概要
クレジットカード、デビットカード、電子マネー、口座振替のほか、小切手、約束手形の振り出しといったアナログな手法も含まれる。海外では偽札が多く出回っている国もあり、高額紙幣の支払いを避けるという意味で、かねてから広く普及している。
日本では現金に信頼があるのでキャッシュレス決済比率は低いが、クレジットカードの所有率は高い。交通系ICカードは子供でも持っている。スマホアプリのコード読み取り型も増加している。
利点
消費者・店舗
- 支払いが手早く済む。財布が嵩張らない。
- 他国通貨の両替の手間が省ける。
- 偽札の心配がない。
- ネット売買の決済の手間がかからない。
- 多額の現金を持ち歩くことによる盗難・紛失リスクの軽減。
- 紛失時の利用停止、不正使用などが起きた場合の補償(ただしこれは後述の欠点にもつながる)
企業
- 収支が記録される為事務処理が楽になる。
- 現金の保管や運搬などの手間が省ける。
- 割引制度などを導入しやすい。
行政
- 脱税や詐欺など経済系の犯罪抑止。
- 国民の使う公金受取口座の手続きが簡易化。
欠点
消費者・店舗
- スマホのバッテリー切れ、故障、破損により使えなくなる。
- 貨幣がない為いくら使ったかの実感が湧かず無駄遣いしてしまう(プリペイド方式で使える金額を制限することもできる)。
- サービスを利用するためにスマホやカードの料金が必要になる。
- カード式の場合残高の確認がしにくい(現在はスマートフォンのアプリと併用することで解消しつつある)。
- 払い間違いなどの場合返金手続きが面倒になる。現金で返金したほうが簡単なことも。
- 不正使用、不正アクセスによる身に覚えのない買い物(顧客は損した分補償される場合もある)。
- 不正使用による損失を負担しなければならない。すべてカード会社が負担していると思っている人も多いが、店側が負担しなければならないケースも多々ある。
- 二重決済などの支払いミスが起こりうる。
- 通信事業者側の機器の障害や機械が使えない状況下では支払いが出来ない。
- 事故、天災、テロに弱い(実際に北海道胆振東部地震では停電により支払いが不可能な状況になった)。
- 誰が何を買ったか記録が残るため情報の悪用や流出などが起こりうる。
- 互換性のない支払い方式が乱立しがち。
- 戸籍がないなど特殊な事情を抱えた人が利用できない恐れがある。
- お賽銭や祭事など、現金を使用した伝統が廃れる可能性がある。ただし最近ではお賽銭もキャッシュレスでできるところもある。
- 現金ではありえない意外な方法での金銭系の犯罪が起こる。例えば「支払い用のQRコードの上に別のQRコードを貼り付ける」「店頭では1万円と表示されているのにカードで支払ったら100万円引かれた」など。治安の悪い国で起こりがち。防犯のために現金より複雑な知識が必要になる。
事業者
- 対応機器の費用や決済事業者に支払う手数料がかかる。キャッシュレス導入を見送っている事業者の多くはこれが理由。
- 決済から入金されるまでに時間がかかる。
- サイバー犯罪によって現金ではありえないような大きな金額が奪われてしまう恐れがある。
国家
- 国による貨幣流通量のコントロールがしにくくなる恐れがある(実際にそうなるかは不明)。
- Apple・Googleからアプリが閉め出されたり、クレジットカード会社から締め出されたりすると使用困難になる(ウクライナ侵攻の際のロシアの例)。