「…覚悟なんか…あるわけないだろう…」
プロフィール
概要
喫茶リコリコの店長。ハードボイルドな雰囲気の黒人男性で、足が悪いらしくいつも歩行用の杖を使って歩いている。
元DAの訓練教官で、錦木千束にとっては先生兼父親のような存在。また、千束だけでなくDA本部の春川フキも彼の近況を知りたがっているなど、教え子たちからの信頼は厚い様子がうかがえる。
その一方で、敵をおびき出すためにサードリコリスを捨て駒にするようなDA上層部の方針についてはあまり快く思っておらず、DAにおいて訓練教官を任された当初も、リコリスに対する入れ込みは薄かった。
『アラン機関』のメンバーである吉松シンジとは互いに旧知の仲であり、物語の随所に登場する彼との会話シーンや回想などから、少なくとも10年以上の付き合いがある様子がうかがえる。
直接明言はされていないが7話で高級バーで吉松と会っている姿を見た千束とミズキの反応から同性愛者である事が示唆されており、劇中で彼とは時に危ないほど近い距離間になることもあるものの、千束を巡る方針の相違などにより、胸中に複雑な思いを抱いている。
人物
容姿
外見と内面の双方において年齢を重ねたハードボイルドさがにじみ出ている、泰然と構えた大柄なアフリカ系の中年男性。つねに黒縁の眼鏡をかけており、優しげな笑みとともに発せられる落ち着いた声音は聞く者に安心感を抱かせる。
喫茶リコリコで仕事にあたる際には紫色の和服をびしっと着込んでおり、それらの和と洋が合わさった雰囲気から「喫茶リコリコをそのまま体現しているかのような人」と好意的に称されることもある。
性格
口数は少なく、積極的に場を盛り上げるようなタイプではないものの、若いころから数々の修羅場を潜り抜けてきたからこその懐の深さを備えており、いつもわいわいと騒いでいる喫茶リコリコのメンバーたちを後方から優しく見守っている。
また、仕事柄自身と他者とのあいだに引かれている境界線を意識することも多く、相手にこれ以上踏み込んでほしくない場合には笑みを浮かべてやんわりとなだめるなど、相手への気さくな配慮も欠かさない。
戦闘能力
元警備会社のオペレーターという経歴を持つ実戦経験豊富なベテランで、DAに訓練教官としてスカウトされる前にはサイレント・ジン(アニメ第5話で凄腕の殺し屋として登場)とコンビを組んでいたこともある。
現在では足を悪くしているために往年のような本調子は出せないものの、狙撃銃(レミントンM700)を用いてリコリスの任務の支援と警戒監視についたり、遮蔽物に身を隠した上での実戦的なショットガンの射撃姿勢を披露するなど、戦闘に関する知識や技術はいまだ健在である。
また、作品のストーリー原案を担当したアサウラは、ミカの経歴に関する設定について、現在の落ち着いた姿とは対照的に、かつては「イケイケの戦争屋さん」だったという過去があることを語っている。(参考記事)
最終回では、ファーストリコリスに引けを取らないほどの戦闘力を持つ姫蒲を相手に、蹴りとショットガンの非殺傷弾を立て続けに喰らわせて一瞬で無力化している。さらには、脚が悪いこと自体が周囲をあざむくためのフェイクであり、杖は武器としても使えるものであることも判明した。ただ、日常生活を送る上では問題無いものの、現役時代と同等に万全なのか、短時間であれば全力を出せる程度の後遺症があるのかは明確に描かれていない。
この事実を知るのは直接対戦した姫蒲とそれを見ていた吉松・クルミだけだが、クルミには他言するなと後に釘を刺している。
主要キャラクターとの関係
錦木千束
喫茶リコリコの看板娘であるファーストリコリス。
かつてDAの施設で訓練教官をやっていたころから関わりがあり、ミカにとっては娘のような存在でもある。かつての若かりしミカは『アラン機関』の吉松と約束を交わし、延命に成功した千束を「自分とミカとのつながりの証」として彼から託されることになる。
しかし、吉松から教えられた自身の使命を不殺のことだと無邪気に信じ、これを生きる支えにしていた千束の姿に際したミカは、真実を告げることで彼女を傷つけてしまうのではないかと恐れを抱き、彼女とともに喫茶リコリコを立ち上げてからも長らく真実を伏せたままにしていた。
現在では千束とともに喫茶リコリコで働くなかで、ミカは彼女の忙しなさや賑やかさを前にして、しばしば「少し落ち着きなさい」などと戒めの言葉を口にしている。
しかしそれらと同時に、一日一日を悔いのないように生きようとする彼女のまぶしさに感心し、そのような生き方を確立している彼女のことを誇りに思ってもいる。
また、吉松から千束を託された当初は、彼女を通して吉松に思いをいたすようなことも少なくなかったものの、現在でははっきりと彼女だけを見て語りかけるようになっている。
吉松シンジ
謎の支援機関『アラン機関』のメンバーである男性。
かつてDAの訓練教官をやっていたときに、千束の才能に惹かれた吉松から関わりを持ち出されたのが互いに知り合うきっかけとなっている。二人は次第に仲を深めていき、やがて互いにとって唯一無二の存在になるものの、『アラン機関』の取り決めに則って吉松がミカの元を去って以降は、千束を守ろうとする思いから吉松の思惑とは異なる道を選ぶことになる。
現在ではふたたび自身の前に現れた吉松に対して、ミカは過去を懐かしむような気持ちも浮かべているものの、同時に彼との約束を守らなかったことに対する後ろめたさや、千束の生き方を尊重する立場から彼に対立しようとする意志も表している。
物語終盤、千束の人工心臓の破壊、及び真島による延空木の占拠事件を通じて、ミカは吉松との対立が決定的になったことを知る。そしてミカは旧電波塔にて吉松と再会し、決別のため、彼に向けて銃弾を放つ。これによって吉松は死亡したと思われ、ミカは吉松より回収した新型の人工心臓を千束へと移植している。
井ノ上たきな
喫茶リコリコに新しくやってきたセカンドリコリス。
真面目の一点張りで融通が利かないたきなに対して、ミカは年長者という立場から何度かアドバイスを試みているものの、適切な言葉が見いだせないために結局黙って受け入れ、前もってこうするべきだったかもしれないなどと後悔にふける流れになっている。
また、アニメ第3話の予告動画では、千束になりきって喫茶リコリコのSNSを更新するミカと、それにアドバイスするたきなという面白い組み合わせを見ることができる。
中原ミズキ
喫茶リコリコの店員である元DAの情報部員。
営業中にもかかわらずカウンター席に座ってダラダラすることが多いミズキに対し、ミカはしばしば店長という立場から「働きなさい」などとしっかりした声でたしなめている。
その一方で、足が悪い自身に代わって店の営業を任せることも多く、時には晩酌がてら二人きりで語らうような一幕も見せている。
クルミ
喫茶リコリコに居候している年齢不詳のハッカー。
幼げな見た目に反して卓越した知見で物を語るクルミのことをミカは一目置いており、ときどき「天下のウォールナット」などと揶揄混じりに話しかけたりしている。
そのほか、常連客と一緒になってボードゲームに興じる彼女の姿を後ろから見守りながら「リアルで人と触れ合いながら遊ぶアナログゲームのほうが彼女にとって特別に感じるんだろう」と口にし、世代ごとの感性の違いに思いをいたす様子も登場している。
余談
ミカの声をあてているさかき孝輔は、気さくで大らかな特質を持つミカのことを「娘たちに突っ込まれる昭和のお父さん像」と「母性のような包容力」を併せ持つような存在であると答えている。(『アニメイトタイムズ』第7回キャストインタビュー)
関連イラスト
関連タグ
リコリス・リコイル 喫茶リコリコ Direct Attack
錦木千束 井ノ上たきな 中原ミズキ クルミ(リコリス・リコイル)
ミカシン:吉松シンジとのコンビ(カップリング)タグ。
風鳴弦十郎、高松咬月:他作品における似たポジションのキャラクター。
外部リンク
参考文献
- アサウラ『リコリス・リコイル Ordinary days』 電撃文庫 2022年9月10日初版発行 ISBN 978-4-04-914618-9
本編での活躍
登場長らくはご意見番に徹していたが、物語終盤、千束に真相を打ち明け許された彼は遂に決起して出撃。一連の事件の糸を引いていたが、結果ボロボロにされ落ち延びようとしていたシンジと、旧電波塔にて対峙する。
死を悟っても心情を曲げず千束に「殺しの道」を歩ませようとする吉松に対し、「彼女らの選択を邪魔してはいけない」と発し、涙ながらに銃弾を放った。
そのまま彼の持っていた新しい人工心臓を回収して、千束を延命。彼女に悟られる可能性を覚悟でその死を隠し、吉松が予め残していた千束への狂気じみた愛情による遺言も粉飾した。
それは自身より吉松を優先した千束の願いに反する矛盾した決断だったが、彼の親としての愛情は、これが最善だと信じる事にしたのだ。