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男坂

おとこざか

車田正美の硬派ケンカ漫画。打ち切りにより未完に終わるが、それによって逆に伝説となった。……がその後数十年ぶりに連載が再開され2023年に完結した。
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本来の意味編集

高所にある神社・仏閣などに通じる2本の坂道のうち、急なほうの坂。対義語は女坂


伝説の少年漫画『男坂』編集


オレはようやくのぼりはじめたばかりだからな このはてしなく遠い男坂をよ…


ストーリー編集

九十九里にある東雲中学に入学した菊川仁義は、入学早々番長である安岡にケンカを売ることに。これに勝利した仁義だが、アメリカに向かう前に九十九里に立ち寄った西の将武島将ととある経緯で対決することとなり、生まれて初めての敗北を喫する。

自分の弱さを実感した仁義は伝説のケンカ屋『喧嘩鬼』に弟子入りし、「108つのケンカの心得」をわずか10日間で習得する。実戦がてら東京の闘吉連合に攻め入り総勢100名を壊滅、総長である黒田闘吉との海上での決闘にも勝利する。海に落ちた自分を助けてくれたことに深い感銘を受けた闘吉は仁義と義兄弟の契りを結んだ。

ジュニア・ワールド・コネクション(JWC)やシカゴといった海外勢力に対抗すべき、仁義は各地域の勢力に協力を願い、連合として統一させるため闘吉たちを率い各地を行脚する。しかし統一の足取りは険しく、その間を縫ってJWCやシカゴから刺客が送られ仁義たちに襲い掛かる。仁義は日本を統一させ、海外勢力に対する準備を着々と進めていくが…。


連載時の余談編集

燃えろオレの右腕よ!編集

リングにかけろ』『風魔の小次郎』と立て続けにヒットを飛ばし、鳥山明をして

いつもトップ!凄い人ですね車田正美ちゅー人は!」と言わしめるなど、

当時週刊少年ジャンプの看板作家の地位を確立していた車田正美構想10年の基、満を持して挑んだ意欲作であった。


漫画屋にとって『オレはこいつを描きたいために、漫画屋になったんだ!』という作品がある。

デビュー以来十年有余、オレも今やっと、ガキのころから描きたかった作品を手がけている。

その喜びでいっぱいだ。

燃えろオレの右腕よ!そしてすべての試練をのり越えて、はばたけオレの『男坂』! 」


本宮ひろ志の『男一匹ガキ大将』に憧れ漫画家を目指したという車田が、主人公の菊川仁義の「男の生き様」を通じ、日本全国の硬派な少年たちとのケンカ友情を描くという、一番描きたかったテーマで臨んだ連載だった。

車田が得意とする荒唐無稽ファンタジー要素は控えめであり、まさに車田版『男一匹ガキ大将』と呼ぶべき滑り出しであった。

……のだが、読者の人気は得られず、半年で打ち切りになってしまった。

理由は言わずもがな、硬派な世界観に読者がついていけなかったからである。当時の読者は車田漫画にド派手なアクション必殺技、女性や子どもでも嵌りやすい華やかなモチーフ、怒涛の展開(良く言えば早い展開、悪く言えばアンケート主義)を求めていたのだ。


しかし、そんな車田の無念の想いが叩きつけられたかのような、最終話最終ページの「未完」の2文字が大書された見開き画面は、今では伝説となっている。


そしてすべての試練をのり越えて編集

10週打ち切りの代名詞のように扱われることもあるが、一応30週ほど(3巻分)連載されており、打ち切り作品としては珍しく文庫版も出版されている。


なお、この失敗を踏まえた車田は「少年少女読者層の心を掴むモチーフ」を積極的に盛り込むことを意識し、次作の『聖闘士星矢』で見事に復活の大ヒットを飛ばした。

だがその次作の『サイレントナイト翔』では、なんと3ヶ月持たずに打ち切り。

最終話に「NEVER END」と記す結果に終わり、次作の『あかね色の風』(スーパージャンプ掲載)の連載を終了した後、車田は集英社を一時期離れることになった。








が、2014年4月30日、事件は起きた。

なんと車田が自身のHP上において「男坂」復活を発表したのである。

連載再開第1話のキャッチコピーは「30年目の決着(ケジメ)!)

週プレNEWS連載を経て少年ジャンプ+へと移籍。

完全に打ち切られた漫画が、改題する事もなく同じ出版社で30年ぶりに連載再開。しかも巻数も4からの再スタートである。

申請すればギネス記録ものではなかろうか。



はばたけオレの『男坂』!編集

もともと大長編として構想された作品であることと、指の骨がすり減っているという職業病から車田自身が「いつまで漫画を描けるかわからない」と告白していることから、再開はしたものの無事に完結するかどうかは不明だった(現に1巻分の短期連載を行った後休載する、と言うことを繰り返している状態だったためペースは遅かった)。だが、「30年目の決着(ケジメ)」に挑戦中の車田正美を読者は見守るしかなかった。


「30年ぶりで気合が入るぜ!!」


・・・そして2023年11月11日、ついに完結した。初回連載が3巻分に対し、再開分はなんと8巻という4倍近い連載分となった。全11巻、およそ10年(+30年)を費やして『男坂』は完結したのである。


未完以外の伝説編集

「『オレはこいつを描きたいために、漫画屋になったんだ!』という作品がある」という発言は、全国のプロアマ問わない漫画屋もとい中二病オタクたちに共感されており、プロアマ問わず『本編がないキャラだけがいる作品』『本編はあるが話が前に進まない作品)』『壮大なストーリー』『アンケは取れなくても自分は好きで愛着のある作品』を胸に秘めている人々を共感させた。

発想は悪くないがキャラ集めの段階で打ち切りになってしまうというアンケート問題、アマチュアにはないプロ特有の問題を印象付けた作品でもあり、構想期間は長くなくても、似た結末を迎えた作品(高橋陽一の『翔の伝説』)もあったりする。


聴くジャン!編集

連載再開時にyoutubeで配信されたボイスドラマ。

ダイジェストではあるが打ち切り3巻分までを収録している。

声優陣編集

菊川仁義 CV:森田成一

武島 将 CV:草尾毅

黒田闘吉 CV:酒井広大

赤城のウルフ CV:中井和哉

梓 鸞丸 CV:緑川光

村雨希望 CV:佐々木望



関連ネタ画像編集

もしあのまま放送が打ち切られていたらいい最終回だった

ディケイド最終回記念続きは劇場で!

関連タグ編集

車田正美 打ち切り 未完 完結

俺たちの戦いはこれからだ! 先生の次回作にご期待ください

シティーハンター - 未完エンドとなった最終回の翌週から連載スタートした作品

よろしくメカドック - 男坂の連載開始前週に連載を中断し(約2か月後に再開)、未完エンドとなった最終回の翌週号に連載終了した作品

熱笑!!花沢高校 - ライバル誌である少年チャンピオンで連載されていた漫画。最初こそギャグバトル漫画だったが後半は硬派バトル漫画になっている。

アニポケ - サトシとピカチュウが主人公を勤めるのが最後の回の描写から、ネット掲示板やSNSで本作の名前が挙がった

帰宅部活動記録‐アニメ11話(記録の36)で「俺たちの~」をパロディしている。

めろんぱん学園‐15話で「俺たちの~」と「先生の次回作に~」をパロディした。

シャーマンキング - プリンセスハオと共に、未完を意味する蜜柑を載せ、男坂と同じく未完を印象付けたWJ作品(こちらもきちんと完結させているが単行本書き下ろしと言う点が異なる)。

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