「ありがとう、お父様。マリーンドルフ家の命運を私に委ねてくださって。
そして、面白い時代に私を生んでくださって・・・」
概要
CV:勝生真沙子
くすんだ短い金髪とブルーグリーンの瞳を持つ、美少年めいた容姿の女性。
後のローエングラム朝銀河帝国において最初の国務尚書となるフランツ・フォン・マリーンドルフ伯爵の一人娘。伯爵令嬢らしからぬ活発さと、聡明さを兼ね備えたお嬢さん。(フロイライン)。「ヒルダ」や「フロイライン・マリーンドルフ」、(ラインハルトとの結婚後は)「皇妃(カイザーリン)」と周りからは呼ばれている。
ラインハルト・フォン・ローエングラムの野望と勝利を早くから看破し、彼の陣営に加わった。
その令嬢らしからぬ活発さと聡明さ、また貴族の子女なら興味を示しそうな物事(ワインや宝石、ファッションや音楽、色恋沙汰を含めた社交など)にほとんど興味を示さず、幼い頃は野山を駆け回り、成長してからは政治や戦争の研究に没頭していた為、周りからは「変わり者、可愛げがない」と思われており、ラインハルトのように性格が尖っていないにもかかわらず、同世代の貴族の子女には親しい友人がいないようである。(幼い頃は負けず嫌いだったようで、周りからはそう見られていると知った時には「可愛くなくてもいいもん」と開き直っていたらしい)
亡き母を通じてヴェストパーレ男爵夫人とは知り合いである。その縁から恋愛経験皆無のヒルダに似合う男を紹介する、と言っていたが、夫人が自身の恋愛に忙しく、結局叶わなかった。(時期的にはラインハルトが台頭し始めるより少し前)
もし、この時点でラインハルトと出会っていたら、銀河の歴史はどう変わっただろうか・・・。
ちなみにリップシュタット戦役勃発より以前にゴールデンバウム王朝の滅亡、という未来を自らの見識とそれに基づく分析により、独力で予見していたのは(当事者であるラインハルトとキルヒアイスを除けば)彼女とオーベルシュタインのみである。
ラインハルトとヤン・ウェンリーの直接対決となったバーミリオン星域会戦では、ウォルフガング・ミッターマイヤー・オスカー・フォン・ロイエンタール両上級大将に自由惑星同盟首都惑星ハイネセンへの進軍を説いて実行させ、ラインハルトのピンチを救う。(※)
高い政治見識によって培われた強靭な精神力と智謀は他の者を圧倒しており、宇宙艦隊司令長官・ミッターマイヤー元帥は「フロイライン・マリーンドルフの智謀は一個艦隊に勝る」と高く評価している。(※)
一方でジークフリード・キルヒアイスの死後、公人としてのラインハルトの欠点とも言える少年らしい甘さや弱さが影を潜めつつあることに心を痛め、彼の人間性を守るべく行動を起こしている。
ラインハルトの首席秘書官を経て幕僚総監となり、その後、ローエングラム王朝・初代皇帝となったラインハルトと結婚、皇妃(カイザーリン)となる。長男アレクサンデル・ジークフリードを出産し、ラインハルトの死後は幼くして皇帝に即位するアレクの摂政皇太后に就任する予定。
余談だが、反乱を起こした親戚が父フランツを人質に取ったり、気にかけていた従弟が皇帝弑逆を図ったりと、身内がろくでもないことに関わりがちである。
(※)このバーミリオンでの件に関しては結果的にラインハルトの危機を救うばかりか帝国軍を勝利に導いたものの、ヒルダの完全なる独断行動であることも事実でラインハルトに一度拒否されたものを実行する命令違反を犯している他、二個艦隊を無断で動かしたり同盟元首ヨブ・トリューニヒトの処遇をラインハルトの名前を勝手に使って決めるなどの越権行為は本来なら処刑されても当然な重罪に値するものである。
(特にトリューニヒトは事実上の宣戦布告を行った戦犯者でもあり、公然と裁くことができなくなるばかりか将来的に帝国が腐敗しかねない危険人物を無罪放免で亡命までさせてしまったのは痛恨の痛手でもあった)
しかし、ヒルダの功績があまりにも大きかったために不問とされており特に処罰はされなかったもののファンからは賛否両論で、その後のラインハルトとの対応も「恩着せがましすぎる」「組織人として筋を通していない」「なまじ大きな功績を立てたからレンネンカンプやグリルパルツァーといった連中の暴走に繋がったのではないか」等、疑念や批判が出たりもしている。
そのためか藤崎竜版コミックスにおいては自主的に謹慎をしている他、「どのような処罰でも受けます」とラインハルトに謝罪をするフォローが成されている。
能力
ラインハルト陣営屈指の政治センスを持っており、幾度となくその慧眼でラインハルトを支えてきた。人の心理を見抜く目も鋭く、フェザーン自治領主の陰謀や自由惑星同盟軍の策動をいち早く洞察しており、ラインハルト陣営の知恵袋と呼べるような働きを見せた。
また、キルヒアイス亡き後は(どうあがいても及ばないと自覚はしながらも)彼のポジションを継ぐべく努力し、(相容れない立場ではあるが)軍務尚書・パウル・フォン・オーベルシュタイン元帥同様、ラインハルトに対して臆することなく諫言できる数少ない人物である。
人格的にも度量があり、バランスのとれた人付き合いが出来る人物であったので、ラインハルトのみならず多方面から政治的な相談を持ちかけられていた。