The Dawn of a New Chronicle.
概要
対応ハードはPlayStationPortable。発売日は2006年10月26日。開発はアクセスゲームズ。
シリーズでは国内初の携帯ゲーム機向け作品である(海外では『ACE COMBAT ADVANCE』が発売されている)。
サブタイトルの「Skies of Deception」は「偽りの空」を意味する。
音声は据え置き機の過去作品とは異なり英語オンリー。字幕は日本語・英語のほかドイツ語・フランス語・スペイン語・イタリア語・韓国語の計7か国語対応。
Strategic AI System
本作独自のシステム。プレイヤーはユジーンから提示されたいくつかの目標を選択してミッションに挑むが、選択した目標次第で敵国であるレサス側も活動する。空中戦艦が友軍を攻撃するために移動したり、こちらの隙を突いて戦車隊が石油コンビナートを制圧したり。
そのためステージ分岐が数多く存在する。
機体カスタマイズ
本作では隠し機体ではない通常の架空機も多く登場しており、これらの機体はカスタマイズが可能。パーツを追加装備して性能を向上させることが出来る。
特定のステージの特定の敵機を撃破するとそれぞれの架空機専用のパーツが手に入る。
備考
本作の時代設定は2020年となっているが、『7』公式サイトの年表には記載されていない。
ストーリー
2020年、南オーシア大陸のオーレリア連邦共和国は、国土の大半が寒冷地という環境ながら高い技術力と豊富な地下資源で繁栄を遂げていた。
しかし長年にわたる内戦で疲弊していた隣国のレサス民主共和国が「長年友好国を装い搾取を続けてきたオーレリアへの報復」の大義名分を掲げオーレリアへ宣戦布告。強大な軍事力によりオーレリアの国土の95%を瞬く間に占領してしまった。
最後の砦となったオーブリー基地にも戦略爆撃機隊を差し向けるレサス軍。基地所属のオーレリア軍の航空隊グリフィス隊が迎撃のために飛び立つ。
そのころ環太平洋戦争の真実を見届けたジャーナリストのアルベール・ジュネットは、レサスの手に落ちたオーレリア首都グリズウォールでもはや先の見えた戦況と南国の熱さに辟易しながら取材を続けていた。
グリズウォールの超高層ビルガイアスタワーではレサス軍最高司令官のディエゴ・ギャスバー・ナバロ主催の豪華なパーティーが連日のように開かれていた。そこで記者仲間から出されているワインの値段が一般的なレサス国民の年収の数倍に当たると聞いたジュネットは、疲弊した国情に不釣り合いなほどの軍事力を有するレサスに疑問を抱き、本格的な調査を始める。
登場人物
オーレリア連邦共和国
プレイヤーキャラクター。オーレリアの西端・オーブリー基地に所属する航空隊の隊長。詳細はリンク先記事参照。
- リック
グリフィス隊2番機。階級は中尉。
新人のユジーンに気さくに接したりと隊の良き兄貴分であった様子。
しかしグリフィス1と共にオーブリー基地に飛来した爆撃機隊を迎撃した後、グレイプニルのSWBM攻撃を受けて戦死してしまった。
- グリフィス5
グリフィス隊5番機。
他のグリフィス隊隊員と共に爆撃機隊の迎撃に上がり、グレイプニルのSWBM攻撃を受け機体が損傷するもかろうじて生還する。
…のだが以後の登場は特定のステージで撃墜され脱出する音声が流れるだけのモブキャラである。
管制を担当する通信士。コールサインは「クラックス」。歴代シリーズにおけるAWACSに相当するポジションだが、機体には乗らず地上から管制している。
詳細はリンク先記事参照。
グリズウォール解放後の戦闘で共闘するオーレリア軍のパイロット。息子がグリフィス1の大ファンと語っている。
前日譚となる『エースコンバットXi』の主人公と同じコールサインだが同一人物かは不明。
レサス民主共和国
- ディエゴ・キャスバー・ナバロ
レサス軍の最高司令官。長年にわたるレサスの内戦を終結させた英雄でもあるが、国内の軍産複合体の中心人物という裏の顔を持つ。
- フランク・バーリントン
空中要塞「グレイプニル」の艦長。本編では名前は登場せず公式サイトのナバロの回顧録に記載されている。
レサスによるオーレリア侵攻の一週間前に任命され、グレイプニルの性能を想定以上に引き出す。
その他
- アルベール・ジュネット
『5』にも登場した新聞記者。環太平洋戦争から10年が経過したこともあってだいぶ老け込んだ様子。
「World Times」誌の特派員としてグリズウォールに派遣され、戦争の真実を探っていく。
用語
国家
- オーレリア連邦共和国
オーシア大陸の南半球側・南オーシア大陸南端の国家。首都はグリズウォール。
国土の大半が寒冷地という厳しい環境だが、豊富な地下資源と高い技術力で繁栄を遂げていた。
- レサス民主共和国
オーレリアの東部に隣接する国家。首都はアレンダル。
長年にわたる内戦で疲弊しており、オーレリアからも多額の経済支援を受けているが、国民生活は困窮しており支援の実態さえ明かされていない。
その状況に反比例するように軍事力を増大させている。
部隊・組織
- グリフィス隊
オーレリアの最西端・オーブリー空軍基地に所属する航空隊。エンブレムは南十字星をくわえた笑顔のハゲワシ。エンブレムの考案はリック中尉で、「すごい視力で空から獲物を狙うハゲワシのように目を光らせ、どんな緊迫した状況でも笑っていられる余裕を持つ」という意思を込めているという。
僻地に位置することから基地周辺に民家が少なく、頻繁に訓練を行っていたことから練度も高いが、戦略的に重要な場所ではないとされてきたためか旧式のF-4E戦闘機6機で構成されていた。
- デイビス隊
オーレリア軍の機甲部隊。オーレリア南東部の交通の要衝・サンタエルバを奪還するべく進軍していたが、グレイプニルの攻撃により中南部の渓谷地帯スタンド・キャニオンに追い詰められてしまう。
- オーレリア解放同盟
オーレリア軍の反攻作戦に触発されて結成された愉快なヤツら。構成員の士気は極めて高いが、構成員のほぼ全員が一般市民で軍との連携も取れていない素人集団。
- アレクト隊
レサス本国に駐留するレサス軍最強と謳われるエース部隊。ナバロ直属の精鋭部隊であり、ナバロから直々にグリフィス1撃墜任務を与えられ、新型攻撃機フェンリアを受領するためにアーケロン要塞に向かう。
選択次第では受領に向かうアレクト隊と交戦することになる。この時点では6機のS-32で構成されている。すでにグリフィス隊と交戦している友軍部隊に「俺たちの邪魔をするな」と辛辣な言葉を浴びせるなど高圧的な人物。
ここでのアレクト隊との交戦を回避するとアーケロン要塞でフェンリア4機を受領したアレクト隊と交戦することになる。
- ミラー隊
オーレリア西部・キングスヒルに展開するレサス軍機甲部隊。オーレリアに奪還されたオーレリア西部の補給拠点パターソン港の再占領を狙う。
選択次第ではグリフィス隊の隙を突いて本当に再占領に成功。パターソン港で交戦することになる。
- ハムレット隊
化学戦を専門とするレサス軍の特殊部隊。化学兵器「サイノクリン」を使用する。
- スキュラ隊
オーレリア最大の航空基地・サチャナ基地に駐留するレサス軍の精鋭地上部隊。対空攻撃のエキスパートとされ多数の対空車両を保有するほか、地対地ミサイル車両を用いた地上攻撃や工兵車両による特殊破壊工作も行う。
兵器
エルジア共和国の航空技術の粋を集めて開発された可変翼ステルス戦闘機。
詳細はリンク先を参照。
オーシア連邦の巨大企業「ノースオーシア・グランダーI.G.」によって開発された戦略レーザーシステムを有する戦闘機。
詳細はリンク先を参照。
「究極」という開発コンセプトのもと1機のみが試作され、ユージア大陸紛争に投入されたとされる謎の大型ステルス戦闘機。
詳細はリンク先を参照。
- XFA-24A Apalis (アパリス)
高い汎用性を目指して開発されたカナード付きダブルデルタ翼機。低コストで高い信頼性と優れた整備性を誇り、燃費に優れた双発エンジンと相まって優れた運用性を誇る。
ダブルデルタ翼による高い積載量のみならず3次元ベクタードノズルによって戦闘機と格闘戦を繰り広げられるほどの運動性を有するマルチロール。
専用パーツは地形解析システム「アースシェイカー」。
- XR-45 Cariburn (カリバーン)
多国籍企業体の航空機部門が次世代戦闘機の実験機として開発した機体。
COFFINシステムを始め、前進翼や特殊カナードによるエンテ形、2次元ベクタードノズル付高出力双発エンジン、主翼の付け根に合計2丁内蔵された機関砲など意欲的な設計が特徴。
格闘戦性能は高いが特異な形状故に空力特性が悪化し、最高速度は控えめ。
実験機でありながらオーレリア戦争で投入された理由は企業によるデータ収集が目的だったのではと推測されているが詳細は不明。
専用パーツは軽量化エルロン「シルフウィング」。
- YR-302 Fregata (フレガータ)
低高度からの対地攻撃を主眼とした4発エンジンの大型攻撃機。
カナード付きデルタ翼とCOFFINシステム、左右一組ずつ上下に重なるように配置されたエンジンが外観上の特徴である。
重装甲に重武装、4基の2次元ベクタードノズル付エンジンのおかげで機動性は高いが、大型のエンジンと燃料タンクにより内部機器の容積は圧迫されており搭載された電子機器は必要最小限のものになっている。内部レイアウトも煩雑で整備性は悪く、航続距離も比較的短いとされている。
専用パーツは4基連動型大出力エンジン「ハイドラエンジン」。
- YR-99 Forneus (フォルネウス)
次世代戦闘機のプロトタイプとして開発されたマルチロール機。台形ノズルの2基のエンジン、浅めの後退角の主翼、ラダーベーダー方式の上反角の付いた全遊動式V字尾翼が特徴。
素材の段階から軽量化が施され、主翼は「呼吸する翼」の異名を持つ層流制御翼。素材と電子機器を利用したステルス能力など先進的な技術が用いられている。
しかしこれらの先進的技術により製造コストも増大し、量産化の目処はついていない。
機体形状などが『エースコンバット3』のR-101デルフィナスと共通する要素が見られ、一部エースたちの間で同機のプロトタイプなのではないかと噂されている。
専用パーツはステルス性能を向上する「新世代レーダー拡散コート」。
- XB-337 Gleipnir (グレイプニル)
レサス軍の誇る超大型戦略飛行艇。しばしば「Airborne Fortress(空中要塞)」と呼ばれる。光学迷彩含む高いステルス性や空域制圧用衝撃波ミサイル「SWBM:Shock Wave Ballistic Missile(衝撃波弾道弾)」、近距離衝撃波砲「ショックカノン」によってオーレリア軍を追い詰めた。
終盤にて大型機らしからぬ挙動で砲撃を行う際、乗組員が《な、なんだ、ウワー!》と阿鼻叫喚する様子は度々ネタにされる。
- XFA-33 Fenrir (フェンリア)
グレイプニルのデータをもとに開発され、アーケロン工場要塞で製造が進められていた特殊大型VTOL攻撃機。
- サイノクリン
本来は工業用の薬剤として開発された化合物だが、大気中の酸素と反応することで毒性が生じる。
ただし兵器レベルとしての毒性に至るには3分ほどの時間が必要で化学兵器としては即効性に欠ける。
中和剤を散布することで中和が可能だが、この中和剤は高い発火性があるため中和作業は困難を極める。
- ネベラジャマー
レサス軍の超広域ジャミング施設。もともとは気象観測用施設としてグリズウォール南西のネベラ山に建設されていたもので、これを接収したレサス軍が自国で開発したジャミング機器を持ち込んだ。
効果範囲は半径1200kmに至り、重要拠点を電波妨害で守っている。
さらに超高性能の対空防衛システムも配備されており航空攻撃による破壊は困難である。
しかし施設を増強した関係で消費電力が増大しており、近隣の発電所から電力供給を受けることで活動を維持している。
- メソンカノン
オーレリア首都グリズウォールの旧市街地区周囲に位置するサイクロトロン施設「アトモスリング」に建設された中間子ビーム砲。
レサス領ダナーン諸島に位置するセントリー島に極秘に建造された要塞。フェンリアの製造工場を兼ねており、島内にはフェンリアの装備用の電力をマイクロ波で送電する供給施設が設置されている。
要塞上部にはグレイプニルのショックカノンと同型の衝撃波砲が設置されている。