概要
デビューは『少年探偵ロック・ホーム』(1949年)。手塚史の初期から末期まで手塚スターシステムの主要キャラクターとして活躍した「俳優」のひとり。
手塚史の初期では少年のキャラクターであったが、中期以降は主に成長した青年の姿で活躍している。手塚が劇画の影響を受け作風を変容させるとともに善役のみならず悪役キャラクターにも起用されることが多くなり、手塚作品の名脇役として人気を博す。
作品によって役割はさまざまだが、初期のロックは善良ではあるが繊細な美少年として描かれ、「少年の純粋さ」を体現していた同年代キャラのケン一(敷島健一)とは対照的に悲劇や挫折といった作品の陰の側面を負わされることが多かった。後年に描かれた青年キャラとしてのロックは、多くの場合どこか陰のある葛藤を抱えた人物として描写される。『バンパイヤ』における間久部六郎のように悪の美意識を貫く魅力的な悪役キャラクターとしての活躍が印象強い。
初期の手塚作品において、ごく普通の古典的な少年キャラとして描かれたケン一が、次第に多様化していく善悪の価値観の流れの中でフェードアウトしていき、主要な役柄としての活躍の場を失っていったのに対し、アメリカ風のスマートな少年として生まれたロックは青年に成長するとともに絢爛たる悪の華としてそのキャラクター性を開花させ、手塚史の最後に至るまで活躍するキャラとなった。
基本的な容姿は黒髪と黒いスーツ。それにサングラスをかけていることもある。
ロック・ホームの名は世界的名探偵のシャーロック・ホームズをもじったもの。間久部の名はシェイクスピアの戯曲『マクベス』に由来する。