小熊(スーパーカブ)
こぐま
トネ・コーケンの小説『スーパーカブ』の主人公。
アニメ版の声優は夜道雪。
生年月日はアニメ基準だと2004年(平成16年)6月6日(2021年放送時点で16歳から17歳)。
某高等学校の2年生に所属する女子高校生。
アニメを含む作中で苗字は明かされておらず、初見では読めない苗字との描写から周囲に呼ばれるときは下の名前である「小熊(こぐま)」。
アニメ7話で礼子に呼ばれるまで(主人公なのに)呼ばれた事が一度もない女性らしくない名前だが、由来はHONDAのスーパーカブ。Cubは熊などの「猛獣の子供」なので、アニメ第4話の免許に記載された生年月日もカブに関係する「獣の数字」(詳細は小熊(スーパーカブ)生誕祭を参照)。
つまり、カブ=小熊である。
疎遠だった祖父母はすでに亡く、父を幼いころに事故で亡くす。
会話の少なかった母は高校入学時に2人暮らしをしていたお役御免とばかりに失踪(漫画版では「Bye」の一筆を残していったが、アニメ版では描写がない)。
昔から人への執着を抱かず、両親も友達も趣味も何もない天涯孤独の小熊は奨学金を借りながら高校に通う。
原作小説では当初「中学校まで東京で育ち、高校進学を機に北杜市内の建売住宅に移住。母の失踪後女性限定単身者向けアパート(ワンルーム)に転居」と設定されていたが、「埼玉県南部に生まれ、幼少期に北杜市の集合住宅に移住」に変更された。アニメ版では世帯向けの間取り(2DK)が多いものになっている。
うっすらリンゴ色のほっぺ、美少女というには小さく野暮ったい目をした田舎の女学生。
体形は原作だと普通よりだが、漫画では若干小さい中肉中背。作中ではおかっぱ頭とされているが、カブの整備時や風呂上がりなどは2つに縛っている(小説第1巻表紙やアニメ第4話など)。
漫画では礼子に散々な仕上がりにされたので椎に切ってもらっている。
地の文では結構口が悪いが、元々の家庭環境に加えて、失踪した母親のこともあってか、感情はあまり表には出さない。
しかし、カブを通して人々と交流するなかで、表に出てくるようになる内面は、自分(や友人)を馬鹿にしたり信用できない相手には攻撃的(状況によっては暴力的)になるなど、実にふてぶてしく、そしてたくましい。
奨学金を借りる彼女にとって日常の金銭感覚はかなりシビアであり、スーパーカブを購入したのも元々は通学が楽になればという実用上の理由のため。
カブ関連の買い物も値段を見て葛藤したり諦めたりする事も多いが、基本面倒くさがりなのか、弁当をレトルト食品で済ませ、さらに昼食時も電子レンジの列に並ぼうとせず、冷えたまま米飯にかけて食べるほどであった(※1)。
カブを入手するまでは家と学校の間を直通(途中通学路のスーパーへ立ち寄って買い物)する毎日であったが、カブを入手後の行動力は飛躍的に伸び、寄り道をするようになったのを皮切りに、夏休みは甲府市を往復し、修学旅行では富士山五合目を経由して神奈川県鎌倉市にまで行き、文化祭のトラブルにも対応している。さらに2年生の春休みには礼子や椎と一緒に九州まで旅行している。
しかし、彼女に様々な人的つながりを与えるバイク・原付に乗らない同級生とのクラス会では話が合わないことを痛感。
高3の夏、カブを手放すとバイクを介した人付き合いもほぼ皆無に戻ることを恐れた彼女は快適だが「バイク禁止」のマンション型大学女子寮入寮を蹴り、昭和30年代築の古い借家に移り住む。
さらにテンションが高揚すると2人乗り(自動二輪でも免許取得後1年未満は禁止)や自動車専用道路の走行(125cc未満は走行不可)などするので、走り屋がテーマの作品を野放しにする現状で言うのはナンセンスだが、結果として原作を知らない人の先入観やコラボ相手、中の人の言動も相まって格好の餌食になってしまっている。
なお、pixivでも漫画のおまけのような小熊をリスペクトする作品も投稿されている。
所有しているバイクはスーパーカブシリーズのみであるが、小説では250ccのバイクも運転している。免許は原付(50cc以下、高校2年時の6月取得)、普通自動二輪(400cc以下、高校2年時の夏休み終了後に取得)、普通自動車(高校3年時取得)の三区分(原付は普通自動二輪または普通自動車に編入されるため、実質二区分)である。
所有自転車・バイク
パナソニック・レギュラー
スーパーカブを買う前まで通学に使用していた業務用自転車。色は黒。団地と高校間の道のりがきついことに苦難していた。カブ購入後も手放してはおらず、自転車用の工具を揃え、セカンドマシンとして使用している。
なお、当初は車種の設定もないシティサイクル(学生用ママチャリ)であったが、変更されている。そのため、先に描かれたコミカライズ版1話には反映されていない。アニメには設定通り黒のレギュラーが登場するが、実際には存在しない変速器が描かれている。
ホンダ・AA01スーパーカブ50スタンダード
高校2年の6月に自転車で通学途中、原付バイクにあっさり抜かれたのを契機(※2)に中古バイク店(シノさんの店)を訪れ、このバイクに出会う。「人を3人死なせている」という曰くつきの中古バイクであったが、1万円で購入した。小熊の生活と人間関係を大きく変えた存在である。キャブレター式の最終型で、2002年から2007年の間に製造されたものである。当初の排気量は49cc、購入時点での累計走行距離は500km強という、「曰く」以外は上物。
高校2年の9月に、50㏄原付の法的な不自由(※3)から脱却するため、礼子の助言を得てエンジンのブロック修正を行なった。それにより排気量52㏄の原付二種となっている。
ちなみに「人を3人死なせている」というのは前の所有者であった3人がそれぞれ諸般の理由で手放したことが脚色されたためで、実際はカブが原因で死亡した所有者は1人もいない。
後述の通り大学入学直後の事故で一度全損廃車となったが、それはあくまで「業者に出して修理した場合の費用が車両評価価額を超えるから」であり、既にある程度の修理技術を身に付け、かつ学生の身分で社会人より時間の余裕がある小熊は代車入手後時間をかけながらも自力で修復した。
その他バイク
ホンダ・クロスカブ2BJ-JA45
原作小説3巻にてバイク雑誌の企画を受けた際、出版社が用意したバイク。高校3年の7月にこのバイクで礼子と共に富士山登頂を目指したが、準備不足のため3,500m付近で断念した。電子制御式であるが、小熊と礼子はあまり気にいっていない。
※1:電子レンジはアニオリ設定で、アニメ化の取材の際モデルの中学校の教室に実際電子レンジがあったことがきっかけである。
※2:アニメでは椎の乗るアレックス・モールトンにも抜かされている。なおこの時点では椎との接点はまったくない。
※3:50cc以下の場合法令最高速度は30km/hまで、かつ通行帯が三車線以上の交差点は二段階右折が必要(例外あり)である。