概要
メンバー全員の名前がカレンダーの日付がモチーフになっている、31人一組の人気アイドルグループ。
メンバーには1~31の数字(後に研究生が32以降であると判明)があてられ、数字に特殊な読み方をさせる芸名のスタイルをとっている。
本名については一部のメンバーのみ最終局面で判明し、最終巻のオマケとして全メンバーの本名が公開されている。
国民的アイドルグループとして絶大な人気を誇るが、裏ではメンバーのほぼ全員が、31人目のアイドルである31を標的にしたいじめを日常的に行っており、何よりも(31を含めた)全メンバーの倫理観と怒りの沸点が恐ろしく低い。
また、展開が進むに伴い一部のメンバーの趣味や裏家業が明らかになっていき、そもそもが非合法な集団である実態と本質が明らかになっていく。
もちろん31を敵視しているメンバー達は明らかにいじめや不正を通り越して犯罪そのものな手段や人間離れした技能を用いて31を亡きものにしようと襲いかかり、その尽くが31によって返り討ちに逢うのだが、作品の性質上、登場人物の詳細は「31に対しおこなったイジメの内容」及び「31からのイジメ返しの内容」というネタバレ要素を多分に含むため、その内容を紹介している本記事はネタバレ注意である。
そもそもカランドリエ自体が、『方向性の異なる複数のユニットで構成されている大型アイドルグループ』というアイドル業界としては特殊な組織である。カランドリエそのものが1つの組織というよりも、それぞれのユニットが個々の専門分野で活動し、必要に応じてメンバーと仕事を融通し合うという連盟のような側面が強い。
ジャニーズ等の実在する「事務所」と比べた場合、数字由来の芸名等、グループ全体で一つのコンセプトが共有されている点で大きく異なっている。
なお、プロダクションとしては「251プロ」という事務所名であることが31の所属が決まった過去エピソードにて明かされている。
当然ながら個人主義と競争意識が強く、同じカランドリエのメンバーであっても、ユニットが異なれば商売敵である。あくまでも彼女達にとっての身内は同じユニットのメンバーだけであり、最初からカランドリエというグループ自体に帰属意識を持っているメンバーは、11以外には登場しなかった。(実際に作中でも11は、31をいじめるという共通項がなければ、カランドリエはあっという間に空中分解するだろう、と予測していた。)
物語中盤までどのユニットにも所属しておらず、『純粋なカランドリエのメンバー』だった31はかなり異様な立ち位置であり、彼女がいじめの標的になっていたのも必然だったのかもしれない。
所属ユニットとメンバー
περιϕέρεια(ペリフェレイア)
物語中盤で遂に結成された、カランドリエ唯一の無所属アイドルだった31と、孤高のソロアイドル4の2人によるユニット。名前の由来は円周率『3.14』(31と4)。
元々人気があり比肩するだけの実力のあるメンバーがいなかった4と、潜在能力では11さえも凌駕していた二代目センター・31のコンビというだけあって、他に追随を許さないほどの実力を持った作中最強のアイドルユニット。
主人公視点なのでわかりにくいが、他のカランドリエのユニットの特徴は、大体ペリフェレイアにも当て嵌まる。(個人主義・排外的・共依存。)
31
本作の主人公。芸名である「31」の読みは不明(一度時代劇の仕事を受けた際に『逃亡者三一(ミツイ)』という役で出演したが、あくまで役名であって実際にそう呼ばれているかは不明)。
当初はカランドリエ唯一の無所属(ソロユニットですらないあまりもの)であったが、後に4とユニットを結成した。
幼い頃からアイドルに憧れており歌やダンスの練習もひたむきに頑張っていたが、カランドリエ内部では他のメンバーから見下され、職場いじめを受けていた。
アイドルという存在への熱意は非常に高く、自身及びファンの「笑顔」に異常なまでの執着を見せる。
記憶力が人並み外れて高く、経験したエピソードを正確に反芻できるほか、急に与えられた曲であっても即座に完璧な歌唱・演奏・ダンスを習得してしまう恐るべき才能を持つ。
意図せずにいじめに対する反撃(正当防衛)に成功したとき、今までにない快感を覚えて『復讐を成すことで得られるアイドルの笑顔』という妄執に目覚めてしまう。マイクをバール(凶器)に持ち替え、トップアイドルに上り詰めるために、メンバー全員への復讐(=殺害)を目論む殺人鬼と化す。
復讐方法はメンバーによって異なっており、31は今まで自分が受けていたいじめの内容に対する意趣返しを含んだ殺害方法を好んで使用する。殺人衝動に目覚めている状態での戦闘能力は非常に高く、相手の凶器を即座にマスターし応戦することはもちろん、トドメをさす際には相手が最も嫌がる方法や、相手に言われたことを言い返すことが多い。
殺害手段は様々であるが、武器を用いる場合は、バールもしくは相手から奪った武器を用いる機会が多く、自分で武器を用意したり拾ったりする時はほぼバールである。
現在は親元から離れて暮らしており、元は野良猫だった親友の猫・ミィちゃんと共同生活を送っている。
他のアイドル達には足手まとい扱いされていたが、反撃する術を得てからは持ち前の歌とダンス、仕事に対する真摯な姿勢、そして何よりも魅力的な笑顔を武器に、徐々に人気と知名度を上げていき、4の共演ライブで一気に知名度が上げ、第8話ではついにカランドリエのセンターにまで上り詰めた。
また、当初は単なる仕返しで殺人を重ねていたが、回を重ねていく内に31自身は日々残虐さを増すライバルとの戦いの中でアイドルとしても人間としても少しずつ成長していく一方、ストーリー展開で13と関わる中で、自身の記憶に13にまつわる欠落があることに気付く。
パッと見だとわかりにくいが、黒髪のショートボブの内側に血のような赤いインナーカラーが入っているという、結構エキサイティングな髪型。
なお、初期案では、31の髪型はロングヘアーだったらしい。
4(フィア)
カランドリエの中でトップクラスの大人気アイドル。静謐でクールでミステリアスな銀髪ロングで西洋人かのような出で立ち(日本人ではある)。
当初はペチュニアの騎士に所属していたが、物語開始前に脱退し、ソロユニットF-O-U-Rとして活動している。海外での活動が多く、男性だけではなく女性にも人気があり、後の展開では女性の追っかけも作中に登場した。
もともとはユニットを予定していたが、自身のために書き下ろされた曲「ダフネオドラ」について来れるメンバーが存在しなかったためにソロ活動を余儀なくされていた。相応しい実力者のいないカランドリエというグループにもこだわりが無い様子であったが、31という天性のアイドルにその可能性を見出し、31への執着だけがグループに残る意味となっている。
性格は完璧主義で冷酷、『美しいもの』に強い執着を示す一方で、『醜いもの』は徹底的に無碍に扱う。そして、『美しいもの』に対してもそれを壊すことに快感を覚える生粋のサディスト。
31の才能を見出し、その美しい才能を自らの手で潰したいがために、27達を差し向けていた。
27達のように不当な手段を用いる必要が無い圧倒的な実力を持つため、31への嫌がらせも純粋に趣味であった。
31とは初対面の際に突然にキスした上で舌を噛んで怪我をさせているが、その時は理由を語らなかった。後に31との共演ライブにてそうした自身の歪んだ愛情を吐露。刀とバールでの激闘の末に、2度目のキスとともに、31の目の前で崩落するステージに飲まれ姿を消した。
しかし実は生存しており、11が直接31に手を下しているライブに飛び入りゲストとして参戦し31に加勢。後に31の実家を巡る事件で再び31と合流、以降は彼女の唯一の味方として行動を共にし、22の事件の際に全てを失って自暴自棄になりかけた31を激励し、「31ならばダフネオドラについて来れる」と確信しユニットを結成している。
先の31との対決時の負傷のためか、復活後はショートカットとなり、左目に傷がある。
また、復活後はプライベート事情や、機械に極めて弱い等の弱点、イジメられる側になってのリアクション等、復活前とはイメージが大きく異なっている。
死んだと思われていた期間もふくめ、複数の相手に異常性癖や変態と呼ばれてしまっている。
Polka Dots And Moonbeams(ポルカ・ドット・アンド・ムーンビームズ)
3人組のユニット、通称『ポルムン』。担当ジャンルは恐らくJ-POP。
カランドリエ結成時に立ち上げられた新規ユニットで、若手や新人のアイドルで構成されている。(少なくとも表向きには)愛嬌のあるメンバーが多く、営業にも仕事にも積極的だった。
カランドリエの中でも人気のあるユニットだったらしく、(31に対するいじめという事実に目を瞑れば)一番真っ当にアイドル稼業をやっていたユニットだったと思われる。
27(ニーナ)
ポムルンのセンター。ダンスが得意で活発、勝ち気な性格をしたツインテールの美少女。
ポルムンの中では最も積極的に31をイジメていた。
31イジメの動機は「研修生時代に自分より早くデビューした、顔がいいライバルに似ている」という身勝手な嫉妬によるもの。そのライバルにあたる人物も27が仕掛けた職場いじめを受けた挙句、自殺してしまったが、業界はその死を隠蔽し、これにより27は邪魔者の排除に躊躇が無いタガの外れた性格となった。
追い詰められた31に職場いじめの証拠を突き付けられたが逆上し、「”いじめは”やめてあげる」として殺害を試みる。しかし、咄嗟の反撃に出た31にバールで腕を裂かれ、顔面滅多打ちによる整形手術を施されることに。ボロボロになった末に「もういじめない」と命乞いと謝罪をするも、許される訳もなくとどめを刺されて死亡。31の復讐劇の最初の犠牲者となった。
そして自身が語った通りにその死は表向きには「体調不良」、関係者向けでも「怪我により二度とステージに立てなくなり引退」と隠蔽されている。
この一件をトリガーに、31は復讐への道を突き進む事になる。
30(ミオ)
幼い雰囲気の残る、ショートカットの小柄な美少女。お喋り好きな、自称「カランドリエのマスコットガール」。
小賢しい性格で31に直接的には「何もしてない」ものの、嘘の悪い噂を流して他メンバーをけしかける、「腹パンゲーム」等のゲーム感覚のイジメ方を提案するなど、職場いじめを増長させていた。その口の上手さでポルムンを自分の好みが100%反映されているユニットに作り上げたらしい。
27が突如『引退』した事でユニットが無期限の活動休止に追い込まれ、この事態に31が絡んでいると察し、彼女をロケと偽って深夜の廃ビルに誘い出し殺そうとする。しかし31は全て気付いた上で逆に罠を張っており、自ら27の死体画像を見せつけ罪を自白、さらに31をいじめていた現場の録画映像を見せられ、逆に追い詰められてしまう。
報復として今まで自分が受けていた「腹パンゲーム」をそのままやり返された後、安全装置の壊れたエレベーター内に手足を縛られ首にワイヤーを括り付けられた状態で放り込まれる。エレベーターが動けばやがて首が切断される「首絞めゲーム」だと説明する31に、19のことを自白して助けてもらおうとするが、当然許してもらえるはずもなくエレベーターを起動され、説明された通りの末路を辿ることとなった。
19(イク)
表向きはお嬢様口調の優しいアイドルなのだが、本性は腹黒い。ストレスのはけ口として31いじめに加担していた上、コネを持ってるとあるテレビ局幹部と営業ではなく娯楽として薬物を使った性的関係を続けているド淫乱。
本来なら31に割り振られていた仕事を奪い続けてきたことや30の自白から裏工作がばれるが、31よりも相応しいアイドルである自分が受けるべき仕事と開き直る。
そして薬物を用いた枕営業に加担させて31を精神的に潰そうとするが、31が既に殺人鬼へと変貌していたことを知らなかったため、ホテルの一室におびき寄せられて騙し討ちを受ける。
部屋に入った直後に知らずに31が作った媚薬(毒薬)を飲んで倒れしまい、動けなくなったところに31から追い打ちでキスをされ、強心剤の薬を経口投与される。
突然のキスに本人も満更でもない様子だったが飲み合わせの副作用によって心臓発作が起こり、『薬物依存の腹上死』という形で苦しみながら死亡。
死ぬ間際に31に「アイドル失格のドブネズミ」と吐き捨てられた。
ブログのおまけ漫画では、弟妹が3人いることが判明した。
メンバーの全滅によって、ポルムンは事実上の解散となった。
Lil’ Darlin’(リル・ダーリン)
2人組のユニット、ジャンルはニューエイジ・ミュージック。
カランドリエのユニットの中でも特に閉鎖的・排外的な性質が強く、ファンには塩対応なことで有名で、本人達もそんな仕事にはウンザリしていた。
14と23は共依存かつ相思相愛の百合の関係で、肉体関係も持っているため、そこに3人目を配属しようとすれば許さないのは当然であり、31を配属するというシンプルな沸点により31を排除しようとする。
巻末のコメントによると、ともに現役の音大生でお酒が飲める年齢らしい。
14(イヨ)、23(フミ)
ボーイッシュなオレっ娘アイドル14と、幼稚で14に依存している23の、サイコレズカップル。
リル・ダーリンに31が加入するという情報を知らされた際に激しく狼狽し、2人だけの愛の巣を守るために31の抹殺を決意するほどに共依存しきった関係。
23は轢き逃げで人を死なせたが、それを業界に隠蔽してもらった過去がある。
31が可愛がっている猫のミィちゃんを人質ならぬ猫質にし、バイクチェイスにて14が31を殺害する計画を実行。
14が23の手を汚させないためにバイクで並走しながら自らの手で31を殺そうとしたが、ドッグファイトの末に31に背後に着かれ、31がスクーターに仕込んでいたバールで攻撃され転倒。その後31に捕まり、23を誘い出す偽電話をかけさせた上で31と服とヘルメットを入れ替えられてしまう。
呼び出しで現れた23は31の入れ替わりに気付かず、まんまと騙されてその手で14をシャベルで滅多刺しにして殺害してしまう。
その手で恋人を殺してしまったことに泣き出す23は、31にバイクで突き飛ばされ崖から転落。なんとか逃げ延びて31への復讐を誓うも、直後に走って来た列車に轢かれ死亡、自身も14の後を追う羽目となった。
この結果が全くの偶然なのか、31の計算なのかは明記されていないが、結果的に自身も轢き逃げされるという皮肉となっている。
ちなみにその後、ミィちゃんは無事に31に救出され、31とミィちゃんは仲良く帰宅した。
蓮花協定(れんかきょうてい)
17(ジュナ)、2(ロロ)、8(ヤエ)、28(フタバ)の4人組のガールズ・ロック・バンド、担当ジャンルはフュージョン。
替えの利かないほどの技巧派らしく、多少の職務怠慢も11からは看過されていた。
カランドリエのユニットの中で最も男性ファンが多いが、メンバーは皆、毎日を楽しく過ごすことを信条にする享楽主義者で男遊びに明け暮れており、練習も仕事も男遊びのためにサボることが珍しくなかった。
やっていることの善悪はともかく、自分の仕事に対してはストイックなメンバーの多いカランドリエの中で、恐らく最もプロ意識の低かったユニットであり、結果的にいじめ内容よりもそうした職務態度が31の怒りに触れてしまう。
11から直々に31の抹殺を命じられるも全くやる気を見せなかったために、その場で(多額の金を貢いでいたホストの)男を殺され、脅される形で泣く泣く「仕事」を引き受けた。が、杜撰な手口で禄に生死確認もしなかったため、あっさり31に脱出された上に逆に自分達が冷凍庫の中に閉じ込められて「頭を冷やす」ことになり、全員まとめて氷漬けの状態で発見されることとなった。
なお、明確な描写は17だけではあるが、4人全員でイケメンと飲んでる場で躊躇なく性的関係をおっぱじめている。
MAiDeNVφYaGE(メイデンボヤージュ)
潔癖症の5を狂信する9人組のアイドルユニット。
他のメンバーは1(ウノ)、6(ムー)、7(ナナ)、16(イロハ)、18(トワ)、20(ハッカ)、24(ツジ)、29(オクニ)。
メイドをモチーフにした路線で活動をしており、派手さはないが堅実なパフォーマンスで評判。
カランドリエの中で大所帯なユニットだが、メンバーの芸歴は比較的長く、カランドリエ結成以前から9人で活動していたという古株のアイドルユニット。そんな経緯からかメンバー達の気質はリル・ダーリン以上に排外的であり、31へのいじめの内容も特に苛烈だったとされる。
……というところまでは表向きの姿。
実態としては『業界』の敵や反乱分子を掃除する暗殺集団であり、銃火器の扱いにも長けた武闘派テロ組織である。
メンバーは5に心酔しており、彼女を手伝っての「大掃除」にも躊躇なく応じる。
11と共謀して『カランドリエのメンバーの1/3を殺害した危険因子である31と、31を信望する研究生・スタッフの粛清』を計画する。
オーディションを兼ねたミュージックビデオの撮影と偽って粛清対象を一箇所に集め、当日11が用意したと思われる銃器を使って『消毒』を開始。銃を乱射して、次々に研究生とスタッフを殺害した。
無抵抗な研究生やスタッフは一方的に制圧したが、31の反撃には呆気なく壊滅しており、無抵抗で動かない的だけを相手にしてきたために戦闘力は低いことを指摘されている。
このユニットの登場以降、『業界』がただのアイドル業界ではない闇が本格的に露見していく、物語のターニングポイント。また、初めて31以外のキャラから、31以外への殺意や殺害行為が描写されたユニットでもある。
5(ビスカ)
メガネっ子アイドル。極度の潔癖症で常に手袋をつけており、料亭に行っても「他人が素手で触った物は一切口にしない」と包装された持参の飲食物にしか手を付けないほどである。
過去に手袋を外している際に31に素手で握手をされて嘔吐し続けたトラウマがあり、11の陰謀による31の排除が決まる前から恨みを持っていた。そのためか、いじめるだけの生ぬるい遊びには付き合いきれんと明確に殺害すべきと考えている。
「汚れ」が嫌いを通り越し存在を許せないため、汚い業界人の「掃除」として暗殺を行っており、自分を嘔吐させた汚いアイドルが人気であることが許せず、自ら31暗殺を志願。
31を「血肉にまみれた汚れた笑顔」としてアイドルに相応しくないと語るが、自身達も大勢を暗殺していることについては自覚が無い様子を見せている。
自身が担当するユニット候補生のオーディション内に31ファンがいたことから危機感を持ち、彼女達を利用して31とそのファンや応援する業界スタッフをまとめて「消毒」する計画を立案。
撮影用の小道具に偽って持ち込ませた本物の銃にて43を殺害後、そのまま研究生やスタッフ全員を殺害する凶行に及んだ。この際、「業界の汚れを掃除する」ことに快感を覚えるためにアイドルを辞められないことを語っており、アイドルではなく掃除屋が本分であり、そのためにカランドリエにいるという、曲がりなりにもアイドル活動が目的での邪魔者排除であったこれまでの敵とは根本から異なっている。
31以外の標的を殺害し31を追い詰める銃口を突きつけるが、「最後の一拭きをする瞬間」の興奮でベラベラ喋って隙を与えたことで、31から顔面に唾を吐きかけられてパニック状態になり、混乱に乗じて銃を奪われ他メンバーは瞬く間に全滅してしまう。
ようやく落ち着きを取り戻した5は隠し持っていたナイフを抜き31との戦いを再開。31を刺し殺そうとしたが、再び31の5の潔癖症を逆手に取られた反撃を受け、汚れたものに触れた手足や31の唾液で汚れた口内を順番に『消毒』されて死亡した。
意図したものかは不明だが、この時に31がとった反撃手段は、かつて31が4に受けた行為の再現となっている。
業界の闇を31に示し、そのような業界は5に代わって31が掃除をすると決意させた、様々な意味でターニングポイントを作った人物となった。
√11(ルートイレヴン)
カランドリエのセンターであり、名実ともに超一流のアイドルである11のソロユニット。担当はビッグバンド。
才能の塊である11はアイドルとしてだけでなく文化人としても有名だったため、一般人に与える影響力の大きさは計り知れないが、その世間での名声と裏表の顔のギャップ、あまりにも極端な自己中心さから、カランドリエの性質をそのまま体現したようなユニットである。
同じくソロユニットであった4は相応しいパートナーがいないことが理由であったが、11の場合は自分以外のアイドルは自分に勝てない有象無象と考えており、そもそも相応しい正規ユニットを考えてすらいなかった。
形式上はソロユニットではあるが、11は(陰謀ありきではあるものの)最も積極的にユニットの枠を超えてカランドリエ全体として立ち回っている。
11(エルフ)
カランドリエのセンターで、本作の黒幕である『業界』とも深い繋がりのある人物。学歴・才能・家柄・エンターテイメント性等、どれを取っても非の打ちどころがないエリート中のエリートで、ついた異名は『世界のセンター』(ツエントルム)、『女帝』(カイゼリン)。
だがその本性は、自分が中心に立つためには手段を選ばない性格破綻者で、31いじめの主犯格。
自身を中心とした「30人のグループ」ながらユニットごとにバラバラであるカランドリエを1つにまとめるための「共通の標的」として31人目を用意しいじめさせることでコントロールをしていた。しかしその31がアイドルとしての天性の才能が目覚めつつあることを悟り、最高のアイドルは自分以外に不要であるため殺害すべく、次々と刺客を送り込むも失敗。
これまでに死亡したメンバーについて「わたし以外はいくらでも替えがきく」と気にも留めていない。
また、4とのライブ中には自ら舞台の崩落で31を殺害しようともしたが、咄嗟に4が身代わりになり自殺したことで失敗している。なお、4のことも気に入らない変態女と考えていたため、結果オーライだったもよう。
メイデンボヤージュを掃除し返した31に満面の笑顔で「死んでください!わたしのセンターのために!」と宣戦布告し、センターの座をかけたライブ対決(という演出の殺し合い)を実行。ライブ告知にて世間向けに「今度のライブで31さんを殺します!」と宣言してのけるが、それすらもパフォーマンス上の比喩表現と思われ世間は動揺していない。
持ち前のアイドルとしての才能で31を追い詰めて、ステージに仕掛けていた巨大な触手マシーンで31を拘束しドリル触手で観衆の前で殺害しようとした。
だが観客席から駆け付けた4が31を救出し、突如始まった31と4のデュエットによって形勢が逆転。観客は11そっちのけで31に注目し始めた。
自分以外が注目を集めているという状況に激しく狼狽した11は、ライブ対決という名目を投げ捨ててなりふり構わず31を抹殺しようとするが、ステージ上に大量に降り注いだ多種多様な武器の中からバールを拾った31によってそれも失敗。
それでも抵抗を続け拳銃で31を射殺しようとするが、今度は4の助太刀によってそれも叶わず、31の攻撃でステージの下に転落して敗北。
なお、一連の殺し合いは今までのものと異なり観衆の前で行われたが、観客もスタッフもこれを迫真の演出としか思っていない。
転落した後も自らの敗北を認められずに這い出そうとしていたが、仲間だと思っていた13によってバールでとどめを刺されてしまう。カランドリエの初代センターは、誰も見ていない場所でその生涯を終えた。
オルフェ・ネグロ
世界的なマジシャンであり、アイドルでもあるという異色の経歴の15のソロユニット。
イリュージョンショーも兼ねたライブチケットは、高額にもかかわらず数年先まで予約で埋まっているほどの人気ぶりで、単純な収益力では恐らくカランドリエのメンバーの中でも最大勢力だったと思われる。
オルフェ・ネグロの裏稼業は、後の展開で登場する『鳥籠』の伏線にもなっており、表裏問わずに『アイドル業界』の稼ぎ頭だったのかもしれない。
15(パンドラ)
僕っ子マジシャンアイドル。「〇〇たん」呼び等の特徴的な喋り方をする褐色肌。
ペットは体長数メートルの巨大ワニの『ヂーちゃん』。ワニに丸呑みされて脱出するイリュージョンが持ちネタ。
新センターになった31との自身のマジックショーにて共演。ステージでは仲良く共演していたが、過去に31を騙して脱出マジックをわざと失敗し、溺死寸前まで水槽に閉じ込めていた過去があった。
そして裏では、メイデンボヤージュ同様、邪魔者や用済みになったアイドルを始末するついでに、その様子をスナッフフィルムに撮影し、その見返りに大きな仕事や大金を得ていた。
また、手品に限らず「騙す」ことが自分の専売特許と考えている。
好きなものは「虚構(ウソ)に騙される馬鹿(ファン)のアホ面(笑顔)」。
スナッフ売上により立場も金も手に入れながらも「カランドリエのセンター」だけは手に入らないと考えていたが、その11が死亡したためセンターの座を手に入れようと、31の殺害を計画。自身も「31をいじめなければペットを殺す」と11に脅されていた被害者だと偽って31に接触し、謝罪の証としてVIP専用ショーのチケットを渡し誘き出し騙し討ちを目論む。
わざと空腹にしておいたヂーちゃんに31を食い殺させようとするが、手品の仕掛けを記憶していた31に脱出され反撃で気絶、逆に段取り無しの脱出ショーを強要された上に鍵をヂーちゃんに食べられて脱出不可能になる騙し討ちを受け、最期は為す術なくペットに食い殺された。
その後、ヂーちゃんも12・21に殺害され、取り出された遺体は2人のオモチャにされた。
蒙蒙(マァンマァン)
双子のアイドル12と21の二人組で、カランドリエ最年少のユニットである。名前からして皮肉たっぷり。雑技団出身で超人的なパフォーマンスから、特に子供達からの人気が高い。
11はアイドルとしての商用価値を評価していたのか、2人の戦闘力の高さにもかかわらず、最後までマァンマァンを31にぶつけることなく温存していた。
12(イツ)、21(ツイ)
双子の姉妹のアイドル。最終巻オマケで明らかになった本名を見る限りカランドリエ唯一の日本人以外メンバー。
最年少のこどもながら死体愛好家で殺人にも一切の躊躇いがない、11以上の性格破綻者。
もともと無表情で気持ち悪いからと親に捨てられた過去を持ち、ものが壊れて「オモチャ」になる瞬間だけが笑顔になれることに気付き、破壊や殺害に依存するようになった、生まれ持った闇。
経緯は違うが、笑顔になるために邪魔者を殺害している31を同類と考えている。
2人にとっては殺害そのものよりもその後の死体を損壊して遊ぶことの方がメインディッシュだが、雑技団出身の身体能力と双子のコンビネーションで高い戦闘力を持つ。
11に「オモチャにしていい人間」を斡旋されていたが、11の死によりそれができなくなったため、(ある人物の入れ知恵もあり)31とその家族をオモチャにするために31の帰省を追う。31が外出した隙に両親を殺害したが、娘が殺人鬼であると知らずに死ねて良かったと語っている。
自分自身へのいじめには耐えてきた31も、両親の死により精神的に崩壊してしまい、大きな傷跡を与え、笑顔になることができない精神状態に追い込むことに成功した。
が、心が折れてしまった31のタガが外れた反撃の圧に身体が動かなくなり、脳をかき回されたり生きたまま心臓を握られたりと逆にオモチャにされてしまった。
2人が殺した31の両親、および31に殺された2人の、あまりに異様な光景は駆けつけた4を戦慄させている。
My Favorite Sins(マイ・フェイバリット・シンズ)
3人組のユニット、通称『マイフェバ』。担当はディスコサウンドらしい。
その実態はアイドルユニットとは名ばかりの22を教祖としたカルト教団であり、その人脈とカリスマ性を悪用して『業界』の隠蔽工作の実働部隊として動いていた。
22のファンを熱狂させる(あるいは洗脳する)能力自体は本物であり、11とは違う意味で世間と業界に対する影響力は大きい。
ライブでは爆弾を使った演出を多用することで有名。このために手口として爆破を使用しただけで、4にはマイフェバの犯行だと見抜かれている。
……余談だが、彼女達の異常な活動形態こそが、アイドルとファンという言葉の持つ本来の意味である。(『アイドル → Idol:偶像、偶像視される人』、『ファン → Fanatic:狂信者、熱狂的に支持する』。)
22(ロリクル)
マイ・フェイバリット・シンズのリーダーであり、自らを教祖とするカルト教団の指導者。別名『神童22』。
とある新興宗教の教祖の娘で数々の超常的な能力を持つと言われ、その奇跡で人心を掌握し、業界の隠蔽工作を行う傍らで自らの勢力を拡大していた。劇中でも高層マンションから傘で飛行し脱出する等、人間離れした能力を披露している。
しかし実態は「神」である自らを中心とした理想郷のためなら手段を選ばない欲望の権化であり、信者は自分のために命を捧げて当然だと考えている、とんでもないエゴイスト。
信者は22のために自爆テロを行うほどに忠誠心を持っており、22も必要とあらば躊躇なく信者を犠牲にしている。
3を用いて31(と4)に関するデマ情報をまき散らしてスキャンダルによるイメージダウンを図り、31からセンターの座を奪うことで、カランドリエのファンのみならず日本中の人間を自らの信者にしようと画策。全てのメンバーも始末しその全てを31と4に罪を着せることで真の『唯一神(アイドル)』になろうと目論んで、大量の信者を率いて31と4を襲撃する。
そのために開催したコンサートでは大量の自爆信者による防衛ラインを形成し、ステージでは「4・31=シザイ=死罪」という語呂合わせのシュプレヒコールで2人の処刑を求める声を扇動。しかし、4の剣技により信者達を生かしたまま爆弾だけを切断され、ステージ上では奇しくも同じく語呂合わせである3.14「ペリフェレイア」の結成発表により流れが一変。ファンの心が31達に奪われた上に、11の時と同様にまたも裏切った13により、自身の拝金主義っぷりを大勢のファンの前で暴露されてしまい、逆上して大量の爆弾で襲いかかるも絶望から立ち直りアイドルとしての決意を決めた31と4のコンビネーションの前に完全敗北。
その後なんとか逃げ延びるも「神である22」を信奉する信者達により『22を騙る偽物』扱いされ、最期は自爆による無理心中で汚い花火になった。
既に力も味方も信仰も失った彼女を救うものは誰もいなかった。
3(コルメ)
22に心酔する下僕。前髪の両サイドが鳥の羽のように広がった特殊な髪形。
噂話好きを自称し、大量の『お友達』を利用して、業界の隠蔽工作を担当していた。噂によって嘘の応報を流し、あるいは事実の痕跡を消し去って根も葉もない噂レベルに貶めてしまう、情報工作担当。情報網も握っており、ターゲットのことなら何でも知っていると豪語する。
人前ではひょうきんなお調子者を装っているが、その本性は非常に陰険。嘔吐フェチであり、過去には嘔吐性のある薬物で31をいじめていた。
両親を殺され心が折れた31と4にトドメをさすために、31の意識が無い隙に両親の火葬と実家取り壊しを迅速に手配し、31の実家の存在を完全に消し去ってしまう。
さらに31の彼氏というデマニュースを流すが、本来であればこうした不都合な情報は隠蔽されるはずであることから、隠蔽担当側がその機能を放棄しわざと情報を流し始めたことが4に露見する。さらに4も襲撃し、昏睡状態の31と4を下着姿にしてお友達の男と絡ませた乱交ファンサ写真を捏造し、2人を下半身がだらしない中古の淫乱アイドルに仕立て上げた。
さらに、22が立案した一連の犯行を4に下劣と罵られたため、4の子宮を破壊しようとするが、注射器を奪っていた4の反撃で昏倒。体の自由を取り戻した31に拘束され、寝てる間に中古にされた怒りのみならず、両親を殺したのも3だと思われ(12・21は殺されていた2人を死体損壊しただけである)、嘔吐とは逆に体の限界まで水を飲まされて溺死。
余裕のある内は22への絶対的な忠誠心を見せていたが、殺されると理解するとあっさりと全てをネタ晴らししてしまっている。
なお、13の命令により本番行為は不許可であったため、下着にして写真をとった以上のことはしていないらしい。両親に関しても眠らせるように命じられただけで、別の誰かがその後で殺したという。
が、31自身もそれを信じられなかった上、その後の展開でも他のキャラから31が中古アイドルと呼ばれる展開があり、両親殺害と合わせて深刻なダメージを与えている。
13
寡黙で謎の多いアイドル。31と同様に読み方不明。
マイフェバの3人目であるということ以外ほとんど不明の謎の人物で、最低限しか喋らない上に、人の記憶に残らない特殊能力を持ち、誰もその正体を知らない。アイドルのはずなのに、誰も喋っている姿を見たことが無いと言われるほど、ほとんど口を開かない。
マイフェバ以外にも11達に接触したびたび31イジメを支援しているが、いつも土壇場で裏切って31に加勢する、不可解な行動を見せている。普段は無表情で寡黙だが、31に関する話題と、裏切る瞬間だけは、恐ろしいハイテンションに豹変する。31推しで、絶望した31が自身に辿り着き殺してくれる瞬間のために陰謀を熟成させ続けている、クレイジーサイコレズ。
幼少期の31と交流があったのだが、31はその頃の記憶を失っている。(この過去が、『他人の記憶に残らない』という彼女の能力に関連していると思われる。)
その正体は『鳥籠』の出身者であり、31の母親を恨んでいる人物が親子に復讐するために利用した、31を誘き出すエサ。しかし幼い31が覚醒したことで事態は思わぬ展開を見せる。そして31は、13ととある約束を交わした後、31の身を案じた両親によってその記憶を封印された。
31がカランドリエに加入した後、13は31との約束を果たしてもらうために一連の陰謀を仕組み、31の復讐を扇動してカランドリエ(ひいては業界そのもの)の壊滅のために暗躍していたのが、イジメガエシの真相。すなわち本作の黒幕にしてラスボスである。
13がハイテンションになる場面をピックアップしてみるとわかるが、彼女は『復讐魔のアイドル』である31のファン。(『いじめられっ子のアイドル』である31に魅力を感じていた4とは対照的である。)地獄のような境遇から自分を救ってくれたかつての恩人の記憶で、一番印象に残っている場面が殺人鬼になった瞬間だったからかもしれない。
大方の目標である『業界』の壊滅が達成された後。13は最後の仕上げとして、31が最も信頼している仲間である4を目の前で惨殺することで31の殺人衝動を再燃させ、他のカランドリエのメンバー達と同様に自分に復讐殺人(イジメガエシ)させようとするが、復讐よりも好きなものを知って成長した31によって阻止される。
「私があなたを殺してあげる」という約束をもう守れないことを謝られた後、「ずっと応援してくれてありがとう」という1人のアイドルとしてのファンへの感謝の気持ちを笑顔で伝えられると、感極まり号泣。
31(美咲)への愛を叫びながら自決した。
Knight in Petunia(ペチュニアの騎士)
業界を守護する忠義のアイドル。
9(ノイン)、10(イオ)、25(ニコ)、26(ツムギ)の幼馴染四人組で、全員が上流階級出身のお嬢様。
主な活動は研究生の育成や他のユニットのバックアップで、表舞台に出ることは少ない。
カランドリエそのものへの仲間意識こそ持っていないものの、数少ない個人主義の性質を帯びていないサポート型のユニットである。
新人の育成を担っているからか、全体的にノリが体育会系で上下関係に厳しい。また、31を巡る陰謀の一環でもあったとはいえ、その研修やテストの内容は命がけの戦いとなっており、育成されたアイドル達の攻撃的な性格への影響は大きいと思われる。
その実態は警察・司法・政治・報道のトップの令嬢達で構成された『業界』の尖兵隊であり、隠蔽体質というシステムの中枢を担う最重要メンバー。メンバーの激減したカランドリエの再起を図り、31の抹殺と二期生のデビューを画策していたが、構成員の1人である26にクーデターを起こされ壊滅、26をリーダーとした「円卓の騎士」に再編される。
なお、クーデターの発端となったのは26の除名処分の決定であったが、これは業界がその出自に見合わない26を処分対象に決めたために、26の命を守るためにわざと『業界』から追放することが目的という幼馴染の愛情故のすれ違いであった。
9(ノイン)
ペチュニアの騎士のリーダー。
警視総監の娘であり、自身もアイドル業界の秩序を守る警察を自負している。
相次ぐメンバー不足から研究生の選抜による新生カランドリエ計画を進めるが、そのテストとして31との対決を仕込み、31抹殺と31を超える実力者の選定を並行して行おうとする。
しかし、26の裏切りにより10、25が死亡した上で拘束され、見せしめに父を殺されてしまう。研究生を率いて31との対決に臨むが、そこで「秩序を守るための業界」ではなく「腐敗していようが業界を守ることが秩序」へと目的が逆転してしまっている矛盾を指摘され、打ち倒される。
その後、罪滅ぼしとして13と取引し26との最終決戦では31の側で参戦、ステージ上で隠蔽業界の闇を暴露し、26との確執も真相を明かし和解、26とともに『業界』の全ての犯罪を世間に公開した。
その後は殺人等への協力により逮捕され、一連の事件に関与した証人として取り調べを受けているが、数少ない31の敵として登場しながら最後まで生き残ったアイドルとなる。
26(ツムギ)
ペチュニアの騎士の一員だが、弱気な性格のために他の3人からいじめられている。
死体に怯える等、この作品に珍しくまともな感覚を持つ人物。
研究生を用いた計画での失敗の責任から33と組んでのクイズ対決への出演を強要されるが、33のイカサマがバレたことで敗北。危うく33とともに処刑されるところで脱出に成功するが、この件により除名処分を受けてしまう。
この件により吹っ切れたことで暴走し、25、10を立て続けに殺害、9を拘束し、新生カランドリエのセンターとして掌握し『絶対君主』として覚醒してしまう。
その正体はかつてのセンター11の異母妹であり、『業界』の情報管理担当として全てのデータを掌握している最重要人物。
彼女の覚醒により表裏ともに逆らえる人間は存在しなくなった。
一方で、情報操作とカランドリエ再編と31への最終処刑を並行して進めたために疲労が蓄積。あまりの仕事量から、合成やAIを駆使したテレビ出演を行うなど、1人で数人分の仕事をこなしてく。その無茶が祟り、次第に11の亡霊と会話するほどの不安定な状態に陥ってしまう。
再編した円卓の騎士も『鳥籠』組以外はまとまりが無いために立て続けに倒されてしまい、全ての手駒を失って31との直接対決に臨む。カランドリエ解散ライブでは、観衆の前で『鳥籠』にまつわる話題を明かしたり、下剋上を狙う地方アイドル達の醜さを利用して4を襲わせたりと31だけでなくアイドル業界そのものを終わらせるためのライブを展開。かつてとは比べ物にならない高い戦闘力も披露するが、駆け付けた13と9の参戦もあり形勢は逆転、31に敗れた末に、追放の真相を知り9と和解。
自らの管理するシステムを解放し隠蔽されていた全ての情報を公開し、全てに決着をつけた。
しかし、無理なスケジュールを続けたことで身体は限界を迎えており、役目を終えて安堵するとともに、9の背中で過労死により息を引き取った。
その後もあらかじめ用意されていたAIツムギが、独占しているチャンネル帯を用いて暴露情報の発信とそれを妨げる情報の監視を行い続けている。製作時期の都合か、AIは覚醒前の弱気な性格を再現したものとなっている。
研究生
文字通り、32番目以降の番号が与えられた研究生。物語の展開に伴い、死亡(表向きには休業や引退)したメンバーに変わってユニットに起用されるメンバーや、その座をかけた試練が描かれる。
正式ユニットに配属されて以降も、番号を振りなおすことなく引き続き使用している。
中でも、研究生の初登場エピソードにおいては31に憧れているアイドル研究生の6人組が登場。唯一名前が出ているのは、特に強く31に憧れている研究生の43(ヨミ)。(後にメンバーの一人の名前が65であることが判明した。)
業界の暗部を知らない、あるいはまだペチュニアの騎士の研修を受けていないが故に、メンバーは皆純粋で、他の登場人物達のような攻撃性や陰険さは見られない。(憧れの先輩の前だからいい顔しているだけで、実はそういう側面もあったのかもしれないが。)
カランドリエの反乱分子としてメイデンボヤージュに粛清されてしまう。
その後、ペチュニアの騎士による選抜メンバーとしてさらに登場。
こちらは先の5による掃除の対象になっていない=31に憧れではなく敵意を向けているメンバー達となっている。
43(ヨミ)
4に瓜二つの新人アイドル(本人談「4の髪型に合わせた」)。「~っす」が口癖の元気娘。
彼女と同時に選抜された研究生達は31に憧れてアイドルになった。31にとっては可愛い後輩達である。
それ故に31を危険視していた5の粛清のターゲットになってしまい、メイデンボヤージュから銃の乱射を受ける。
ほとんどの研究生達が殺され、43は31に庇われながら逃げたのだが、既に致命傷を受けていたため手当てをする術もなく、31の腕の中で命の花を散らしてしまった。死の間際、31への憧れと好意を吐露すると同時に「31と4のライブをもう一度見たかった」と言い遺し息を引き取った。
死後も31の怒りを刺激する大切な人物として記憶されており、彼女を冒涜した人物は総じて凄惨な最期を迎えている。
72(ナツ)
27に憧れていた新人アイドル。
9により27引退の真相を動画付きで知らされており、その仇である31殺害には誰より積極的で、研究生の中で真っ先に31を襲撃した。ビリビリする道具を駆使する。
「A=B B=C A=C はい論破!」の理屈を振り翳すが、ABCそれぞれに入る言葉は「ムカつく」等の感情でありそもそも式として問題がある。
積極的に『業界』の裏仕事を斡旋してもらっており、そうした裏家業にハマってより一層アイドルとしてのモチベーションが増した問題児。
主に掃除した死体の後始末を請け負っており、中でも仇敵31に憧れていた43を嫌っていたため、彼女の遺体を個人的に引き取り、グチャグチャに破壊してからガソリンをかけ燃やしている。
それにより31の怒りに触れ、さらにスタンガンへの知識不足で反撃を許し、お勉強として本物の電流ケーブルによるビリビリを受けて死亡した。
33(ミサ)
ボーイッシュなクイズ王。
アイドルというよりクイズ番組が本分で活動しており、無敗の正解率で天才として人気を博している。収録ではカメラの位置にうるさいらしい。
26と組んで31・4とのタッグでのクイズ対決に臨み、その最終問題で31への回答者指定問題で「人を殺したことがあるか?」と出題させ、正解を自白すれば犯罪者として人生終了、嘘をつけば不正解によりどのみち暴露された上で罰ゲームのプレス機で人生終了の罠をしかけた。
しかし31のとっさの機転によって罠を突破されてしまう。
実はクイズ王の称号は、番組側と事前に正解がわかるように仕込んであるヤラセであり、カメラ位置にうるさかったのはカンペが映ることへの心配のため。31の驚異の記憶力をもとに4に正解の法則性を見破られ、スタッフに扮していた13によりカンペが暴露され、直前の自身への質問であった「不正をしているか?」への「していない」という回答が不正解となり敗北。罰ゲームとしてプレス機により潰されて死亡した。
50(エッリ)
老舗ライブハウスの専属からアイドルに転向したゴスロリアイドル。
表向きには厨二病全開キャラとなっており強烈な言葉で喋るが、あくまでキャラ作りであり素は普通の口調。喫煙者。
4と性的関係になったと語り、31を4のストーカーだと煽り、隙をついてスプレーにより31の目潰しに成功。しかし、4への感情から暴走した31により目が見えないはずなのに猛攻撃を受ける。恐怖からこれまでの話は全て噓で自分こそが4の厄介ストーカーであった事実を自白。全て妄想で本当は4の現状を何も知らないことや、4は人質として身の安全が保障されていることから、31にとって用済みとなる。
逃亡を図るが部屋の外でバールを持って待ち構えていた13に足止めされ、スプレーで目が見えないからわからないという言い訳で31に目を抉られて自身も目が見えなくなってしまい、最終的に13のバールを拾った31に殺害される。
83(エイミ)、70(ビトゥ)、54(ゴヨウ)、68(リクハ)
役者出身のアイドルで、再編された円卓の騎士のメンバーに抜擢される。
役者のために演技にこだわりがあり、その道で来た自分達よりも素人アイドルが主演することが許せないとして、31主演作の撮影に介入し、9とともに31を撮影に乗じて葬ろうとする。
しかし9と31の一騎打ちは31が勝利した上に、9も言い負かされて改心。
自分たちで31を殺害しようとするも、改心した9との戦闘では実力差に圧倒され、バラバラに斬殺された。
外部出身
Sing^3(シング・シング・シング)
31の古巣である研究生3人組のユニット。カランドリエとは別の事務所。
「方言ギャル」と「猫耳メイドアイドル」というイロモノコンビとして活動し少しは知名度もあったところに、後から新人の31が加わって3人組となったが、2人体制を気に入っていたために31を快く思わずいじめていた。
小さなライブハウスや商店街での活動が主で、31のキャリアの始まりである。
徐々に実績もついていくのだが、実態はどんな曲でも一晩で完璧に仕上げてくる天才アイドルとして『名無しの魔女』(オールド・デビル・ムーン)と呼ばれていた当時の31の才能によるところが大きく、彼女がカランドリエに移籍したことでユニットは解散、残り2人は落ち目となった。
そんな2人もカランドリエ研究生となり、40(アマネ)、47(ヨナ)として31と再会。その際に過去の芸名では呼ばないでほしいと語っており、再登場後はお互いにカランドリエの芸名でのみ呼び合っている。
自分達より先に成功した31を逆恨みしていたが、4により、2人も31と同時にカランドリエオーディションを受けに来ていたが直前で棄権していたことや、あまりにもミスが多く31のフォローが無ければステージが成立していなかったことを暴露される。
なおも損害賠償等と称し31の命を狙うが返り討ちに逢い、31側からも二度と組む気の無い足手まといと言われてしまい、選抜から「降りる」と宣言。これにより31の手により崖から物理的に降ろしてもらうことになり、二人揃って人生からリタイアした。
鳥籠(バードランド)
円卓の騎士に抜擢されたメンバーの中で貴重な、仲間意識が強かったグループ。
最年長でリーダー格の32(ミツ)、子供のような小柄の96(クーロン)、左右で髪色が違う特徴的な見た目の41(シィ)、12・21のような一体感を持つ66(ムム)と99(クク)の5人組。
その正体は『鳥籠』と呼ばれる違法施設に拉致されたアイドル志望の子供達であり、カランドリエの二期生としてデビューする以前は業界人達から奴隷同然の扱いを受けており、受けていた待遇は31へのイジメ以上に劣悪である。
金を巻き上げる道具、権力者達の便所、そしてそれらの役に立たなくなれば殺処分と、あまりにも凄惨な闇を見てきたため、夢も希望も無くアイドルという存在に対する熱も冷めきっている。
生き延びるためには文字通り何でもするしかなく、辿ってきた経緯のために枕営業とか中古とかいう次元を超えている。幼少期を地獄で過ごした影響か、メンバー全員が『若さ』への執着が強い。
円卓の騎士結成を契機に、今度は自分達がアイドルという地位と、支配者不在となった鳥籠を使って『いじめる側』に回ろうと野心を抱いていた。
96は特殊メイクの特技により他人の顔を完璧に真似ることができ、31の両親や43といった故人を弄び31を罠にはめたが、これが逆鱗に触れたために、直接的な危害は一切加えてない裏方にもかかわらず、バールで顔面を「特殊メイク」された末に溶鉱炉に投げ込まれる凄惨な最期を迎えた。
41、66,99は31に対する悪口を言ったことで13の逆鱗に触れ、『鳥籠』の隠しコマンド処刑装置を起動され呆気なく死亡。残る32も13と9により殺害された。
本作のアイドルの大半は自らの歪んだ欲望のために暴走し野心を抱いているが、彼女達は犯罪被害で全てを失い這い上がろうとしていただけであり、歪んだ経緯も含めある意味で31以上の被害者である。
しかし、『鳥籠』そのものを完全に破壊する13の計画においては、『鳥籠』を掌握し利用しようと考える彼女達もまた終わらせねばならない存在であった。
メンバー以外の関係者
ミイちゃん
31に懐いている野良猫。31周りでおきる陰謀のために一緒にいられないことや猫質に利用されることも多いが、最後まで無事に生存し31と再会している。
『太陽女神』ミィ
カランドリエよりも前の世代に絶大な人気を誇った天才アイドルにして、本編時代まで続くアイドル神話の火付け役。
今なお「アイドルの神」として語り継がれている。
人気絶頂でプロデューサー(31の父)と電撃結婚し引退するが、これが全ての事件の発端となってしまう。
31の母のかつての姿。4達も当然彼女のことは知っていたが、母の名前や旧制は知らなかったため、31とミィの関連には気づいていなかった。
31の幼少期の記憶の一部を消した件等もあり、一連の事件を把握した上で決着のために見過ごしており、96や12・21を利用して夫ともに自らの死を偽装して隠れていた。
『月光蝶』レイ
カランドリエよりも前の世代に絶大な人気を誇った天才アイドル。
芸能一族のエリートでありながら、同じ時代にミィという天才が現れたために、唯一無二の存在にはなれなかった。ミィと1999年7月に1週間ライブで闘い続ける「神々の黄昏」を行うも敗北。直後にミィは入籍・引退してしまい、ミィが既婚の中古アイドルになってもなお彼女の伝説に負けたままの永遠の二番手になってしまい、ミィとその娘への復讐のために生きてきた本作の全ての元凶。
後に13となる少女を利用して31を『鳥籠』に拉致し「愛玩道具」にしようとするが、この一件がもとで31の中に眠っていた殺人鬼(あるいは復讐魔)としての才能を覚醒させてしまい、彼女に全てのアイドルをぶっ殺してやるという狂った夢を植え付けてしまう。
※なお幼少の11と一緒に過去の鳥籠の場面に登場しているが、本人は『現役アイドル』を自称していたため関係性は不明。(仮に結婚・出産などがあった場合、アイドルとして活動を続けることは困難であると思われるため。)
関連タグ
アイドルマスター、ラブライブ、プリパラ………上記(※一部を除く)とは異なり大変まじめにアイドル活動を行っている彼女たち。
お金呉像の集金マシーン………アイドルたちを『兵隊』『スタミナポイント』呼ばわりし、何十何百稼いでいるにもかかわらず週休たったの千円しかくれず、終いには過労で倒れたらまた何も知らない新入りをオーディションでかき集めるといったカランドリエとはまた違った意味でヤバいアイドルグループである。………………色々やった結果、最終的に675兆円(日本のGDPの13倍)稼ぐのもなかなかぶっ飛んでいる。
(安い賃金、過労のせいで万引きしてしまったメンバーに対して)
『知らないしこの人 正直初めて見た』
(採用した子の顔・名前すら確認してない)