概要
大ヒットした『聖闘士星矢』の連載終了後、その路線を継承して1992年に連載を開始したバトル漫画。
主人公・翔は「神人類」として選ばれ「エボリューション」(変身)してシェルター(『星矢』の聖衣のようなもの)をまとってネオ・ソサエティと戦うという、『星矢』の路線を受け継いだ壮大な設定で、伏線として序盤から敵の幹部が沢山登場した。
超能力戦士の全面戦争を描いた『サイレントナイト翔』だったが『星矢』の焼き直しの様な内容だったこともあったのか人気は振るわず、僅か13週で打ち切りという憂き目に遭ってしまう。
そして巻末の車田正美のコメントは、
Good‐BYE……………………………………………………………………………
この一言だけであった。
そして車田正美は本作を最後に、週刊少年ジャンプから離れることとなった。
単行本は全二巻が発行されたが、そこでのコメントも印象的なものが多かった。
表紙カバー折り返しの作者コメント
人類はサルから進化して現在に至ったというが、
この先も進化をつづけていくとすれば、いったいどんな姿になってしまうのだろうか?
勉強のしすぎで、脳ばっかり肥大化したタコみたいなヤツか?
いや、そんなやつなら、世の中もうすでにごまんといるぜ。
う~~む。進化ってのも、あんまりいいもんじゃないかもしれないな。
単行本最終ページでのコメント
時の流れの中で
わずかでも
翔に立ち止まってくれた
君に……
……ありがとう
物語
孤児である少年・翔はある日、謎の声に導きかれ学校の校庭へと足を運ぶ。そこには妖精のような人物・紫鈴が横たわっていた。
彼女は翔に神人類に進化できる能力「エボリューション」があることを話し、神人類と呼ばれる人物で構成された組織ネオ・ソサエティが世界の支配を企むために暗躍していることを打ち明けた。動揺する翔の前に紫鈴抹殺の指令を受けた恐竜型の神人類が現れる。ピイたんを目の前で殺された翔は怒りでハヤブサの戦士「サイレントナイト」にエボリューションし、刺客の神人類を倒す。
翔はネオ・ソサエティの野望に対抗する存在となり、地球の命と人々を守るためにネオ・ソサエティの陰謀に立ち向かうことを決意する。
登場人物
翔
主人公。中学生。ファルコン(ハヤブサ)のサイレントナイト。
正義感の強い熱血漢で、他者の命を何よりも大事にする。ペット兼友達であるハヤブサ「ピイたん」を刺客である恐竜型神人類に自分をかばって殺された際にエボリューションを遂げる。
エボリューション後はハヤブサの属性を活かした高速戦闘を行う。必殺技は光速のパンチで倒す「ファルコンバースト」。
紫鈴(シーリン)
フェアリーのサイレントナイト。
妖精という現在では架空の存在とされる生物をルーツとする、珍しい存在。そのためなのか変身すると小さくなる。
皇虎(おうこ)
タイガーのサイレントナイト。
翔の味方だが、紫鈴を見捨てる冷徹さで翔から拒絶される。
涼(りょう)
皇虎の相棒的存在でピーコックのサイレントナイト。
女顔で正義側だが性格は悪く、二言目には「面倒くさい*なあ」、重傷の翔を「こんなの助けても足手まとい」と言ったこともある。
シスター
教会で働く修道女で翔の知り合い。神人類の矢を隠匿するなど謎多き女性。
アーサー
ネオソサエティのイーグルのミッドナイト(サイレントナイトの一個上の階級)。神人類に覚醒した際に姉・マリアを含めて家族を皆殺しにしてる。
クルーガー
バッファローのサイレントナイト。アーサーの部下である大男。最終的に情に打たれて翔にチャージして絶命した。
ジャコビニ
ネオソサエティのブラックホークのミッドナイト。ルックの部下。アーサー含めて始末せんと下記二名を率いてやってきた。
タラン
スパイダーのミッドナイト。鋼鉄をも切り裂く糸を武器にしてるが、皇虎に斃された。
ネーク
ラミアのミッドナイト。涼に斃された。
ルック
ネオソサエティの幹部。二つ名はワイルドボアのルック。デカくて粗暴で残忍で好色で人肉食の気がある性格。
アルファロメオ
ネオソサエティの幹部。ルーツはグリフォンのビショップ
コウモリ
コウモリのサイレントナイト。不忠の罪で殺された。
ポーンの皆さん
恐竜やモンスターになった連中。
用語
エボリューション
人間の進化の過程において、かつての弱肉強食の時代に自分の大元(ルーツ)だった生物の記憶を目覚めさせることで過去の戦闘力と現在の人間としての知力を融合させ、新たに戦闘的な姿へと進化する現象のこと。エボリューションの際に全身に防御用のシェルターと呼ばれる殻に覆われ、ルーツによっては武器も成型される。戦闘後は脱皮するようにシェルターが身体から剝れるが、脱皮後のシェルターは実体化する。
エボリューションした者の姿は常人の目に映らないため、神人類同士の戦いは常人は感知できない。しかし戦闘の痕跡は残る(上記の通り、戦闘後はシェルターが脱皮し実体化する)ため、その痕跡を消すためにシェルターを完全に粉砕する必要がある。
ルーツ
神人類がエボリューションした際にモチーフとなる動物。人間の脳や遺伝子には太古からの進化過程がすべて記憶されているとされ、その中から自分のルーツである動物を見つけることによりエボリューションが可能となる。きっかけは様々で、翔の場合はペットのピイたんの死によって目覚めている。
上記の通り人の遺伝子にはすべての生物の記憶が刻まれているため、複数のルーツに目覚める神人類が現れる可能性があったが、打ち切りによりそれは謎のままとなってしまった。
神人類
18歳未満の人物がエボリューションすることによって覚醒した超能力人類。ネオ・ソサエティは覚醒した神人類を集め、裏から旧人類(18歳までにエボリューションしなかった人類)を抹殺し、神人類のみの世界を作るために暗躍していた。
神人類の矢
別名『青龍の矢』。太古から存在するとされる龍の紋章が印されている矢であり、生命の起源に関係あるとされる。この矢を持つ者は世界を手中に収めることができるといわれている。