概要
アプリ「マンガUP!」にて連載しているサスペンス・ブラックコメディ作品。
登場人物のほぼ全員が同じグループのアイドルでありながら、そのアイドル達がイジメという言葉の域を軽く超えている殺し合いを繰り広げるスプラッター作品。
作中で次々と起こる残虐な展開は全てアイドル業界は隠蔽体質ですからの一言で表ざたにならずに片づけられており、作者もこのギャグのような隠蔽ぶりをネタにしている。
企画段階で3巻構成全12話で完結予定になっていたが、好評により全6巻に伸びることとなった。
作者曰く「全3巻で一人一人の物語を満足に描き切ることは到底不可能で、アイドル達の想いを闇に葬り断腸の思いで死んでもらいます」。
伸びた影響か、研究生という形で32以降の数字も登場し、設定上のメンバーは研究生・2期生により補充されている。
2021年9月9日から2022年1月20日までマンガUP!で連載停止され、5巻の発売も無期限延期となっていた。無事に再開され、2022年4月・5月に連続刊行をもって無事完結となったが、5巻発売時には出版部数が大幅に減らされたことが告知されている。
こうした経緯については公式からの理由の説明が無く、「不適切なシーンが存在したためでは?」と推測されているが、ハッキリ言ってこの作品には不適切なシーンしか存在しない。
劇中では、きたねえ花火だ・コロンビア等のパロディも随所に仕込まれており、殺伐とした決戦シーンにも容赦なくパロディセリフがぶち込まれるのも特徴。
あらすじ
カレンダーをモチーフし、メンバーを数字にちなんだ愛称で呼ぶ人気アイドルグループ「カランドリエ」。
華やかな活動のその影で、グループの一員である31は他のメンバーたちから毎日のようにいじめられていたが、アイドルのイメージを損ねる不祥事は全て隠蔽体質により隠されていた。
「自分が笑顔じゃなきゃ、ファンのみんなも笑顔にできないから」
そう考えて耐え続けていた31だが、27からのいじめがとうとう殺害に発展するかというその時、咄嗟に反撃したことで、やり返すことで自分が笑顔になれることに気付いてしまう。
いじめによって奪われた自らの笑顔を守るなら``なんでも``する、31の狂気の復讐が始まる。
復習のために次々とメンバーを殺害していく31と、怯むことなく31を殺害しようとする他メンバーとの攻防は、隠蔽システムを巡る巨大な戦いに発展していく。
登場人物
詳細な登場人物やユニットについてはカランドリエを参照
31
主人公。
他のメンバーと異なり読み方が振られておらず、読み方不明。(懐いた野良猫にミイと名付けており、少なくともミイ以外の読みである)
カレンダーの最後尾であることからビリや数合わせといった蔑称で呼ばれていたが、実際には鋼のメンタルとあらゆる歌・楽器・ダンス・演技を即座に完璧に吸収してしまう超天才アイドル。
正当防衛を発端に「イジメ返す」快感に目覚めていくが、この際にも相手に受けたイジメ内容や相手の言葉をやり返すセンスを披露している。
4(フィア)
メインヒロイン。
クールな佇まいでグループ屈指の人気を持つカリスマだが、27達に指示を出していた最初の黒幕。
美しい物を壊すのが好きという歪んだ愛情により31に執着しており、直接対決で死亡したかに見えたが、後に31の危機に再登場しその後は行動を共にしている。復活後はそれまでのイメージと異なる熱血やポンコツの側面を披露してしまう他、殴られて興奮する変態であることもバレてしまう。
43(ヨミ)
31と4に憧れていた研究生。
最初から「自分を慕う後輩が目の前で殺される」というトラウマを与えるためだけに召集され、他の研究生ともども殺害され31に大きな傷を残す。一方で、彼女の死体を損壊させた人物への対処等、逆に31の怒りを刺激する地雷にもなっている。
27(ニーナ)
最初の犠牲者。
過去に邪魔なライバルを自殺に追い込んだことがあり、31も消してしまおうと企てるが、返り討ちに遭ってしまい、これが発端で31の殺戮街道が幕を開けてしまう。
11(エルフ)
物語開始時点でのセンターであり、当初の黒幕。
「業界」に強い影響力を持ち、危険な才能を持つ31を抹殺するためにさまざまな謀略を巡らせる。
22(ロリクル)
カルト教団の教祖でもある危険なアイドル。メンバー内外問わず多くの信者がおり、アイドル活動を通し信仰の拡大を狙っていた。表裏が激しく、本性は下品。
3(コルメ)を利用した情報工作により、31と4に対し「中古アイドル」のレッテルを負わせた。
9(ノイン)
「正義」を信条とし業界の秩序のために行動する「忠義のアイドル」。
刀剣の扱いに長けており身体能力も並外れて高いが、秩序のために悪を守る側に加担する「業界の犬」となってしまっている。
26(ツムギ)
9達とユニットを組んでいるが、気弱なためにいじめられている。
しかしその立ち位置と出生には重大な秘密があり、ある切っ掛けで覚醒する。
13
詳細不明、無口、存在感や記憶に残らない謎のメンバー。
常に状況の黒幕となっている人物の傍らにいて31を追い詰める協力をしているが、ここ一番では裏切って31に味方する、不可解な行動を続けている。
隠蔽体質
アイドルという業界のイメージを守るため、イジメや枕営業といった不名誉な情報は絶対に表に出ることが無い。
それは生き死にさえもであり、たとえアイドルが死亡しても、表向きには長期休暇や不慮の事故として処理され、真相は闇に葬られる。
この体質により31への苛烈なイジメは全てが闇に葬られてきたが、裏を返せば31がイジメ返しても同様に闇に葬られるため、双方のタガがはずれる要因となっている。
物語が進むにつれ、カランドリエの一部のメンバーがこの隠蔽に関する情報操作や暗殺を実行していることが発覚。また、殺人ショーや死体遊び等の明らかに非合法な趣味や商売を生業とするメンバーまで存在していることが発覚。
つまり「アイドルを守るための隠蔽」ではなく「巨大な犯罪隠蔽システムの隠れ蓑としてのアイドル」というのが実態である、
かくして、31の復讐劇は意図せず、この国を揺るがす闇との戦いへと発展してしまう……のだが当の31にとってはあくまで復讐が主目的であり、巨悪との戦いはあくまで副産物でしかない。
鳥籠
この項目には本作の重大なネタバレが含まれています。
全ての元凶となる地下施設。
とあるスタジオのエレベーターで隠しコマンドを操作することでのみ入ることができる。
違法製品の製造から、人体実験、果ては強姦や殺人に至るまで、あらゆる行為が許されるこの国の闇。
工場設備を中心に発展しており、テレビ局をエサにして拉致した子供を監禁し奴隷にしたり、不必要になった際に面白く処刑するための設備まで備えている。
これは非合法な秘密施設が、それを隠蔽するための協力として別の非合法な人物との関わりを繋げていく形での、秘密の共有の連鎖により肥大化していったため。
この施設やそこで行われていることを隠蔽するために巨大な情報操作システムとしての『業界』が形成され、その実行部隊の隠れ蓑や子供をおびきよせるエサとするために、「アイドル」という偶像が利用されていたというのが、この作品世界の実態である。
その存在そのものが犯罪の塊でしかないが、そこに関与している人物があまりにも社会的影響が大きすぎるために公表すれば国が混乱に陥ることは避けられず、「秩序」という名目のためにあらゆる手を尽くしてその存在が隠蔽されている。
その隠蔽システムは非合法に国中のネットワーク機器に接続している巨大コンピュータ「パラディウム」によって成立している。
本来であればあらゆる不正を監視し犯罪を抑止するはずの非合法な守護装置は、その秘匿性ゆえに逆にあらゆる犯罪を隠蔽し不都合な人間を排除・脅迫するために逆に利用されている。
しかし、この装置への依存性が故にパラディウムへのアクセス権を持ち隠蔽を実行している人間に大きく依存する脆弱性を抱えており、最終的に26がパラディウムからのデータを独自に発信し続けるチャンネルとAIを用意していたために全てが暴露され、隠蔽担当者自身が壊滅及び裏切りをしたために明るみになり、鳥籠を巡る悪事は崩壊した。
関連リンク
関連タグ
ご都合主義(負のご都合主義):主人公を含めた登場人物達の殺戮や暴行等の悪行が表沙汰にならない点はまさしくこれである。
関連作品
アイドルの姉が死にました…本作と同じくアイドルの復讐劇をテーマとした作品で、こちらは人気アイドルだった主人公の姉が謎の自殺を遂げ、主人公は姉の死の真相を探っていく末に復讐に動き出す物語である。