちなみに単に英語で【head shot】というと専ら顔写真の事を差す。
人体の先端に位置する頭部を狙うことは非常に難しく、そのためゲームなどでは成功させるとスコア、ダメージにボーナスが入るようになっていることが多い。
特にプレイヤーが操作して銃撃戦を行うアクションゲームやシューティングゲームにこれらのシステムが取り入れられることが多く、FPSにおいては何かしらの特典が取り入れられていることがほとんど(ダメージ上昇や命中対象の即死、ボーナススコア獲得等)。
先述の通り難易度が高いので、頭部への狙撃は基本的に動きを止めていたり、目標がこちらに気づいていない無防備な状態を狙って行われることが多い。しかしながら、ゲームなどで何らかの有利なシステムが取り入れられている場合、サブマシンガンやハンドガンを用いて積極的に行っていくプレイヤーも多い。
ゲームと同様に、ドラマや映画などでも視覚的に「間違いなく死亡した」とわかりやすく認識させるのに効果的なためか、頭部への狙撃シーンはアクションものの作品を中心にしばしば用いられている。中でもキアヌ・リーブス主演の「ジョン・ウィック」は、ヘッドショットによる殺害シーンが殊更に多いことで有名。
このほか、作品によってはゾンビやクリーチャーといった「頭部を破壊しないと死なない」存在が登場することもあり、この場合はヘッドショットが必須となる…はずなのだが、やはり狙いにくさがネックとなるのか、銃よりも鈍器や刃物による近接攻撃でトドメを刺される展開が多い。
軍隊の場合
成功すればほぼ確実に相手を殺害でき(一般的に他の臓器と異なり、情報記録メディアでもある脳は損傷したら治療できない場合が多い)、中枢神経である脳幹などが破壊できれば指一本動かせなくなるが、何しろ的が小さいので狙うのが難しい。
胴体にも急所は多数存在し、脳幹ほどの即効性はないが致死性も高いので軍隊では基本的に胴体狙いがメイン。
薬物投与や脳内麻薬の効果で負傷をものともせず戦う兵士もしばしば存在し、また「命中したけど死んだかどうかわからない」というのも不安なので出来るならさっさと殺してしまいたいところではあるのだが、頭部にこだわって一発も当てられないよりはマシ。
ただ、これが誤解されて「敢えて負傷にとどめることで護送、治療に多くの人員を割かせる戦略」と解説されることがあるが、それも正しくない。戦場で正確な生死判別は困難であり、真っ当な軍隊なら生きてようが死んでようが一通りの処置をしたうえで護送するので、どっちにしても割かれる人員に大差はない。
警察の場合
軍隊とは逆に、警察では正確なヘッドショットが要求される。
犯人の非殺傷が是とされる警察で狙撃が行われるのは、ほとんどの場合犯人が人質に銃を突きつけているだとか、爆弾のスイッチに指をかけているとか、犯人の生命を無視せざるを得ない極めて危険な状況である。
こうなると、死に際に指がピクリとでもしたら人質を道連れにされてしまうので、指一本動く暇なく即死させる必要があり、頭部狙撃が選択される。
ヘッドショットといっても頭ならどこでもいいわけじゃなく、狙うべきは脳内中央、テニスボール大の脳幹。時に1km以上の距離が離れる軍隊と違い、ほとんどの場合は100m以内から撃てるわけだが、的が的なうえに初弾命中が絶対であるから難易度は軍隊以上。
狩猟の場合
軍隊や警察と違って人の命がかかっていない狩猟だが、この分野でもヘッドショットが求められることは多い。
銃弾が獲物の急所を逸れ、長時間痛みに苦しませるというのは、古今東西多くの猟師が恥ずべきことと考えている。特に大型動物の場合は痛みに興奮して第三者に被害を及ぼすことも。そうした事態を避けようとすると、頭部を狙撃して即死させるのが望ましい。
そうでなくとも、穴だらけの毛皮なんて誰も欲しがらないし、鉛の破片がそこら中に散らばった肉なんて誰も食べたくない。胴体を撃ち抜いて内臓が破裂すると、未消化物と血液が獲物の体中に染みわたってそれはそれは悲惨な味わいになるどころか糞等による汚染で食べる事は不可能となってしまう。
良質な肉、毛皮を求めようとすれば獲物は極力手早く殺し、出血や肉体の損傷も抑えねばならず、そのために一番いいのは、脳を撃ち抜いて即死させることである。
しかしながら、獲物と手持ちの銃次第では銃弾が頭蓋骨に弾かれる、あるいは*頭部に命中しても脳を損傷させられない*こともありうる。理由として、狩猟の対象になる動物というのは人間に比べれば大脳が小さい傾向にあるためである。また獲物の動きや「頭部をトロフィー(飾り物)にしたい」といった需要もあって頭部を狙えないケースもある。これらの場合、頭部ではなく心臓等の重要な臓器や頸部等の太い血管のある部位を狙うのがよしとされる。