荒唐無稽とは、故事成語の一つである。
由来
『荘子』天下篇の一文に――
「荘周その風を聞きてこれを悦び、謬悠の説、荒唐の言、端崖の無きの辞を以てす」
訳:荘子はその説を聞いて喜び、大袈裟かつ支離滅裂で掴みどころのない言葉でそれを言い表した。
というものがある。
荒唐とは「限りなく大きい」という意味で、ここでは「荘子がある話を聞いて喜び、その嬉しさをとにかく大袈裟に表現した」といっている。
一見すると否定的な見解に思えるが、むしろ荘子は思いの丈を自分なりに自由に表現しているため、「無為」を美徳とする老荘思想としては全く正しいこととされる。
また儒教の聖典の四経の『書経』に――
「無稽の言は聴くこと勿れ」
訳:根拠のない話に聞き入ってはいけない。
とある。
無稽とは「根拠ないこと」の意味で、これはそのまま戒めの言葉として使われている。
これがいつからか、二つ合わせて使われるようになり、総じて「現実味がない」「中身を伴わない空っぽな話」と言った批評の意味で使われるようになった。
さらに現在は「デタラメなこと」という意味でも使われ、「あり得ないこと」や「実現する気配のないこと」、また物語の筋書きに対して「やりたい放題」「支離滅裂」といった指摘で使われることも多い。
ちなみに中国では「荒“誕”無稽」という類語もあり、中国ではこちらをよく使う。