スーパーカブ(アニメ)炎上騒動
すーぱーかぶえんじょうそうどう
概要
2021年4月に放送されたアニメ『スーパーカブ』では主に2つの炎上騒動が発生している。今までは関連タグ記事で取り扱っていたが、サブカル関連の事件・騒動の記事一覧で取り扱う内容があるため、独立化したのが本記事である。
騒動説明
二人乗り騒動
第六話「私のカブ」の最後に小熊礼子が礼子を後ろに乗せて湘南海岸を二人乗りのスーパーカブで疾走する姿について放送後騒動が発生した。
「自動二輪免許を取得して1年も経ってない小熊が運転」について、現実であれば道路交通法違反となるが、放送直後のフィクションということでほぼスルーされていた。しかし1週間後、弁護士の名のつくニュースサイトがこれを取り上げた際に応対したKADOKAWAの回答が「フィクションだから」で済ませたことにSAOの原作者である川原礫が反応し「フィクションだからでいいわけではない」と主張。さらに原作者のトネ・コーケンが弁護士の名のつくニュースサイトを引用し「道交法や先生の言いつけを守るヒロインは書けない」との発言が開き直りと捉えられて炎上した。この様子を見たハライチの岩井勇気が「現実と二次元がごっちゃになっている」とトネを擁護し、このツイートをスポーツ紙が取り上げたためアニメの枠を超えた大騒動に発展した。
そしてワイドナショー(2021年6月6日放送)でこの件について取り上げられ、紹介動画の後に出演者が議論。「日常生活を描いてると真似したい人が出てくるのでは」(金谷かほり)、「小説ではきちんと説明があるが、アニメで省かれていたかも」(古市憲寿)、「アニメでは省かれていたが、アニメの世界に法律を持ち出すのはどうかと」(岩井勇気)という意見が出ている(金谷は作品を知らなかった、古市は小説を読んでいる、岩井はアニメも観ているという点を留意)。最後は松本人志が「コロナ疲れのストレスの発散に使われている」「みんなで正論を言い合って持論を述べていない」と述べ、議論を締めている。
カゴ乗せ騒動
二人乗り騒動が終息し、物語がクライマックスに向かった第十一話「遠い春」で再び騒動が発生する。
その前の話の最後にアレックス・モールトンに乗った恵庭椎が近道をしようと工事用道路を通ったところ沢に転落。家に着いた小熊が椎からの着信に気付いて電話に出たところ、救助を求めるものであった。小熊は以前に椎が工事用道路を通るのを見ていたことから探しに行ったところ転落している椎を発見。椎を救出たが、なぜか椎を籠に乗せて家に向かったのである。このシーンについて椎を籠に乗せたことは勿論のこと小熊が救急車を呼ばなかったことと椎が親でも親友の礼子でもなく関わり始めて日が浅い小熊に電話をしたことについてアニメファンは疑問を持ち、さらに椎の目を覚まそうと小熊がビンタをしたシーンが小説になかったことから放送後騒動が再燃した。
さらにトネ・コーケンが第十一話の脚本に関わっていたことからトネ・コーケンに対して非難が殺到。これに対しトネ・コーケンは実際の地図を引用して「救急車を呼ぶより小熊がカブで運んだ方が早かった」などと支離滅裂な回答をしたため、「フィクションじゃなかったのか」など炎上した。前回から間もない炎上だったため擁護する者はほとんいなかった。
原因
このような炎上が発生した原因であるが、まず小説できちんと説明されていた部分がアニメでは省略や改竄されている点である。最初の2人乗りについて小説では礼子が二人乗りは違反じゃないかときちんと指摘しているがアニメではその重要な部分が省略されていたり、カゴ乗せについても小熊は救急車を呼ぼうとしているが「親に心配かけたくないから」という椎の希望で家に運ぼことになったがアニメでは小熊の判断で救急車を呼ばなかったことになっている。もしこの部分がきちんと描写されていればここまで炎上はなかったと推測される。
また、小説ではアウトローな部分が結構あり、例えば小熊の母親が別の男と一緒に蒸発したり、ナンパしてきた男に小熊が蹴りを入れたり、ある入院患者を階段から突き飛ばしたり、カブの補償を求めたところ保険屋の態度に掴みかかるなど、ヤンチャなことをしている別のバイク作品以上の描写が多々ある。しかしアニメでは監督のこだわりからそういった描写を消してしまい、さらに同じ山梨県を舞台にしている『ゆるキャン△』をイメージしたほのぼの系にしてしまった結果、アニメから見た者が勘違いをしてしまった部分がある(実際小説から知っている人は古市やハライチ岩井の擁護に沿った反応をしている)。
なによりKADOKAWAが騒動の対応をトネ・コーケンに投げてしまい、投げられたトネ・コーケンがまともに対応できなかったことが騒動を拡大させてしまった点である。原作者のトネ・コーケンもTwitter(現:X)でアウトローな部分をちらつかせたり、小熊役の声優である夜道雪に絡みに行ったり、あげく小説には書かれていない「実はこういう設定だった」という追加設定を矢継ぎ早にツィートするなど内外でお騒がせなことをやっている(設定云々はウィキペディアで編集合戦の要因となってしまい、編集者同士で罵り合いに発展していた)。このような人に投げたところでまともに対応できるはずもなく、KADOKAWAサイドが責任を持って対応すべきだったのではという指摘もある。
このように様々な解釈の相違や対応の問題があり、炎上が拡大してしまったと推測される。
影響
二人乗り騒動を受けてか翌第七話の本編では、コーヒーに隠し味のブランデーを注ぐシーンで飲酒検問の危険性を表す字幕が流れたり、その後も原作者による介入が行われるようになったが、前者は過剰ともいえる注意喚起という意見もあり、後者にいたってはカゴ乗せ騒動の炎上拡大にもなっている。
ブルーレイ予約にも影響を受け、Amazon.comでの予約ランキングは二人乗り騒動までは二桁順位で推移していたが、二人乗り騒動後は一気に300位、カゴ乗せ騒動後は1300位まで低下するなど大きく低迷してしまった。その後イベントによるPRなどで順位は戻したが、ブルーレイBOXの売上は2,435枚(数値発覚分)と微妙な結果になっている。尤も「BOX版しか出さなかった=売れるとは思ってなかった」と捉えることができるので数字が出ただけ健闘したともいえるが、その後Amazon.comで4割引で投げ売りされてたのを確認されており、やはり炎上が尾を引いていると思われる。
そして何より一番のダメージは一連の騒動で山梨県が手を引いてしまったことである。それまで『ゆるキャン△』を推してた山梨県であるが、SEASON2の舞台が隣の県中心となり(さらにSNSで拡散される世の中で隣の県のメディアがマウント取りまくっていたというのもあるが)山梨県との関係が微妙な関係になってしまった。そこで山梨県は2匹目のドジョウを狙ったかは定かではないが、本作を猛プッシュし始め、山梨県警察とのコラボレーションまで実施されている。しかし一連の騒動後コラボレーションが終了するなど一斉に手を引き、山梨放送も『ゆるキャン△』は再放送を繰り返していたが、本作の再放送は一切行われていない。なお、山梨県は再度『ゆるキャン△』を推し始め、再度協力した『映画ゆるキャン△』は山梨県中心になっているが、もし本作の炎上がなければ『映画ゆるキャン△』の話も違っていたのではないかと推測される。
但し、山梨県と一緒に協力していた北杜市はイベントやスタンプラリーを実施するなど引き続き本作を応援しており、見放されたわけではない。現在でも主要キャラクターの誕生日は北杜市に集まってイベントが行われるなど聖地巡礼は活発に行われている。