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魔少年ビーティーの編集履歴

2023-03-12 13:39:22 バージョン

魔少年ビーティー

ましょうねんびーてぃー

荒木飛呂彦の漫画作品。「週刊少年ジャンプ」の1983年42~51号に連載。コミックに記されているサブタイトルは「COOL SHOCK B.T.」

概要

荒木飛呂彦が初めて本格的に連載した漫画である。全5エピソードで単行本は全1巻。ほか、連載前に掲載された読み切り版が『荒木飛呂彦短編集 ゴージャス★アイリン』に収録されている。


ストーリーは、麦刈公一という少年の視点から、友人ビーティーの巻き起こした(或いは公一共々巻き込まれた)様々な事件を紐解いてゆくものとなっている。



登場人物

ビーティー

本作の主人公。読み切り版の公一の弁によれば、年齢は12歳。

成長期前なのか、小柄で体格的に恵まれている方ではないらしく、エピソード中『チビ』と罵声を浴びる事もザラである。しかし鋭い頭脳と器用な指先に、上級生やオトナを敵に回しても怯む事の無い豪胆さ、そして自らの行動に罪悪感を一切感じない悪魔的精神を併せ持っている。事件のさなかで対立した相手には、手品やトリックで惑わしながら応戦する。時折、自分の耳を撫でる癖があり、公一いわくこの時は「気兼ねや良心といったものがまるでない考えをしている時」だとの事。


ビーティーとは彼のイニシャルB.T.からつけられた仮称で、本名は明かされない。


連載版初回サマーキャンプ事件の時点では、公一の通う学校へ転校したばかりだった。キャンプ中のとある出来事により、公一に信を置くようになる。


特技は手品。公一と初対面した時に、ピンポン玉を口から多く出すマジックを披露した。読み切り版でファーストフード店に入っていた時も、コインとハンカチを用いたマジックを公一に披露している。


化石や標本を集めるのが好きで、恐竜の化石を展示中のデパートから盗み出そうとするエピソードもある。また、自宅の自室にはコレクションを並べた棚があり、化石や標本に加え、人形や鉱石やミニチュアのギロチンなども並んでいる。


自分にとって無関心だったり無関係な人物だったら、どうなろうが構わないと考えている節がある。読み切り版でも、想いを寄せる人に殺人の容疑が掛かっている事に関し、

「(無罪の証拠が無かったら)でっちあげるさ。どっかのだれかを、むりやり身代わりの犯人にしてやる

と、言い放っている。


しかし同時に、自分の家族や友人に対しては大切と考えており、公一に対する友情も本物である。劇中では彼を利用したり陥れたりする事はせず、トラブルのさなかで公一が窮地に立たされた際には、親友に手をあげた事に対し語気を荒げて非難する様子を見せていた。

また、公一の家が乗っ取られそうになった時には、とあるトリックで麦刈家を救っている。


後年の荒木作品に出て来た言葉で例えるなら、「漆黒の意志」を秘めていると同時に「友情」を大切にしており、単純に善悪で測りきれないキャラとなっている。


髪の色は、本誌掲載時や1984年発売の単行本ではブロンドカラーに近かったが、2000年に発売された集英社文庫版表紙では紫になっており、その為かPixiv上でもカラーリングは概ねこの二系統に分かれている。


先述の短編集ゴージャス★アイリンの空きページにてリアル調に描き下ろされたビーティーのイラストがあるが、後発作品の名悪役と酷似したものとなっている。


麦刈公一

本作の語り部で、天然パーマの平凡な少年。行く先々でビーティーの引き起こす事件の巻き添えになるなど、度々痛い目にも遭っているが、その智謀により苦境から救われる事も多く、ビーティーのことは1人の友人として大切に思っている。


ルックス・性格・語り部ポジション・名前の読み方など、数多くの共通点がある為、後発のジョジョ第四部ダイヤモンドは砕けないに登場する広瀬康一のモデルは彼なのでは、と推測する声も上がっている。


おばあちゃん

海外に居るため家を留守にしているらしい両親に代わり、ビーティーの世話をしている老婆。


ビーティーすらも彼女の素性のすべてを把握していないという、謎の多い女性。きな臭い組織とも関わりがあるようだ。また、ビーティーのイタズラを咎めるどころか寧ろ奨励しているような素振りも見せている。

黒メガネをかけており、その眼差しは劇中では明らかになっていない。


エピソード一覧

読み切り版「有罪くずし事件の巻」

第1話「サマーキャンプ事件の巻」

第2話「イタズラ死体事件の巻」

第3話「おじさんX事件の巻」

第4話「恐竜化石泥棒事件の巻」

第5話「そばかすの不気味少年事件の巻」


各エピソードに登場するゲストキャラ


読み切り版

  • コイン勝負を仕掛けた学生

ビーティーに賭けで勝負を挑む。

冒頭僅か4頁のやり取りだが、その顛末はビーティーが如何なる少年であるかを読者の心へ鮮烈に刻み込む。

  • 中川冬子

ビーティーが密かにあこがれている年上(15歳)の学生。公一いわく、完璧な魅力を備えたミステリアスな少女。

後述のルポ・ライター殺害の容疑をかけられる。

  • ルポ・ライター

中川冬子の学生証を拾い、彼女を自宅に呼び出した。学生証の写真から冬子を気に入り、そのまま手籠めにしようとするも、抵抗されハサミで背中を刺される。

  • 公一の叔父

ルポ・ライター殺害事件の現場に出向いていた、警察(サツ)回りの新聞記者。ビーティーに取材した情報を流す。

  • 刑事

事件を担当した刑事。冬子の尋問も行った。その際に用意されたコーヒーを下品に飲んでいた。


第1話

  • 黒山

サマーキャンプに参加した乱暴者の生徒。女子達にちやほやされるビーティーに嫉妬し、薪を運ぶ彼の足を引っかけて転ばせる。その際自分たちの薪も運ばせようとしたが、それを断ったビーティーを赤川と2人がかりで暴行する。

嘘の情報で他の生徒を泣かせたり、仲間の赤川に対しても水着の中に羽根をむしったトンボを入れるなど、他者への迷惑行為を好んで行う。

  • 赤川

眼鏡をかけており、黒山といつもつるんでいる。しかし雑用を押し付けられたり、上述のようなイタズラに遭うなど、対等の関係性ではないらしい。


第2話

  • 伊達

ビーティーと公一が通う学校の生徒会長であり、剣道部の主将。実家は寺で、資産家。成績優秀で、周りからの信頼も厚い。

公一いわく「音楽の才能はポール・マッカートニー並み。ジェームズ・ディーンみたいにハンサムで、ユーモアのセンスはウッディ・アレン並み。」と、絵に描いたようにオールマイティな人物だが、人格に難があるらしく、見下した相手を害するような言動をとる事がある。

  • 二の森

剣道部の部員で、ビーティーと公一の上級生。部活で後塵を拝している為、伊達を快く思っておらず、ビーティーの話に乗って伊達に制裁を加えようとする。

  • 兵頭天妃子

ビーティーが想いを寄せている上級生の美少女。伊達と親しく、ビーティーはその点からも伊達に恨みを募らせていた。


第3話

  • おじさん(本名不明)

ビーティーと公一が、山奥の湖にて出会った中年の男。最初はにこやかに接近するが、少年達に付き添いの者がいないと知るや態度を豹変させ、コートの下に着込んだナチ風軍服を露わにする。そして自らを「強制捕虜収容所の所長」と名乗り、ビーティー達をスパイだと言って縛り上げるのだった。

普通の会社員で妻子ある身らしいが、時々人気の無いこの場所に来ては、サディストの軍人になり切って、犬猫相手に「遊んで」いたらしい。偶然見つけたビーティーと公一を、今回の遊び相手としたが……。

  • 曹長(本名不明)

上記おじさんに付き従う、大柄な男。乱杭歯で、知性をあまり感じさせない顔立ちをしている。彼もまた軍服に身を包み、おじさんから「曹長」と呼ばれていた。

ビーティーと公一の自転車を分解した後で、おじさんの「遊び」につき合い、二人をロープで縛り上げた。


第4話

  • 西戸

恐竜化石展を開催していた、とあるデパートの警備員。展示品の窃盗目的で侵入したビーティー達と対峙する。

一介の警備員でありながら、バックヤードで遭遇した公一を相手に「このデパートの影の支配者」と自称したり、公一が怯える様を愉しむなど、言動に異常性がにじみ出ている。

  • おばあちゃんを訪ねた女性(名称不明)

冒頭で、ビーティーの自宅に彼のおばあちゃんを訪ね、そのまま帰宅した女性。

実はある組織の人間らしく、とある事件の証拠を見つけるために、おばあちゃんに相談していた。

デパート内でも、ビーティーおよび公一と鉢合わせしている。


第5話

  • 公一の両親

父親は眼鏡をかけた、穏やかな中年男性。自宅から、ビーティーとともに車でピクニックに赴こうとした際、バック中にマナブにぶつけて怪我をさせてしまう。ビーティーに「いちおう(警察に)届けたほうが良いのでは?」と言われても、事を荒立てたくないのか、誤魔化そうとしていた。

母親は髪を後ろでまとめた女性で、眠っているマナブの事を「カワイイ」と言っていたが、料理にケチを付けられ、物を壊され、散々な目に合う。

  • タロー

麦刈家の飼い犬。賢く、人の合図を理解し「ストロベリー・ジャム(伏せ)」「アップルジュース(前転)」「バナナパン(飛び出せ)」など、食べ物のキーワードで命令を聞く。

マナブとの賭け代にされてしまうが……。

  • マナブ

そばかすだらけの少年。苗字は不明。陰のある顔からは不気味な雰囲気を漂わせている。

出庫中の車にぶつけられ軽いけがを負うも、「病院は嫌いだが、休みたい」と申し出て家の中で休み、目覚めたら昼食の席に勝手につく。その後も家に居座り続け図々しい態度を徐々に露わにし、ついには麦刈家の物品を我が物顔で漁りはじめる。

  • マナブの家族

母親、父親、兄と姉、祖父の、5人の男女。元気になったマナブを引き取りに訪れたのかと思われたが、彼らも麦刈家に居つき始め……。



後の荒木作品との繋がり

初期の荒木作品であるため、絵柄やコマ割りなどが現在の作品とはかなり異なっている(どちらかというと、当時の漫画界の重鎮であった手塚治虫石ノ森章太郎などに近い)ものの、独特の擬音や不気味さ、単純な力押しでは終わらない頭脳戦など、後の「ジョジョの奇妙な冒険」に繋がる要素が早くもあちらこちらに見られることがわかる。


バイオレンス色の濃い「バオー来訪者」に並び、ジョジョのルーツともいえる作品かもしれない。



余談

  • 主人公イニシャルB.T.の由来については幾つかの作者コメントがあり、「特にモデルはなく、語感でこうした」と言う趣旨の物もあれば、後年では「漫画家の寺沢武一から採った」と言う物もある。
  • 作者の映画遍歴に影響されていると思われるキャラや描き込みが散見される。特にイタズラ死体事件の巻では、表紙や腹話術人形のデザインに時計じかけのオレンジへのオマージュらしきものが見て取れる。
  • 意図は不明だが、いくつかのエピソード中に『3-D』と言う文字が目立たないように書き込まれている。
  • 頭数や体格差に頼り、暴力でビーティー達を一時的にねじ伏せたキャラは複数名存在するが、最終話に登場した不気味少年ことマナブはビーティーの本領である権謀術数で単身渡り合った唯一のキャラである。作者いわく「ビーティーに匹敵する能力を有する不気味少年の登場したエピソードは、評判が良く、『敵』『ライバル』の重要さを学んだ」とのこと。
  • 2021年10月発売のウルトラジャンプ11月号に、60年後を舞台にした読み切り「魔老紳士ビーティー」が掲載されている。原作は西尾維新、作画を出水ぽすかが担当し、扉絵は魔少年ビーティー単行本の表紙絵を踏襲したレイアウトになっている。

関連タグ

荒木飛呂彦

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