概要
睡眠導入剤のこと。緊張を和らげ、心を落ち着かせて眠りを誘う薬。
その用途故に古今東西ありとあらゆる犯罪に使用され、中毒性の高さゆえに大量に服用すれば死に至る可能性もあるため、使用には制限が科せられることが多い。ただし、現在流通しているものの多くは適切な用法・用量を守って利用すれば依存性・耐性ともに形勢されにくく、過度に警戒する必要はない。睡眠障害により苦しんだり、アルコール等に頼るより(いわゆる寝酒は睡眠薬使用よりたいぶ危険)、医師に相談するのが良い。
種類
- バルビツール酸系
ラボナ、ベゲタミンなど。非常に古い歴史のある系統だが、効果は絶大、依存性も強大。「飲む拘束衣」とも呼ばれていた。
現在ではほとんど使用されない。
- ベンゾジアゼピン系
デパス、レンドルミン、ジアゼパムなど。抗不安薬にも用いられ、現在最もよく使われている系統。比較的安全性が高く、依存性も低いとされるが、長期間の連用は避けることが望ましいのは言うまでもない。
作用時間こそ違えど、催眠効果自体にほとんど差違はない。が、ロヒプノールとハルシオンは他に比べると強力であるとされる。なお、ロヒプノール(別名サイレース、正式名フルニトラゼパム)はアメリカ等では違法薬物に指定されているため、海外旅行に行く場合は注意。
また、手術や検査前に患者の不安をおさえて眠らせるために静脈注射によってドルミカムを用いることがある。静脈注射だからか、信じられないくらい速攻で眠る。
BZ系と略す。
- 非ベンゾジアゼピン系
マイスリー、アモバン、ルネスタ。ベンゾジアゼピン系は精神安定剤としての作用も持ち合わせているが、非ベンゾジアゼピン系は催眠に特化している。これも比較的安全性が高いとされているが、異常行動の報告されているマイスリーや、苦味が朝まで続くアモバン・ルネスタとクセの強い薬ばかり。
非BZ系と略す。BZ系と合わせてGABA受容体作動薬とされることもある。
- メラトニン受容系
ロゼレム。メラトニン受容体に作用して、体質改善を目指すもので、安全性は非常に高いが、効果が出るまでかなりの時間を要する。
- オレキシン拮抗系
ベルソムラ。脳の覚醒を維持させるオレキシン受容体への神経伝達物質をブロックすることで、即効性もまずまずで、依存性も低いとうたわれている。
が。ナルコプレシーを発症したり、自殺念慮の副作用などの報告もあり、充分注意が必要。
特徴的な副作用として悪夢があり、発現頻度が他の睡眠薬に比べて高い。
睡眠改善薬
ドリエル、ネオディ等。医師の処方箋を必要とせず、ドラッグストアで購入が可能なもの。
これらは上述の睡眠薬とは大きく効果が異なり、ストレスや外部的要因による一過性の不眠状態に対し、眠りを誘発する作用を持つに留まる。
疾患性のある慢性的な不眠症に対してはほとんど効果が見込めない。
これらの睡眠改善薬は、例えば風邪薬などを利用した際に眠くなる副作用を逆手にとり、眠くなる効果に特価した薬剤である。そのため、「眠くなくて眠れない」人には効果があるが、「眠いけど眠れない」不眠症の人には効果がない。
抗うつ剤
抗うつ剤の中には眠くなる副作用作用が強いものが存在している。しかし基本的には抗うつ剤は鬱状態に作用する薬であり、眠くなるのは付随的なもの。
上記睡眠改善薬と同様、作用順序を利用してBZ系睡眠薬等が効きにくい患者に処方することがある。
特に「夜の抗うつ剤」の名で呼ばれるテトラミドは催眠作用が非常に強いとされている。
関連項目
中野二乃 作中で2度使用した場面がある。