本来の意味
高所にある神社・仏閣などに通じる2本の坂道のうち、急なほうの坂。対義語は女坂。
伝説の少年漫画のほう。
オレはようやくのぼりはじめたばかりだからな このはてしなく遠い男坂をよ…
燃えろオレの右腕よ!
『リングにかけろ』『風魔の小次郎』と立て続けにヒットを飛ばし、鳥山明をして
「いつもトップ!凄い人ですね車田正美ちゅー人は!」と言わしめるなど、
当時週刊少年ジャンプの看板作家の地位を確立していた車田正美が構想10年の基、満を持して挑んだ意欲作であった。
「漫画屋にとって『オレはこいつを描きたいために、漫画屋になったんだ!』という作品がある。
デビュー以来十年有余、オレも今やっと、ガキのころから描きたかった作品を手がけている。
その喜びでいっぱいだ。
燃えろオレの右腕よ!そしてすべての試練をのり越えて、はばたけオレの『男坂』! 」
本宮ひろ志の『男一匹ガキ大将』に憧れ漫画家を目指したという車田が、主人公の菊川仁義の「男の生き様」を通じ、日本全国の硬派な少年たちとのケンカと友情を描くという、一番描きたかったテーマで臨んだ連載だった。
車田が得意とする荒唐無稽なファンタジー要素は控えめであり、まさに車田版『男一匹ガキ大将』と呼ぶべき滑り出しであった。
……のだが、読者の人気は得られず、半年で打ち切りになってしまった。
しかし、そんな車田の無念の想いが叩きつけられたかのような、最終話最終ページの「未完」の2文字が大書された見開き画面は、今では伝説となっている。
そしてすべての試練をのり越えて
10週打ち切りの代名詞のように扱われることもあるが、一応30週ほど連載されており、打ち切り作品としては珍しく文庫版も出版されている。
なお、この失敗を踏まえた車田は「少年少女読者層の心を掴むモチーフ」を積極的に盛り込むことを意識し、次作の『聖闘士星矢』で見事に復活の大ヒットを飛ばした。
だがその次作の『サイレントナイト翔』では、なんと3ヶ月持たずに打ち切り。
最終話に「NEVER END」と記す結果に終わり、以降車田は少年ジャンプを離れることになった。
なんと車田が自身のHP上において「男坂」復活を発表したのである。
連載再開第1話のキャッチコピーは「30年目の決着(ケジメ)!)
完全に打ち切られた漫画が、改題する事もなく同じ出版社で30年ぶりに連載再開。
申請すればギネス記録ものではなかろうか。
はばたけオレの『男坂』!
もともと大長編として構想された作品であることと、指の骨がすり減っているという職業病から車田自身が「いつまで漫画を描けるかわからない」と告白していることから、再開はしたものの、無事に完結するかどうかは不明だが、「30年目の決着(ケジメ)」に挑戦中の車田正美を見守ろう。
「30年ぶりで気合が入るぜ!!」
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