概要
塩化水素(HCl)を水に溶かした水溶液。皮膚や体の組織を侵す性質があるので劇薬である。また、濃度が40%を超えるものは塩化水素の揮発性が高く、保管や使用に特別の注意が必要なため、試薬として売られているものは濃度が35%程度にしてあり、濃塩酸でも37%程度である。また25%以上のものは発煙性がある。日本国内の法律では濃度10%以上は劇薬扱いになるので、サ○ポールなど塩酸入りのトイレ用洗剤は濃度が10%未満になる様に希釈してある。また、洗浄用塩酸として10~12%のものも市販されている。
有名な反応
水酸化ナトリウムと反応して塩化ナトリウム(食塩の主成分)と水が生ずる。中学校の理科の実験で行うあれである。
HCl + NaOH → NaCl + H2O(2は小文字)
用途
※1…濃塩酸を適度な濃度に薄めた希塩酸を使用する。
※2…濃塩酸と濃硝酸を3:1の比率で混合した酸。金や白金など酸に耐性の高い金属も溶かすため。酸に対する耐性の高い金属の塩類製造に使われる。
※3…あれやあれの材料でもある。法で規制されているし、それ以前に人間として「終了」する薬物だから絶対に作るなよ!
製造方法
- 水素と塩素を直接燃焼(反応)させる。この際大量の熱が生ずるので冷却が必須。
- 塩素化またはフッ素化された有機化合物を製造する際の副生物を利用する。
人体の塩酸
胃液にも含まれているが、胃壁から分泌される分泌液が胃壁を保護しているため、胃が自らの酸で溶けることはない。・・・が、疾患や強いストレスでこの保護が弱体化すると、胃が自らを溶かしてしまい胃潰瘍などの原因になる。
胃酸はPh0.8程度